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ロボット推進事業関係者が語る、「介護ロボット」が普及しない理由・・・という記事の紹介です。

4人に1人が65歳以上という「超高齢社会」に突入している日本。そうした社会状況に伴い、高齢者の介護の需要も急増しているが、介護施設をはじめとする現場の人手不足は深刻だ。厚生労働省によれば、10年後の2025年には団塊世代が75歳以上に達するため、介護現場の人手不足はさらに進み、現在の倍に近い約250万人の介護職員が必要になると言われている。

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最近の記事かと思ったら2015年の記事でした。
8年前の記事ですが、面白そうなので紹介します。
当然、この頃から介護現場の人手不足の深刻さは予想されており、何等かの対策が必要な事は明白でしたが、状況は好転していないように見えます。

2010年から全国に先駆けて介護ロボットの普及事業に取り組んできた公益社団法人かながわ福祉サービス振興会の報告書によれば、その期待とは裏腹に介護現場ではロボットの導入が進んでいないという実情がある。かながわ福祉サービス振興会で介護ロボット推進本部 グループリーダーを務める関口史郎課長は「介護現場側とロボット開発側の間に大きな溝がある」と強調する。

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僕はずっと在宅介護の現場だったので、やはりあまりロボット活用というケースには触れないでここまで来ましたが、入所系の施設でも活用しているとすると見守りセンサーとかそういう感じでしょうか。

デイサービスとかでは、介護ソフトと血圧計や体温計がBluetoothで接続されて測定した結果が自動的に記録されるというのがあるのは知っています。
ちょっとした手間ですけど、こういうのが自動化されるだけでもかなり便利になります。

入浴前のバイタルチェックも、看護師がPCかタブレットで血圧のデータを見て、入浴OKならOKなりの処理をすれば、それを確認して入浴にお誘いするという流れが作れます。

これが紙媒体の記録だと、血圧を測った職員が紙の記録用紙に記録するまで看護師はチェックできないので指示が出せませんし、看護師が測定していったとしても入浴開始のタイミングが遅れますので色々大変です。
そして血圧の記録を行を間違えて書いてしまったりというヒューマンエラーも防止できますので、こういうのは自動化できるのであればどんどんした方がよいと思いますが、結構な費用がかかったので導入はできませんでした。

介護施設における職員の仕事は多岐に渡り、分業化できない上に、介護対象者によってやり方が変わるなど変則的。工場の生産ライン現場のように業務全般をロボットに置き換えて自動化することは極めて難しい現状があるからだ。

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人間相手の仕事ですし、その一人ひとりに個性があり特徴があり人生があるので同じケアで良い、という事にはならないですからね。
ある程度は施設側の人員配置やシステムに合わせてもらう工夫は必要ですけど、ケアの質を高めるとなると、やはり個別ケアの徹底が一つの鍵になります。

そうなると自動化は難しいわけですよね。
ですので、そういう個別性とは関係ない部分での自動化が求められるのが現状だと思います。

例えば、介護現場で有効だとされているパワーアシストと呼ばれる装着ロボット。確かに人を抱えるときなどに効力を発揮するが、いったんそれが終わればすぐ装着ロボットを取り外して別の仕事に取り掛からなくてはいけない。取り外しに時間もかかる。だからといって、人を持ち抱えるような仕事だけをひたすらしていればいいということなどない。一機種のロボットにできることは限られており、部分的には役に立つが一日全体の仕事を通して考えると使い勝手の悪い製品になる。

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たとえばこういうパワーアシスト機能のロボットも、1日装着していて負担にならない工夫や、常時装着する事でのメリットがあればいいと思うんですよね。訪室や巡回の記録が自動化されたり、遠隔でコミュニケーションが取れたり、体温や血圧や酸素飽和度が測れたり、それを装着しているだけでその場でのケアがある程度できるとか、基本的なケアも自動化できたりとか。
しかし、やはり一番は装着していても苦にならないか、脱着が簡単でカーディガンを羽織るくらいの手間で脱着できれば活用度は増えるんじゃないかと思います。

さらには、ロボットが技術的に高性能であることで、介護現場では使いこなせていないという状況に陥っている。介護現場のスタッフは機械に対するリテラシーが高いわけではないので、運用技術を習得するまでに相当な時間がかかる。まとまった時間を確保しようとしても、介護現場は多忙を極める。「そんなことをしてまでロボットを使うメリットはどこにあるのかと、使う側が意欲を失ってしまう」と関口氏は話す。

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そうですね、ノーリフトケアの運動も全然広がってませんし、リフトを導入しても使わない現場が多いと聞きます。
そして、そういうリフトも活用できるまでになるまでには相当な時間がかかったという話も聞いたことがあります。

機能が複雑になればなるほど、簡単に使えるシステムでないと活用はできないでしょう。

「開発者や行政は介護分野の問題をロボットで解決したいと思っているが、介護現場はそう思っていない。介護は人がやるものという意識が強い担当者もいるからだ。例えば、介護ロボットに関するセミナーを開いても介護現場の方の参加は少ない。参加するのはビジネス目的の強い企業などが多い。行政や企業、開発者がロボットに熱くなっていても肝心の介護現場は冷めている」(関口氏)

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たしかに介護は人がするもの、という事実はありますけど、それも便利な技術があるのに無理をしてまで人が担う必要はないと思っています。
それでなくても介護は楽ではない部分がありますので、そういう楽でない部分は代替えができるのであれば活用すべきですし、そういう技術とかに興味をもたないといつまでたっても介護現場は楽にならないと思います。

ベイマックスくらいのロボットが出来たら介護業界もガラッと変わるでしょうね。

「開発者の多くは介護現場の全体を見ていない。業務の一部分だけを見てロボットを作っている。提案としては、開発する側が実際に介護の現場で働いてみて、スタッフが一日どんな動きをするのか、よく観察した上で開発するべきだ」(関口氏)

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たしかにそうだとは思いますけど、それも限度がありますので個人的には介護業界の特に現場経験が豊富な人がアドバイザーで助言するなり、実証実験も実際の介護現場で行うのがいいのではないかなぁと思いました。

ただ、本当に1日の介護職員の業務の流れを通しで外部の方が見たときに、この部分は自動化できる、この部分の作業とこの部分の作業は連動できる、とか、介護職では思いもよらない発想とか工夫は絶対に生まれそうなので、そういう他産業のスペシャリストと介護現場のスペシャリストが互いに刺激しあって新たな技術を開発するというのは夢があって刺激的だなぁと思います。

特に超高齢社会の日本での実践は多くの国が注視しているので、そこで生まれた技術は必ず世界でも役立つテクノロジーになるはずですので、そういう資源が眠っているという風に考えてもらえるといいんでないかと思います。

作る側と使う側のギャップは想像以上に大きく、介護ロボットが介護現場に普及していく道のりは険しい。さまざまな業界で機械化が急速に進む中、介護業界はどの業界よりも遅くなるのかもしれない。

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もっとも技術を活用して現場の負担を軽減しないといけない介護業界が最も機械化が遅れるというのは皮肉ですね。
業界の保守的な気質とかも原因だと思います。
実際、機械化は無理だと思っている介護関係者も多いと思いますが、ケアの限界点と同じで、諦めてしまったらそこが頂上ですのでその先は見えませんし到達できませんので、やる前から諦めないでほしいなぁと思います。

関口氏は、「介護すべてを全自動でロボットに任せられることはない。基本的には人がやり、ロボットが補助としてかかわる形になるだろう。今後、日常生活の場にロボットは確実に普及していくだろうから、まずは介護施設よりも在宅介護の場面で介護ロボットが活用されるようになるのではないか」と述べる。

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在宅介護での介護ロボットの活用については、僕もおおいに協力したい所です。
ただ、自宅でそういう便利な道具があっても活用したくないという選択をされる家庭も多いので、そういう部分では本人や家族へのメリットと介護職員の負担軽減等のメリットも伝えながら理解を広げていく取り組みを、介護事業者・職員がしていかないと難しいだろうなぁ、と思います。

訪問介護でも、紙への記録は文句ないけど、スマホでの記録には文句がある、というケースもあるので本当にいろいろあると思います。

さて、こちらの記事は2015年の記事でしたが、そのころと今ではどうでしょう、どこまで普及が進んだか、これからどう活用が広がるのか楽しみですね。


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