とある古器物研究室

中国古代史・中国文化遺産学を研究する大学研究員・石谷慎のアカウント/東アジア古代の歴史…

とある古器物研究室

中国古代史・中国文化遺産学を研究する大学研究員・石谷慎のアカウント/東アジア古代の歴史を古器物を通して研究しています。現在試験運用中・・

最近の記事

【雑談①】『春秋戦国時代の青銅器と鏡』(博論本の出版を終えて・・)〈覚書〉

わたくしごとながら、3月末に自著『春秋戦国時代の青銅器と鏡 —生産・流通の変容と工人の系譜』を出版いたしました。 ちょうど所属大学で学生向けに博士論文提出から出版に至る経緯を話す機会をいただきましたので、ここでも本を出し終わっての感想や、博論本出版のポイントのいくつかをまとめてみたいと思います。 博論を「本」にする 研究を始めて十数年、それなりの数の論文を執筆し、図録や翻訳本の編集に携わることはありましたが、「本」の出版ははじめてでした。 といっても、今回出したのはい

    • 【古器物のはなし①】古器物とは?

      最初のテーマは、ずばり・・・「古器物」とはなにか?です。 「古」とはなにか?「器」とはなにか?紐解いてみたいと思います。 「古」とはなにか? 漢字の「古」には、「ふるい」こと、また「いにしえ」の意味があります。 角川『新字源』には、「神を象徴するかんむりの形にかたどる。神の意から、転じて『いにしえ』の意に用いる」という説明のほか、「十と口から成る会意で、十代も語り伝えるむかしのことの意」とあります。 後者は後漢時代の字書『説文解字』に、「故なり。十・口に従う。前言

      • はじめに

        初回ということで、自己紹介を兼ねて、このnoteのガイダンスです。 簡単な自己紹介 わたしは京都の大学で中国古代史・中国文化遺産学を専門に研究しています。 主な研究テーマは「青銅器や青銅鏡を資料とする中国古代史の解明」ですが、中国の古い時代のモノ全般に興味があり、最近では歴史学・考古学・美術史学など様々な研究方法をとりいれた「古器物学的研究」の実践を意識しています。 (「古器物とは?」という疑問はいったん置いて、)このnoteではモノにまつわる話を多くしていくことになると

      【雑談①】『春秋戦国時代の青銅器と鏡』(博論本の出版を終えて・・)〈覚書〉