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訪問介護の事業所数、初の3万5000ヵ所超 4年連続の増加で過去最多=厚労省統計・・・という記事の紹介です。

厚生労働省が28日に公表した最新の統計で、訪問介護の事業所数がこれまでで最も多くなっていることが分かった。【Joint編集部】

JOINT

ヘルパー事業所の数が増加傾向だった事はなんとなく報道で知ってはいましたがヘルパー自体の高齢化と人手不足(求人倍率15倍とか)もあって流石にそこまで右肩上がりではなかろう・・・と思っていたのですが、想像以上に右肩上がりでびっくりしました。

JOINTより

今年4月審査分で全国に3万5050ヵ所。前年同月より2.0%、678ヵ所多かった。増加は4年連続。3万5000ヵ所を上回るのは初めてとなる。

高齢化に伴う地域の介護ニーズの増大が背景にあるとみられる。訪問介護は要介護の高齢者の在宅生活を支える中心的なサービス。利用者数や保険給付費も増加が続いている。

JOINT

これだけ増えていると、その影響で求人倍率が高くなっている可能性もありますね。
まぁ、それだけニーズがあるという事ですけど、例えば僕が生活している北海道の過疎高齢化が進んでいる地域でヘルパー事業所が増えているかというとそうでもないので、ちょっともしかすると偏りがあるのかもしれません。

まぁ、都会なら潜在介護職も多そうなので、もしかしたら新陳代謝が活発に行われている状況があっての数値なのかもしれません。

NHKより

倒産した事業者はおととし2020年の年間118件を上回り、介護保険制度スタートにあわせて2000年に始まった調査で最も多くなり、負債総額も過去最多の207億3800万円に上ったということです。

内訳は、以下のとおりです。
▽「通所・短期入所」(デイサービスなど)63件
▽「訪問介護」40件
▽「有料老人ホーム」11件
▽「その他」10件いずれも前の年の同時期より増えています。

NHK

2022年度の倒産件数が過去最大だったというニュースからの引用ですが、ヘルパーも結構な倒産件数ですが、40件の倒産に対して、600件以上の開業という事みたいなので増えている場所では増えているんだなぁ・・・という感じです。

ただ、繰り返しになりますが増えている実感は特にないですね。

もっとも、サービスが必要なところに十分に行き届いているとは言えないのが実情。全体の提供量は増え続けているものの、人手不足などがネックとなって需要の伸びをカバーしきれていない地域が多い。

JOINT

人口47000人で高齢化率が37.9%という登別市の状況を見てもカバーしきれていない状況がありそうです。
紹介自体はゆるやかですが、近隣の室蘭市・白老町と合わせた上でも月の問い合わせが15件程度ある現状を考えると、開業したての当事業所としては有難い事ですが、いずれはマンパワーの限界に到達するわけですので、そのあたりの想定も考えた上で早めに人手の確保について具体化しないといけない状況と言えます。

厚労省によると、ホームヘルパーの昨年度の有効求人倍率は過去最高の15.53倍。手が回らずケアマネジャーからの依頼を受けきれない事業所が少なくない、との調査結果も報告されている

JOINT

手が回らずケアマネジャーからの依頼を受けきれない事業所が少なくない・・・と簡単にさらっと書かれていますが、これが大きな問題で、在宅生活を継続していくために必要なサービスを導入したいのに、サービスが導入できず、日常生活に困り介護予防のアプローチもできずにどんどん重度化してしまう、または同居家族が家族の介護に忙殺されて仕事に就けない、学校に行けない、という状況が増えているという事です。

この問題を放置すれば、地域で暮らせない高齢者が増えて入院や入所による医療費や社会保障費の増大を招きますし、ケアラー・ヤングケアラーを生んで財務省のいうところの約9兆円の経済損失を生む事になるわけです。

そして、そういう状況に歯止めがかからない地域では、どんどんと人口流出が起こって過疎高齢化が進んで担い手不在になっていくけど、援助を必要とする高齢者は増えていくか、経済力がある方は援助が受けられる地域に移住していく。いずれにしても地域の税収は減るので行政としても死活問題になるでしょう。

現場の関係者からは、テクノロジーの活用による業務の効率化、人材確保につながる処遇の改善などを求める声が多くあがっており、これは来年度の介護報酬改定をめぐる論点の1つにもなりそうだ。

JOINT

当事業所でもスマホでの記録やスケジュール調整、計画作成などの一連の作業はスマホで出先でも出来るシステムを導入しており、職員が介護以外の所で手間を感じる事を極力なくす努力はしていますが、そういう便利なシステムであっても僕自身が慣れるのに2~3か月かかったくらいですから、馴染みがない職員にとっては最初のうちは紙媒体よりも使いにくい印象を持つ職員もいると思います。

実際、書類によっては紙で手元に置いてあった方が安心・落ちつく物もありますので、全て電子化しておいて安心、という事にはならないのが実感です。

特に万が一電気が使えなくなった場合に完全に業務が停止してしまうリスクをはらんでいるので、そうならない対策が必要なのですが、そうであればアナログしか代替え策がないわけで、万が一の為にアナログで用意しておくという部分に非常に大きなストレスも感じるのも事実です。

個人的には電気が通じなくなるような緊急時に記録などを丁寧にとっておける余裕はないので、そういうのはシステムが復旧してから簡単に遡って整備すればよいとは思っていますけど。

処遇改善については、SOMPOケアが打ち出してきましたね。

相対的にキャリアの浅い人材にリソースを重点的に振り向ける。いずれもベースアップで、国家資格などを持っていない介護職員の給与を年12万円引き上げるほか、介護福祉士とケアマネジャーもそれぞれ年6万円上げる。対象となるのは約7000人。

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SOMPOケア公式サイトより

さて、7000人の職員の処遇改善という事で、非常によい取り組みと思いますが、全職員のうちのどの程度の職員が対象なのか気になったので調べてみました。

全職員の約28.9%の職員が対象です。

多い少ないは別にして、7000人もの職員の処遇改善ですからなかなかだと思います。

ただ、これは以前もSOMPOケアが行った処遇改善策の時に聴いた話なんですけど、現場職員というよりは、SOMPOの他部門から移動や出向してきた管理職の処遇アップがほとんどだったという話も耳にしたことがあります。

今回も資格を持たない介護職員を年12万円(月1万円)という事ですが、なんとなく現場職員の数にしては少ないような気もするので実際の所どんな感じで職員に分配されていくのかは気になる所です。

役職ごとの年収をみると、既に施設長・管理者で600万円から700万円ほど、ケアコンダクターで450万円ほどの水準を実現している。投じてきた原資は約34億円で、今回の6億円をあわせると総額はおよそ40億円にのぼる。

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どちらかというとリーダー層を評価して処遇改善してきましたので、そういう方向性は良いとは思うんですけど、上述したように介護現場からの生え抜きのリーダー層まできちんと評価してもらえていればいいのですが・・・

SOMPOケアは現在、テクノロジーやデータのフル活用によるサービス提供フォーマットの転換、業務オペレーションの最適化・効率化などに注力しており、これに対応している現場のモチベーションを高める狙いもある。鷲見COOはインタビューで、生産性向上で生み出す価値を介護職員に還元することで更なる処遇改善を目指す意向を示した。

JOINT

ちょっと嫌な見方をすると、ICT化による夜間帯の人員体制削減に協力的で有益なデータを出した施設の職員を対象にした処遇改善をしますよ、とも聞こえますし、これを実施する10月というのも来年度の介護保険制度改正の議論の大詰めの時期なので、ちょっとなんだか妙な想像をしてしまいます。

鷲見COOはインタビューで、「人手不足は介護現場だけの課題ではない。できるだけ多くの介護ニーズに質の高いサービスで応えられるよう、介護職員の処遇改善とともに持続可能な新しい介護への変革を進めたい」と意欲をみせた。

JOINT

いずれにしても介護職員の処遇改善については話題になる事なので、大手法人がこういう形で人材確保に乗り出しているという事は把握しておく必要がありますし、実際にどうかは別として、SOMPOケアならこのくらいの時給・月給だろうという何となくの基準にもなりますので、僕らのような小さな会社はいよいよ人材の確保は難しくなりそうだと思いました。

資金力では勝てないので他で勝負できる事を考えないと生き残れそうにないですね。

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