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【映画感想】米最高の狙撃手の葛藤 映画『アメリカン・スナイパー』    

この記事は映画『アメリカン・スナイパー』のネタバレを含みます。ご注意下さい。

 こんにちは、とある学生です。今回は書籍の映画化作品『アメリカン・スナイパー』を観ました。元となった書籍は主人公クリス・カイルが書いたノンフィクションです。
 当時、この映画と書籍の広告では「米最強の狙撃手」というフレーズが使われていました。まだ幼かった私は、MARVEL映画のようなヒーロー(主人公)が敵をかっこよく倒してくれる話なのだろうと思って書籍を読みました。ところが読んでみると主人公の感情や戦争の影響が描写されている、DC映画も軽く超えるヘビーなお話でした。

父が子に与えた影響

 序盤の回想で、クリスの父親が食事中に語る話は説得力がありますが、日本でこんな話をする人はほとんどいないと思いますし想像できません。
”羊 狼 番犬”
 育て方が厳しい厳しくない以前に考え方が違いますね。軍に入って国を守ることが日本に比べてメジャーで、とても名誉なことであると考えるアメリカならではの教えなのではないでしょうか。

残酷すぎる戦場

 戦場において年齢、性別を区別する余裕はなく、クリスも子供と女性を撃ちます。この時の表情は辛さや後悔のようなものを感じさせます。戦争は対立するグループの兵士とその家族、そして戦地の人を巻き込むということは言葉としては理解していたつもりです。しかし、この映画で描かれている戦地の住人への被害を見ると、実際の戦争がもたらす影響は平和な日本に住む私達にとって、到底理解できないものなのだと実感させられます。

クリス・カイルの葛藤

 親子を撃つ時、RPGを持った男の子を狙う時、ムスタファを撃つ時、クリスは葛藤しますが、彼が最も長く抱えていた葛藤は自分が兵士なのか父親なのかということだったのではないでしょうか。妻とのすれ違いは見ていてとてもつらかったです。
 最終的には上手く着地点を見つけられて、本当に良かったです!

国を愛する人々の格好良さ

 今作の最後には、亡くなったクリスを追悼するために多くの人が国旗を持って集まっている様子が見られます。自分のグループ、コミュニティに命を懸けられる程の誇りを持ち、それに伴う行動を評価する人があんなにもいるというのはすごく稀なことに感じます。コミュニティを量産できるようになった今だからこそ、こういった濃密なコミュニティに少し憧れます。

戦争映画×自伝の受け取りづらさ

 私はこの映画の中盤まで戦争の残酷さを見せられ、変わっていくクリスを見せられ、「戦争は良くないことです。やめましょう。」という反戦映画なのだと思って見ていました。
 しかし、仲間の仇を取るために復讐しに行くという場面でいきなりアクション映画に変わってしまったように思ったのです。これによって、この映画が国を守るための殺人を否定していないことに気づきました。これはクリスの自伝が原作なので仕方のないことではあります。何かメッセージを得ようとするのではなく、こういう人が実際にいたのだと、素直に受け止める
けに留めておくべきなのかもしれません。

最後に 書籍について

 自伝である以上映画よりも書籍の方がクリスの心情は良く理解できます。加えて、文字から自分で情景を想像する都合上、次に何が起こるのか分からないので狙撃時の緊張感などは書籍の方が上回ります。時間さえあれば書籍も読んで見てください。

さいごまで読んで頂きありがとうございました!!


 画像の出典
映画『アメリカン・スナイパー』オフィシャルサイト (warnerbros.co.jp)






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