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浮遊戯

迷うでもなく
恥じらうでもなく
ただ一息にこと切れる椿のように
世界樹から切り離されて
また土へと還ってゆく
君の死と僕の生との不思議さに
素足を取られそうになるけれど
心だけが浮かんでいる
オアシスが此処にある

死から離れて
詩と繋がって
識らない景色の心地よさを
知っている言葉の空白で埋めて
冬を花で飾り
夏を雨で潤し
墜ちてゆく暗闇の行方を灯しながら
心だけが浮かんでいる

言葉をくづして
はこんで はこんで
魂の揺籠ゆりかごとならんことを
愛を綴じこめて
はこんで はこんで
魂の墓場とならんことを

朽ちてゆく世界樹の冥福を祈りながら
心だけが浮かんでいる

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