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#8-S マスク着用で表情判断が鈍る

タイトルだけでは当たり前やん、と思うかもしれませんが、科学的に検証した論文がありましたので、ご紹介。なんとマスクが表情知覚に与える影響を検討したのはこちらが初の模様。

Carbon C-C (2020) Wearing Face Masks Strongly Confuses Counterparts in Reading Emotions. Front. Psychol. 11:566886. doi: 10.3389/fpsyg.2020.566886
※ 下記の文章にはこの論文の内容紹介を目的として論文記載内容以外の事項も含んでいます。以下の内容が論文内容そのままというわけではありません。

経験からもわかるように、表情の読み取りは完璧ではないですね。大体はわかるけど、どういう表情かわからないってことちらほらあります。表情が曖昧だともちろん分かりにくいでしょうし、顔の一部が隠されていたりしても表情は読み取れません。もちろんです。

マスクはその名の通り顔の一部、主に鼻と口を覆い隠します。これはマスクを着けているひとの表情はなかなか読み取りにくいのではないか、ということを調査した研究です。

日本人からするとさほどマスク着用自体はコロナ前から違和感はないものでした。それはアジアは顔を隠す文化あるからですね。こちらの画像でよくわかります。

上列が欧米圏、下列がアジア圏の「マスク」

ね、目を隠して口隠さず、が欧米圏、目は隠して口隠さず、がアジアなんですね。欧米人がよくサングラスかけてるのもそれですね。日本人だとイキってるようにしかみえない。この前うちの学生で校舎内でかけてる子いたけど。恥ずかしいとかないのかね…?
‥なので欧米では、コロナ禍においてマスク着用が強制となっている現状にとても違和感を持っているのです。さらにマスク着用が認知や行動に与える影響なんて研究はされてこなかったわけです。

顔認知の研究として、どの領域からの情報が重要かなどの研究はこれまでも展開されていました。例えば幸せな表情や悲しい表情は口が見えないと認識効率が低下する、怒り顔は口見えなくても大丈夫、などがわかっています。でもこれらはマスクの効果を直接みたわけじゃないから、ということでこの研究です。

36名を対象に、オンラインで実験を行いました。使われた画像は以下。

論文のFigure 1. 6つの表情と、それをマスクで覆い隠した表情が呈示された。

実験参加者は、このような画像の中からランダムに1枚ずつ画面に呈示されるのでその画像が表す表情をangry(怒り), disgusted(嫌悪), fearful(恐怖), happy(幸せ), neutral(真顔), and sad(悲しみ)の中から選択して回答しました。その回答がどのくらい正解するか、って単純な話です。

論文内Figure 2. 表情ごとのマスク有無それぞれの場合の正答率。fearfulとneutral以外はマスクがあると正答率が大きく低下。

こちらが結果。やはりマスクがあると正答率はかなり落ちます。が、恐怖表情と真顔については変化しないとのこと。グラフ上の「****」は、そこに統計的に意味のある差があったよ、というマークです。有意差(ゆういさ)
といいます。

基本的にこれまでの知見、つまりマスクではないけど顔のパーツを遮蔽して表情について答えさせた研究と整合する結果となりました。恐怖でマスクの効果がなかったのは、恐怖表情は隠れていない目の領域が重要だから。また、マスクありだと他の表情が呈示されたときに真顔に間違えられることが多かったので、マスクによって「表情」として認識されなくなったのだろうとのこと。

これは実験であり、最大限わかりやすい画像をつかっています。日常生活ではさらにわかりにくい状態などが生じることが容易に予想されますね。一方で、日常では話の流れや状況、動作など、感情を知る助けになる要因がたくさんあるので、それらから感情を知ることは可能でしょうね。

まとめ
マスクつけると多くの表情がわからなくなるよ。

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