非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する放射線治療


非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する放射線治療の適応と意義

・乳房切除術が行われた場合には、胸壁に対する追加照射の適応はない。

・部分摘出術後では、5つのランダム化試験によりアジュバント(術後)放射線治療を行うことにより、局所再発率(特に浸潤がんの再発率)をおよそ1/2に減少できることが示されている(PMID:32442066)。
・4つの試験のOxford meta-analysisでは、アジュバント(術後)放射線治療を加えることにより、局所再発を28.1%から12.9%へ、浸潤がんの再発を15.4%から6.8%へ減少できることが示された。
・アジュバント(術後)放射線治療による全生存や乳がん特異的死亡への有意な影響は認められなかった。
・一部の患者(低グレードで適切な切除マージン(2 mm以上)で切除された場合で、腫瘍サイズ 2 cm以下)ではアジュバント(術後)放射線治療を省略できるかもしれない。
・しかしながら、このような低リスクの患者を対象として行われたランダム化試験(RTOG 9804)において、アジュバント(術後)放射線治療を行うことにより局所再発率を11.4%から2.8%に(HR 0.26)、浸潤がんの再発を5.8%から1.5%(HR 0.34)へ低下させていた(PMID: 25605856
・従って、現時点では低リスクの非浸潤性乳管がん(DCIS)の患者に対する放射線治療の省略は、臨床試験の場合のみに限られる。

・アジュバント(術後)放射線治療では、一般的に45~50 Gy(または 2 Gy換算で同等の線量)の照射が行われる。
・一方、腫瘍床に対する照射線量を増加させることにより局所制御を改善できることが示されている。
・BONBIS試験やTROG 07.01試験の結果が待たれる状態であるが、局所の予後因子によってはブースト(追加)照射も検討できる。

Hennequin C et al. Cancer Radiother. 2022. PMID: 34955414


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