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20年後の妄想代理人(二次創作)

推しの誕生日生配信は、クイズコーナーに突入している。
 
 「それじゃあ〜第8問!ウミベが生まれた2004年に大流行していた、このキャラクターの名前はなんでしょう?」
 なんだこのキャラ。すごい、「平成」って感じ。まあ可愛いけど。私、知らない。2004年って、生まれてないし。 
 メンバーも、ウミベも眉を八の字にして、困ったような半笑いを隠せない。
 「はい、これ、あれでしょ、マロミでしょ、マロミ。」
ぴんぽーん、正解はマロミでした!さすが最年長デンシは違うな、オッサンだあ、等とヤジが飛び交う。

 「わあ、懐かしいねえ、マロミ。流行ったんだよお、お母さんもマロミのメモ持ってた」
 「こんなキャラがあ?っていうかメンバー喋ってんだから、ママ黙ってよ」 
 「流行りってそんなもんだよ、後から思い返すと何だあれ、って思うんだけどねえ。そうそう、マロミのメモはお父さんがくれたんだよお。事務ですんごいミスして、上司に詰められて泣いてた時に、サッと渡してくれてね。それが、『〇〇ちゃんは悪くないよ』っていう、マロミの決め台詞がプリントされたメモだったわけ。お母さんは悪くないよ、って遠回しに励ましてくれてるんだ、ってその場でもっと号泣しちゃってえ…」
「あーっ、もううるさい!ウミベ何て言ってたか聞こえなかったじゃんっ。部屋で見る!」

 うるさいな、ホントに。マロミとかいうやつも結局廃れたんじゃん。ママとパパの昔話もどうでもいい、そんな過去の話。

 「それじゃあそろそろ配信もおしまいということで、最後に今日の主役、ウミベからメッセージ、お願いします!」

 過去の話でしょう。私は今を見たいんだ。

 「みんな、今日は誕生日をお祝いしてくれてありがとう!」

 今をどうにかしなきゃいけないんだ。

 「今日は楽しかったかな?みんな今、楽しんでくれてる?」
 
 吹部では、デキる後輩をもてはやす役目に徹してて、

 「今楽しくても、明日からまた学校とか仕事とか、日常に戻らないといけないの、なんか寂しいよねえ」

 やる気ない後輩ちゃんと指導しろよ、って何故か私が顧問から怒られて、

 「日常で、辛い思いしてる人とかも多分いるよね。僕のブログにも、毎日のように今辛いです、ってコメントが届くよ」

 空いた時間で勉強頑張っても、第一志望はE判定から全然変わんなくて、  

 「うまくいかないことが続く時期とあるもんねえ、辛いよね。僕もそうやって、もがいてるみんなを見てると、辛くなるよ」

 友達とも遊びの予定合わないし、なんか拗れてきた感じがする、今を。
 
 「でも、何があってもみんなには、僕がいるから。」

 それでも、大丈夫だよね。私にはウミベがいるから。

 「辛くなっても、みんなのための居場所、ここにあるからね。だから、大丈夫。」

 ウミベがいるのなら「今」を切り抜けられる気がするから。私は真っ当に生きていけるから。

 「大丈夫だからね!僕がいつも言ってること、思い出して、大事にして。」

 だって、いつもウミベ、こう言ってくれてるじゃん。

 
 「みんなはさ、悪くないよ。
 全部、他の何かのせいにしていいんだよ。」

 
 その言葉は、いつになっても廃れない。


(好きなアニメ、「妄想代理人」がちょうど放送20周年ということで、記念に二次創作の小説を書いてみました。
小説をちゃんと書いたのも、人に見せるのも初めてです。拙い文章でしたよね。
結局何も変わってない、ということを何とか書こうとしました。)

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