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どうなる地域包括ケア。

先日、役場向けの認知症サポーター養成講座の講師をさせていただきました。
新入職員向けの養成講座ですよ、といつも一緒に取り組みをしている包括支援センターの職員さんから聞いていたので、高齢化がすすむ地域の将来の地域づくりの何かのヒントになればと思って事前にいろいろ調べてみました。

基本的な内容はいつもテキストをベースに話すのですが、役場の職員さん向けなので、今後の地域包括ケアや総合事業への移行の動向など考えると、よりよい地域づくりや僕なりの理想の地域づくりを伝えたくてそういう資料をつくりました。

当然、実務的な窓口対応の具体例も知りたいはずなので、一般企業での対応事例集からありそうな内容をピックアップしました。

そこで見つけたのがこの記事です。
最初は、『認知症の人だけが住む認知症村』という内容の記事で、その記事だけ読んだらほんとうにどこかの村で認知症の人だけで暮らしているような内容だったので、すげえ!と思って更に調べると、グループホームが集まった施設のような感じの取り組みでしたが、まちぐるみでこういう取り組みができたらいいよなぁ、と思って紹介する事にしました。

『オランダのアムステルダムにある介護施設です。入居者はなんと全員が認知症。認知症の人たちだけが暮らす“村”として、世界中から注目されている福祉施設です。』

それなりにアンテナは張ってたつもりですが、初耳でした。かなり有名な施設みたいですね。
スウェーデンのグループホームの取り組みや、こういう海外の施設の取り組みは実際に見てみたいなぁって思います。
人見知りで英語もさっぱりなのでその機会は無さそうですが。

『このホグウェイのコンセプトは、「認知症の人が“普通の日常”を送れる村」。スーパーや映画館、レストランなど、生活に必要なものが全て揃った一つの村として作られており、重度の認知症の人たちが、敷地内を自由に行動できる環境です。』

コンセプトがしっかりしてて作り上げるのは、日本よりも海外の方が得意なのかもしれませんね。日本だとどうしてもあれもこれも汎用性を高くするあまりコンセプトが生きなくなったり目的がわからなくなったりするような事が多いような気もしますし、そういうニーズも少ないのかなぁ、なんて思います。

ただ、多様性やSDGsへの取り組みが進む世の中で、コンセプトがしっかりした取り組みこそが今後は求められると思います。

認知症の人が普通の日常を送れる・・・、よくよく考えたら当たり前の事なのですが、人間同士で助け合う中で、様々な障害を持つようになると、その普通の日常が難しくなる・・・それは世界共通の課題であって、おそらく人間が人間らしく生きていく上で、解決すべき課題の一つなんだと思います。

施設の中で普通の街にあるようなお店が並んでいる、映画館もあるという事は、少なくとも今僕が住んでいる町より娯楽は充実してますね。

施設だから、介護の事業所だから、という感覚は好きじゃないのでこういう普通な事を当たり前にできる事業展開は憧れますし、やってみたいとも思います。

重度の認知症の人たちが自由に出かけられる環境。
すごくいい取り組みだと思いますし、重度の認知症と記載されているくらいなので、かなり重度の認知症の方たちが自由な生活を送れているのは素晴らしい事だと思います。

『入居者約約150人に対して、ホグウェイで働くのは約240人のスタッフ。ナース服や介護服は着用せず、“住民のひとり”として入居者に接します。』

スタッフ多いな!というのが正直な感想です。
入居者よりも多いスタッフ数って、日本ではあるんでしょうか?
住民の一人として接するのは本当にいいですよね。

『スタッフは全員、認知症の人への接し方について熟知した認知症ケアのプロ。例えば買い物の時に財布を忘れても、お釣りが計算できなくなっても、きちんとフォローすることができます。』

介護福祉士も認知症ケアのプロなので、このくらいの取り組みはしてほしいですね。さりげない見守りと本人の尊厳を傷つけない対応。
これは、人権意識が高い海外だから当たり前に出来る事なのでしょうか。

『入居者のライフスタイルを7つのユニットに分類し、似ている価値観の人同士で生活をともにできる仕組みがあります。』
『入居前に家族や本人が答えるライフスタイルに関する40項目の質問をもとに選択でき、入居後に別のユニットに移ることも可能なんだとか。これまでの生活の延長線上で過ごせることが、入居者や家族の満足につながっているようですね。』

こういう対応は日本の入居施設でもやっている気がしますが、相性の合いそうな方同士や、ライフスタイル毎にユニット分けしているような取り組みまではしてないのかなぁ、最近のユニットケアは、そこまでやっているのかと思うと日進月歩ですね、常に介護の世界も進化している事が実感できてうれしいです。

入居費用はかなり高額のようですが、食費もすべて含めた額のようです。
職員体制も夜勤は1人みたいですね、入居者30人に対して。
重度の認知症の方ばかりと考えるとかなり手薄な感じですが、日中にしっかり活動しているので夜間はしっかりお休みされるのでしょうか。
記事にも記載がありましたが、重度であっても自立した生活を送ってもらう前提の体制のようです。

『徹底したライフスタイルへのこだわりで、認知症の人がストレスなく過ごしやすいというメリットがある反面、地域住民との接触がないというデメリットも指摘されています。敷地内で全てが完結している「テーマパーク型」であるからこそ、本来あったはずの社会とのつながりが持てないことに、違和感を感じる人も少なからずいるようです。』

これは確かに僕も感じました。施設を壁で囲っているので管理はしやすいかもしれませんし、施設内で完結する事でも管理運営はしやすいのかもしれません。
日本では地域包括ケアが進められようとしていますが、個人的には日本の地域包括ケアは、地域ぐるみでホグウェイのような取り組みができればいいな、と思っています。
ある資料には、地域を一つの特養に見立てて、地域のヘルパー事業所が各居宅を訪問するのを、特養のユニットケアに置き換えた説明も聞いた気がしますが、さすがにそこまで効率的機能的にはいかないと思いますが、発想はいいと思いますので、地域全体で支え合うケアの姿を、僕もいち事業所として、いち介護職として力になりたいと考えています。

人手不足だからとか、そんな理由ではなく、それがとっても素敵だからそうしたい、みたいな感じで地域包括ケアが進んでいけばいいと思います。

今は国が進めようとしていても、その”なんだかおもしろそう”とか”いい感じだよね””やってみたい”という感じにはならず、どうしても人手不足、財源不足で進めようとしている感が拭えないのが残念な所です。

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