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【映画感想】金は時なり、時は命なり 映画『TIME』

この記事には映画『TIME』のネタバレが含まれます。ご注意下さい。



あらすじ

 科学の進歩により全人類が老いなくなった世界。人々は25歳時点で老いが止まり、外的要因または腕に表示された”寿命”が尽きるまで生き続けられるようになった。同時に通貨は”寿命”へと置き換わった。人々が1分1秒を必死に稼ぐ貧民街出身のウィルは、”寿命”=時間を支配する富裕層に反逆する。

独特の世界観

 今作の一番の目玉はその世界設定です。光熱費から交通費、娯楽までありとあらゆるものを自分の時間で払わなければならず、労働の対価も時間になっています。どういう原理で若さを保ち、どういう原理で時間切れの人が死ぬのか等、気になる所は多々ありますが、そこを描写していたらいくら時間があっても足りないでしょう。そういうものなのだと割り切って観ました。

時間が通貨となる影響

 誰しも漫然と時間を過ごす事があるのではないでしょうか。しかし、自分の寿命が見えるとしたらどうでしょう。無駄にする時間は少しもなく、増やせるチャンスがあれば全力で増やすはずです。時間が有り余っている富裕層は別として、貧しい人々の労働効率は最高でしょう。ただ、常に時間(死)に追われるストレスは相当だと思います。

貧民と富裕層

 今作では貧民と富裕層が対照的に描かれます。街並みや服装はもちろんですが、一番印象に残った違いは時間の使い方です。貧民は一日一日を生きるために時間を使っています。命のために時間を使っていると言ってもいいでしょう。一方で、富裕層は有り余る時間を豊かに過ごすため、豪勢なモノや体験に文字通り時間を使っています。時間のために時間を使っているのです。

あり得ない時間の不平等

 本来、時間は生まれた人類一人一人に平等に与えられるリソースです。お金などとは違い保証されているはずの時間を独占するとは、人の欲は恐ろしいです。主人公ウィルの母親もこの不平等のせいで犠牲になります。時間を渡すまであと少しの場面で突然脱力するシーンは、かなりショッキングです。

テンポの良い(良すぎる?)展開

 全体を通して話がかなりサクサク進みます。ウィル達は常に時間に追われているわけですから当然かもしれません。ただ、母親の死やシルヴィア(ヒロイン 富裕層の生まれ)の心境の変化があまり深く描かれていなかったような気がします。加えて、ウィルの父親についてはさんざん匂わせていたのに、何も分からないまま終わっちゃいました;;

ネズミ小僧?ロビン・フッド?時間を奪う義賊

 最終的にウィルとシルヴィアは時間を盗んで貧しい人々に配る、義賊のような活動を続けていきます。ウィルが目指していた体制の崩壊に向けて一歩踏み出したわけです。しかし、詳しくは描写されませんが、人が死なないことによって人口増加問題が起きることも考えられます。(老いないので子供もずっと作れます。)

最後に 

 25歳時点で1年寿命がもらえてスタートする(取引できる)ので、25歳になった瞬間全ての時間を回収して1年を生産するえげつない時間生産工場があるかもと思っていたのですが、結局ありませんでした。
 ところどころ「もっと深堀りして…」と思う場面があります。伏線も回収しきれていない感が強いです。ただ、それらを上回る設定の魅力がありました。時間に関する皮肉?ジョーク?掛詞?も面白かったです。

最後まで読んで頂きありがとうございました!!

画像の出典
映画『TIME タイム』評価は?ネタバレ感想考察 - 映画評価ピクシーン (pixiin.com)
TIME/タイム | 映画の動画・DVD - TSUTAYA/ツタヤ (tsite.jp)

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