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泉房穂×くらたま(前編)明石の“革命児” の原点「2000年4月1日」・・・という記事の紹介です。

元明石市長で子育ての施策など、国を待ってられないとの事で取り組みを進められていた泉さんの記事があったので紹介します。

https://www.minnanokaigo.com/news/kuratama/no61/

民主主義制度なんて「やってられへん」から。自分たちの国は自分たちでつくっていくものです。特権階級のものではありません。

でも、日本は長らく自分たちの社会になっていないわけです。要するに、民衆が勝った経験がない。フランスにしてもアメリカにしても、自分たちで社会をつくってきているのに……。

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自分たちの国は自分たちでつくっていくもの、まさにその通りですね。

鎌倉幕府や江戸幕府はもちろん、明治維新さえも「クーデター」です。だから、私は日本で初めての「革命」をやろうと思って、学生運動に没頭していたんです。負けましたがね。

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民衆が権力者を打倒した歴史はありませんもんね、日本って。
そういう意味では、民主主義も本来の主役である民衆自身が自分の手で勝ち取ったわけではないので、どこか人権とか個人の権利が軽くみられて当然、お上のいう事には従うべき、という国民心理があると言われてもその通りなんだろうなぁ、なんて思います。

手段が目的化しているのと同じような構図で、民主主義という手段を本来は活用しなくちゃならない国民が活用しきれない、だから政治家の質もそれに合わせたようなレベルになっているんじゃないかと。

よく政治家や政党を選べないという人がいますけど、それはそれでいいんですけど、民主主義という制度上、政治家を選んでいるのは国民なので、そういう選べないような政治家を生み出している原因も国民にあるんだという認識はしといた方が良いんじゃないかなぁと思います。

なので、日本の経済が停滞して国民の所得がずっと増えていない事も、格差が広がって一部の権力者だけが裕福な暮らしをしているような現状も、国民が許しているという構図になっていると思います。民主主義の国なんですから。

だとすると、うまくやってるな、と思いますね。
民主主義という制度をうまくつかって責任は国民に押し付けている構図です。個人的には、国民は相当馬鹿にされてんじゃないかと思ってしまっていますけどね。

民主主義制度が悪用されている、そんな事例になってるんじゃないかと思ったり。

そう。でもね、市長選に出られること自体がありがたいんです。私のような人間が立候補できることは、歴史的に考えれば「すごいこと」です。金持ちでもなく、名家でもない私が、市長の立場に立てるわけだから。

おまけに、どんな「金持ち」も「貧乏人」も、等しく一票です。「こんな美しい制度、あれへんやん」と思いました。

「社会は自分たちが変えてもいいんだ」と考えられること自体も、昔ならありえなかったんです。

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同じ1票を持っているんですけど、投票率は年々下がってしまっています。
ただ、先進国になればなるほど投票率は下がる傾向にあると言いますので、単純に投票率が低いから国民の意識が低い、という事にはならないのかもしれませんが、個人的には、ここまで生活が苦しいのに投票率が低いのは問題だと思っています。

これって、国民が現状の生活に不満を持ってないと意思表示しているようなもんですから、いくらSNSとかで生活が苦しい!とか言っても意味がないというか、選挙で政権与党のやり方を否定しなければ、今の政治施策が変わる事はないと思います。

高齢者の人数の方が多いから意味がないという話も聞きますけど、労働人口や若い世代の投票率が爆上がりして、政権与党じゃない野党の票が伸びればそれはそれでプレッシャーになるので、政権与党もそういう世代の指示を延した野党の施策を取り入れて政権を維持していく方向になっていくと思いますので投票での意思表示は最も重要だと思います。

17世紀後半のフランスは、絶対王政下にあったので国王の権力は揺るぎません。国王や貴族が華やかな生活を送る一方、民衆は貧しい生活を強いられていました。不平等な社会でも誰もが「社会は変えられない」と考えていたんです。そんな時代に「社会は民衆が変えてもいい」と発想の“大転換”をしたのがルソーです。

ルソーは学校の授業を1回も受けたことがないような人だったんです。当時は、今のように不登校に関する社会の寛容さもなかったので「どうかした人」だと見られていました。でも、固定観念に縛られていないから、発想が柔軟なんですよね。

女性や貧乏人、黒人の人権が軽んじられていた時代に、「それは違う」と唱えた。「東洋の日本人なる生き物やオランウータンにも権利はある」と主張した逸話が残っています。ちょっと行き過ぎた話ですが。

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常識に染まらない人が世の中を変えていくんでしょうね。
固定観念にとらわれない自由な発想が出来る人って、今の日本に本当に必要な人材なんじゃないかと思いました。

介護の正解でも、なんとなく介護の世界の中だけで常識や当たり前になっていた事について、それは違う、と言えるような外部の人の発想は絶対に必要だと思っていて、それをちゃんと受け入れて改善できていく事業所が生き残っていくんだろうな、と思います。

個人的にもそれほど高齢者支援に力を入れていましたから、明石市でも高齢者のための施策を打ち出しました。……ただ、言い訳をすると、「高齢者」への施策については介護保険の制度が「ガチガチ」で、明石市独自でやれることが少なかった。

反対に「子ども」は制度がなかったので、白紙のキャンパスに絵を描きやすかったんです。

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泉元市長が最初は高齢者施策に力を入れていたのは知らなったのでびっくりしましたが、ここで指摘されているよに介護保険制度は本当にガチガチで自由度がないのでやりにくかったんだろうなぁ、と思いました。

そういう意味で、子どもはいろいろやりやすかったという事でいうと、これだけ移住や子育て施策が評価されて人口も増えた実績のある明石市の取り組みが、高齢者施策でも新しい取り組みが進んでいれば、もしかしたらモデルケースになるような取り組みが出来てたかもしれません。

世界でも高齢化ではトップを行く日本で国の制度がある事によって自由な発想でいろんな事がチャレンジしにくい環境というのは、ちょっともったいない気もします。

47歳の市長選にそれまでの人生が「全部」入っています。例えば、1997年に私は弁護士になりましたが、自分の法律事務所の向いにNPOルームをつくって無料開放していたんです。

行政の代わりとなってNPOの団体を支援していました。不登校の子を支援する会や環境問題に取り組んでいる方々のNPOでした。会議室を提供し、一緒に印刷物の編集をして、配布もお手伝いしました。ポスティングも一緒にやりました。

そうやって市民活動支援を続けてきたわけです。だから、2011年に立候補したときには、たくさんの方々が集まってくれました。「ついに泉が立ち上がった!」という話なんですよ。小・中学校時代の友だちも「あいつ、子どものときから市長になりたいって言ってたけど、やっとそのときが来たか」って。

「つくり変える」ためには政党は邪魔なんです。業界の応援も「いらん」。市民のための政治が必要です。それを徹底したことが根付いていたんだと思います。

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政党も業界の応援もいらん、と言い切れるのはなかなかですけど、そのくらいの胆力がないと本当に国民のための政治はできないのかもしれませんね。

5年ぐらい前かな、今の厚生労働省の事務次官が局長になったときに明石に来てもらったんです。私は、認知症サポーター制度が「フリ」だけやっている制度だと思っていましたから。

だから、明石市で有償ボランティア化するモデル事業をしたいと話したんです。その後、話をつけて、実験的に明石で有償ボランティアによる制度を始めています。

認知症早期発見の取り組みにも力を入れています。認知症チェックシートを送ってもらった方に500円の図書カードをプレゼントしているんです。さらに、認知症の疑いがあり、病院で検査を受ける場合の診断費用は全額公費です。

「病院に行きましょう」って声を掛けたら「金がかかる」ってなりますから。明石市はお金がかからない。もし、認知症と診断されたらタクシー券6000円もお渡ししています。加えて、2万円のサポート給付金も配る。それから、母子手帳のような形で「認知症手帳」をつくりました。これを使って情報共有をします。

ご家族のためには「宅配弁当券」20食分無料です。さらに、オレンジサポーターと名称を変更した明石独自の認知症サポーターのうち、ゴールドサポーターが10回無料で派遣されてヘルパーをする、「寄り添い支援サービス券」も配っています。「ショートステイ無料券」も配っているので、1泊2日はショートステイを無料で利用いただけます。

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認知症サポーターも増えてはいますが、だからといって地域全体で認知症の方が地域に出て過ごせるような雰囲気にはなかなかなっていきませんもんね。

こういうのちゃんと出来ている自治体があるのはいいですね。
本来なら、国が先にこういう制度は作っておくべきだとは思いますけど。

それから、日本が「ろくでもない」のは、高齢者のお金を子どもに回すかどうかの議論をしているからです。まさに「高齢者対子育て世代」の闘いを起こしている。

闘ったら両方が潰れますよ。そうじゃないんだ、と。明石市は、「ほか」から予算を持ってきて、「子ども」も「高齢者」も両方やるんです。

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たしかにそういう論調ですね。
それか消費税を増税するか。
消費税も生活に必要な光熱水費や食材とかは消費税を廃止して、高額な家電や贅沢品だけに課税すればいいと思うんですけど。

個人的には、消費税は全部撤廃でいいと思っています。
昔の経済成長していた頃は人口が増えていた事もあったでしょうが消費税はなかったはずですから、その頃の税の構造と同じにすればよいと思っています。

法人税が上がれば企業が海外へ出て行ってしまう、というような話も聞きますけど、日本よりお給料の高い国が多くなっているのでそうはならんのではないかとも思いますし、それこそ愛国心がない会社なら出ていけばいいので、そんな会社の税収を期待している方がおかしな話だとも思います。

それでも、思い切った改革には覚悟が必要なんです。市議会と市民の利益が対立したら、常に市民の側を取ってきました。市役所の慣習に反するとしてもです。だから、選ばれなかった側としては「なんで選んでくれないの?」となります。

「市民のため」という言葉はきれいやけど、職員には負荷がかかったり、リスクを負ったりするわけでしょう。定年間近になれば部長になれていた人が、なれなくなるということも起こりますから。

「うまみ」を感じていた人にとっては、一刻も早く市長を変えたい気持ちが強まりますよね。現に、市長一年目に公共事業を削減したときから、私の自宅ポストには「殺す」とか「天誅下る」と書かれた紙が投函され続けてきたんだから。

当たり前のように「殺す」と言われ続けている12年です。それはもう激烈な闘いというか。……私が開き直っているから余計に腹が立つんやろうね。何をしても「堪えなくて」何をしても余計に予算を減らしていってるから。

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小さな行政の中だけでも利権があって、それに従わない市長をこうして脅迫するような事が行われていると思うと、政治とか税金を個人のものだと勘違いしている人が結構な割合で存在するんだろうなぁ・・・なんて思いました。

多分、なりたいのは医者と弁護士ぐらいやと。社会福祉士や介護士の仕事をしたいと書く人は少ないと思う。親も先生も暗に給与の話をするかもしれない。そんな社会はダメです。だからこそ、福祉職を多くの若者が目指したくなる仕事にせなあかんと言っています。

その話をしていた当時の調査では、社会福祉士の平均年収は250万だったんですよ。DV相談員の待遇は、国の基準で200万円〜250万円だった。今はもう少し上がっていますが。まさに「パート扱い」。そんな悩ましい相談の支援をする方に、それだけの金で「働けっちゅう国」なんですよ。間違っているでしょう。

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人権や尊厳をどこか軽く見ているような国民性があるのかもしれませんね。
150年ほど前は士農工商の江戸時代ですし、75年ほど前は特攻隊のように人間を平気で兵器にできるような感覚があった時代ですので。

「人」を増やすだけではなく、「質」を上げることにも取り組んできたのが特徴です。そうは言っても、明石市は人口30万人で予算規模2000億、正規職員は2000人です。それでも、兵庫県の29ある市の中の人口割合で、最も職員数の少ない市が明石市なんです。

「なくても良い業務」に就いている職員には全員異動してもらいました。専門性を高めたうえで、少数精鋭化していったわけですよ。総人件費が20億円ぐらい浮きましたから。

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これからは少数精鋭・適材適所ですよね。
介護現場でも一人一人の職員の質をどこまで高めるかがカギになりそうです。

残業代についてもメスを入れました。「居座る」ようにして残業代を稼ぐケースが散見されました。だから、管理の仕方を変えました。部長や課長などの管理職の評価項目にして、残業に対するルールを厳格化。その瞬間に残業代が半分に減りましたから。それも数億円浮いたんです。こう考えると、税金なんかムダに使われているところだらけだと思いませんか。

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残業代の問題は根深いですね。
なんで同じ仕事量で残業しないで帰れる職員より、残業しないと終わらない職員が給料で優遇されるのか理解できません。

残業はきちんと管理した上で、しない前提で仕事を組み立てないと減りませんよね。

介護の仕事も多くは税金ですので、税金の無駄遣いにならないように残業管理は重要な課題です。

こういう取り組みをするだけでも、一気にお金は生まれます。だから、お金がないというのは嘘です。単に漫然とやっとるだけです。どこも痛みを伴わず「これまでどおり」をやろうとして、お互いに傷をなめあっているから金が動かない。

時代に応じたやり方にシフトすればお金は生まれます。

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常に無駄がないかを追求するのは大切な視点ですよね。
これまで通りが尚更通用しない時代になるので、これまで通りで安泰という事にはならないでしょうし。

その時々で活用できるモノっていろいろ変化があったりするので、こういう事も”今までどおり”という発想ではダメですよね。
頭を柔らかくしておかないと。

技術や道具で考え方や社会の基準みたいなものも変化していくわけですからね。常に変化に対応できる姿勢でいないとまずい気がしますね。

泉氏のように年をとったとしても頭は柔らかく新しい仕組みや道具に対応できるようにしておきたいものです。

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