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認知症患者と介護者にとって重要なのは社会的なつながり、カリフォルニア大学研究報告・・・という記事紹介です。


認知症患者とその介護者が健康を保つためには活発な社会生活が必要であるが、認知症患者もその介護者も、患者の認知症が進行するにつれて社会的なつながりが失われていくことが、新たな研究で明らかにされた。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部のAshwin Kotwal氏らによるこの研究の詳細は、「The Gerontologist」4月号に掲載された。

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海外は日本と違って、認知症であっても介護をしていても、あまり内にこもらずに外に出て社会との繋がりは維持できてそうな勝手な印象があったので、こういう研究結果が出たのは驚きでした。

Kotwal氏は、「社会的なアンメットニーズは生活の質(QOL)に悪影響を及ぼし、うつ病や心血管疾患などの健康問題を引き起こし、医療費の増加や早期死亡につながる可能性がある」と述べる。そして、「先行研究では、社会的孤立度が高い高齢者は、介護施設に入所するオッズが2倍以上になることが示されている」と説明している。

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アンメットニーズは初耳だったので調べてみました。

アンメットニーズとは?

アンメットニーズ(Unmet Needs)とは、人々の欲求やニーズの中でまだ満たされていないものを指します。

すなわち、人々が抱える問題や要望のうち、まだ解決されていない課題や未開拓の領域を指す言葉です。

アンメットニーズはビジネスや製品開発、サービス提供などの分野で重要な概念とされています。

FULL RESEARCH

この場合、社会的な繋がりの事が満たされない、という理解でいいのかなぁ・・・たぶんそんな感じだと思うのですが、日本の現時点での介護の現状を見てもこれは明らかで、認知症の方や介護をしている人が孤立してしまいやすい状況は、認知症高齢者の重度化を進め、介護離職を促進しているという事ですので、在宅生活をしている間にいかに社会的な繋がりを構築できるかで、様々な予防の効果につながりそうです。

ただ、そういうのはもう周知の事実で、認知症サポーター養成講座などではずっと言われ続けてきた事なんですけど、実際はまだまだ課題は多い状況ですね。

データの解析により、三つの主要なテーマが特定された。

一つ目は、認知症患者もその介護者も、患者の病気が進行して全体的なウェルビーイングと支持的な資源(何らかの目標や活動を支援するための資源や手段)の活用能力に影響が及ぶにつれ、社会的なつながりを失っていくことである。例えば、患者の記憶力が衰え会話が困難になるにつれ、患者の家族や友人は、患者の存在に不快感や戸惑いを感じることが増え、その結果、社会的なつながりは弱体化していった。また、患者の配偶者や成人の子どもなどの介護者は、患者に対する責任の増大に伴い孤立度を高めていた。

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症状が進行していくにつれ、患者本人や介護をしている家族が孤立していくという事ですね。

だからこそ在宅ケアに携わる介護職は、そういう孤立や孤独感に対して丁寧にアプローチしていかなければなりません。

二つ目は、認知症患者の認知機能と身体機能の悪化に伴い患者と介護者の関係性が崩壊し、それが介護者に孤独感と喪失感をもたらしていること。

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もう一つの問題は、症状が進行すれば、介護をしている家族や介護者の孤独感と喪失感が増していく、という事です。

これは、家族は頑張らない介護をしないといけない、というのを裏付ける形になっていると思うので、本当に様々なサービスを活用して頑張らないで支えられる程度の負担感で、可能な限りご自身の人生を楽しめる状況にしてもらいたいです、これはケアラー問題の解決でも記されている内容だったと思いますので、個々の人によって負担感の感じ方は違うので、それこそソーシャルワークの基本中の基本である個別性に配慮した対応が必要です。

ただ、日本人って横並びが好きだから、その程度とかあの程度とか、自分とかいわゆる普通というのを基準に考えガチですが、その結果が現状のケアラー問題や介護離職の問題、認知症高齢者の重度化などの問題を深刻にしてきたと思うと、そもそもの考え方を切り替える時期なんじゃないかと思いました。

三つ目は、介護者が患者と共有できる社会的な活動を積極的に行ったり、介護者の負担に対処するプログラムに参加するなどの適応戦略を活用していることである。

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認知症カフェとか、いろいろ地域で集う取り組みは進んでいて、登別でもそういう活動や場所は増えてきているので、もっとそういう活動や取り組みにスポットがあたったり、助成があったりするべきですね。

長い目で見た時に、それっていわゆる投資となって将来の財産になって帰ってくるんじゃないかなぁと思います。

研究グループは、「これらの結果から示唆されるのは、患者と介護者の双方に孤独と孤立についてのスクリーニングを定期的に行い、医師が、患者と介護者が社会的なつながりを維持する方法を見つけられるようにするべきだということだ」と述べている。

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ヘルパーを初めてから、こういう社会から孤立してしまっている高齢者がどうすれば自治会の集まりやイベントとかに参加できるか、外に気軽に出ていけるか、と考えてきましたが、地域の特性が大きく関係していると思うのと、そもそもの介護保険制度のデザインがそうなってなくて、逆に家族が頑張らないと在宅生活を支えられない設計になっているので、そういう部分を変えていかない限りは難しい気がします。

これがもっと地域の人口が増えている状況なら話は別ですが、これからどんどん人口減少が進んでいく状況ですから、地域住民でどうこうできるレベルではないと思いますので、そうであれば介護事業者がそういう役割を担わなければならないと思っています。

介護保険制度では、ヘルパーの外出支援でも制約が多くて気軽に出来ないですからね。せめて社会との繋がりを感じられる場所等への同行や送迎の支援は認められて欲しいですが、地方になると公共交通機関も少なくなりますし、山坂が多い室蘭・登別や、隣近所の距離が遠い白老の状況を考えると、どうしても車での移動が必要なんですけど、これも有償輸送となると法的な問題もあって出来ませんし、無償輸送となると利益を生まないと事業継続できない民間企業では難しく、そもそもヘルパーさん自身の車に利用者さんを乗せて運転してもいいよ、と言ってくれるヘルパーさんも少ないでしょうし、無償輸送ですから報酬だって工夫できませんので、本当に現実的ではない対策しか現状では思い浮かばないわけで、どうかんがえてもシステムを変えない限りは無理だろうと思うのです。

論文の上席著者である、UCSFグローバル・ブレイン・ヘルス・イニシアチブのKrista Harrison氏は、「患者とその介護者がそれぞれ別個に参加する支援グループは、ストレスを減らして楽しめる社交の場となり、また、助言を得る場となる可能性がある」と話す。

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やはり認知症カフェのような認知症の方本人や、介護をしている家族が集って色々話せる、吐き出せる、相談できる場というのは効果がありますね。

本当は、そういう場をわざわざ作らなくても、地域の中で自然とそういう場所が生まれればいいんでしょうが、そもそもの認知症への理解や障害への理解があまり進んでいない状況を考えると、何がどうなればマインドが変わるのか・・・と思います。

またHarrison氏は、「臨床医は、認知症患者とその介護者のために作られた地域合唱団のような選択肢について話し合うべきだ」と主張し、「先行研究では、認知症が進行しても有意義な活動を楽しむことができることが示されている。例えば、教会での礼拝への参加を、自宅でのZoom(ズーム)を通じた小規模な集まりへの参加に変更するような、簡単な適応方法が考えられる可能性がある」と話している。

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そっか、海外では教会での礼拝など定期的に集う文化があるから、そういう選択肢もできやすいのかなぁ・・・と思いました。

あと、ZOOMでの会合とかでも効果あるというのが驚きだったので、そうであれば高齢者や認知症ケアの現場でのDXは、本当に急ぐべき課題だと思いますし、何でそこを国は事業者まかせにして国策としてやらんのか、と思ってしまいます。

なお、本研究結果は、UCSFの研究者らが実施した、片方の配偶者が認知症である夫婦を対象にした最近の研究結果と一致するという。その研究では、認知症のパートナーと親密な関係性を築いていた人は、配偶者の認知症発症により、発症前より孤独感が高まったが、結婚生活がうまくいっていない人では、うつ病や孤独感を抱えている人の割合は全体的に高かったものの、配偶者の認知症の発症はそれに影響を与えていないことが示されていた。

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同じ夫婦でも、親密な関係を構築できていたか、そうでないかでパートナーが認知症になったあとの影響が違うというのはナルホドですね。
うまくいってなかった人では、パートナーが認知症になっても孤独感が高まる事はないそうです。なんだかさみしい話ですけど、そうまでして結婚して一緒にいる意味ってあるんでしょうかね。

Kotwal氏は、「良い夫婦関係やパートナーシップを築き、それを維持するために力を注いでいる人は、パートナーの一方が認知症になったときに失うものが大きい。これに対し、夫婦の質が低い人は、孤独やうつ病から守ってくれる結婚生活からの感情的な支えをすでに失っているのだ」と話している。

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喪失感は本当に大きくて、特に男性が残された場合に本当にすぐに衰弱してしまう方が多いです。

しかし、最後のまとめが結婚生活の話になっているのが面白いというかなんというか、日本でも海外でも夫婦関係って似たような感じなんだなぁ・・・って思いました。


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