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進路指導で「介護職員じゃなくて看護師になれ」 “低収入・排泄の世話ばかり”という先入観も… 5人に1人が75歳以上「2025年問題」迫る 「今変えないと間に合わない」介護業界の現状とは?・・・という記事の紹介です。

急速に高齢化が進む日本。「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者になる、いわゆる「2025年問題」が差し迫っています。

国民の5人に1人が後期高齢者となる時代、ますます需要が高まる介護業界の現状と課題を取材しました。

山陰放送

いやはや、2025年まで・・・あと2か月・・・年度でいうと、あと5か月です。目前というよりも、もう片足突っ込んでますね。

もうすぐ、団塊の世代の方全員が後期高齢者(75歳以上)となります。

セカンド・サロンえるだー 黒松慶樹さん

「えるだーは、『小規模多機能型居宅介護』という、普段あまり聞き慣れない名前かと思うんですが、巷では『在宅生活最後の砦』というふうにも言われたりしています」

山陰放送

僕自身も、介護キャリアの中では初めて事業立ち上げから関わったのが、この小規模多機能型居宅介護、という事業です。

もともと宅老所がモデルとなって制度化された事業で、認知症の方が出来るだけ不安なく過ごせるように、訪問・通い・泊りの全てのサービスが、同じ職員で提供されるので、馴染の関係の中で環境の変化に敏感な認知症の方でも比較的落ち着いて過ごせるし、認知症の症状が緩和したり進行していくスピードをゆるやかに出来る、そんな事業でした。
デイサービスや訪問介護でいろんな制度上の縛りがありますが、この小規模多機能のサービスでは、そういうサービス内の縛りがほとんどないのも特徴で、介護職員の応用力や実践力が発揮できるサービスだとも言えます。

実際、僕が働いていた小規模多機能でも、入所施設に入所したその日に帰されてきた方や、車椅子で移動なんだけどエレベーターがないアパートの4階に住んでいてどこも受け入れ先がない方、明らかに認知症なんだけど自宅から中々出てきてくれなくて地域包括支援センターでもアプローチの仕方に困っていた方など、沢山の普通の事業所では対応できない方の対応をしてきました。

すごく良いサービスなんですけど、それだけに多くの方に対応できるサービスではないので、この人材不足の時代ではこれ以上、こういう本当にケアらしいケアが提供できる事業所を増やすのは困難な状況になってしまったと思います。

小規模多機能型居宅介護とは、▼通い(デイサービス)▼訪問(ホームヘルプサービス)▼泊まり(ショートステイ)を柔軟に組み合わせて利用できる介護サービスのこと。同じ事業所内・顔なじみの職員が対応するため、一体的なケアが可能になります。

山陰放送

この説明、イメージしやすいようにこういう説明するんですけど、通える居場所と自宅があって、その日の状況に応じて最も適切な支援を判断して提供する、というのが本来のこういうサービスの強みなんですけど、それがこういう説明をしてしまうので、デイは週〇回、訪問は週〇回、宿泊は週〇回・・・なんて目安まで出来てしまって、本当にダメだなぁ・・・と思いながら運営していました。
必要な時に必要なサービスを必要なだけ投入できるのが、このサービスの強みなんですけどね。どうも”経営”に偏った頭でこのサービスを見ると、他のデイやヘルパーやショートのそれぞれの単価と、この小規模多機能のサービスの単価を比較して1回あたりの利用単価を割り出してしまうので、自分で自分の強みを弱める方向に動いてしまうんですよね。もったいない。

黒松さん
「ちゃんと水分とってる?」
利用者
「とってるよ」
黒松さん
「ちょびっと足りてないかも」

取材したのは7月の猛暑日。
水分補給ができているかどうかも、しっかりチェックします。

黒松さん
「じゃあまた夕方来ますけんね、お昼ごはんもしっかり食べてね!」

えるだーのサービスは、利用者の「自宅で生活したい」という希望をかなえるためのもの。

「いわゆる『サブスクリプション』という形で、月額制いくらでその方に必要なサービスを提供できるという形です」

山陰放送

そっか、サブスクの介護か、なるほどそういう説明もありですね。
そう、訪問介護のサービスでは1日に何回も入ると高額になるし、あまりに短時間過ぎると算定できなかったりするので、こういう1日に何回も見守りや安否確認に訪問する事は出来ないのですが、そういうのが可能なのがこのサービスの強みです。利用料が月額なので、いくら利用しても利用料が増える事はありません(食事や宿泊は、それぞれ料金発生するはずですが)。

ですから、必要な時に必要なだけ、お金を気にせずに利用できるわけです。
これは状況に応じて対応が変化する認知症の方へは本当にありがたいサービスと思います。

そもそも、認知症ケアの現場で色々疑問に感じていた有志が宅老所を立ち上げて、そこで認知症の方に合わせたサービスを提供する中で生まれたサービスなので当然なんですけどね。

セカンド・サロンえるだー 黒松慶樹さん

「入浴と食事と排泄のお世話をして、それで低収入なんでしょう?って言われると、そんな仕事を誰もやりたくないじゃないですか。

私の身近では、進路指導で学校の先生が介護職員になりたいという生徒さんに対して『介護職員じゃなくて看護師になれ、看護師の方が給料がいいから』とおっしゃったという話も聞いたことあります。

利用者のQOL(生活の質)を高めるための仕事の1つとして、手段として、排泄・入浴・食事っていった介助があるわけですけど、どうしても世間ではそこだけがクローズアップされて、これが介護職員の仕事だというふうに思われている。」

介護人材不足の一因には、世間のイメージもあるのではないかと黒松さんは話します。

山陰放送

先日、中学生の職場体験を受け入れ、2校から計5人の中学生が、訪問介護の現場を実際に見てくれました。
利用者さんの同意がとれたお宅しか行けないので、あまり多くの現場を見る事は出来ませんでしたが『思っていたよりも大変じゃなさそう。』という感想や、『介護の仕事のイメージで、大変やキタナイ、というイメージはない。』という話なども聞けて本当に良かったです。

まだ中学生ですが、進路を決めている子も多く、看護師になりたい、目指しているという子も複数いました。

実際、看護師と介護福祉士では、その業務の内容が全く違う事もありますが、お給料もかなりの差があります。

そういう状況で、介護職の方がいいよ、とは到底言えないわけです。
子どもたちには、やはり良いお給料をもらえる仕事に就いてもらいたいのが正直な所なので、中学生にもそういう話をしました。

それでも道がなくて迷ったら、うちにおいで、と伝えています。

子ども達の進路の上位に介護職を持ってきたいのであれば、やはり年収が看護師や他産業と遜色ない状況にしないと無理でしょう。
現状で介護職を目指せというのは、よほどの理由がない限りかなり子供たちに無責任になります。

それに、看護師だって人手不足は確実で深刻な業界です。
看護師が少しでも増えた方がいい、という状況もあるわけです。

セカンド・サロンえるだー 黒松慶樹さん

「国が介護職員の処遇改善にテコ入れ始めていますので、介護職員の給料というのは以前と比べれば徐々に上がりつつあるんですよね。
介護職員の本来の仕事っていうのはご利用者の人生の最後に関わることが多いです。

最後にその人がその人らしく生きられるように、介護職員って生活の質を高めるための専門職だと思っているので、作業の部分にだけ目を当てるんじゃなくて、私たちが何をしているのかっていうところに目を向けてほしいなと思います。」

誰もが老いていく人生の中で、欠かすことができない「介護」の仕事。
私たち一人一人が、そのあり方についてより真剣に考えていかなければ
なりません。

セカンド・サロンえるだー 黒松慶樹さん

「今介護職員を増やして、介護に携わる人が増えて、認知症の人が近くのおうちにいたりしても大丈夫な社会、安心して認知症にしていかなければ。社会全体が介護とか認知症に目を向けてくれるといいかなと切に思います。」

山陰放送

ほんとうにその通りなので、少しでも黒松さんの言葉が多くの人に伝わればいいな、と思いました。

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