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【地方創生】格差是正は進んだのか

地方創生の目的の一つである東京の一極集中を是正する為に叫ばれる、都市部と地方の格差是正。
逆説的だが、地方の均衡ある発展を目指した結果、特色がなくなり東京一極集中が加速するという事態になったことは以下の記事で指摘した通り。

国と地方がそれぞれの利権の根拠として主張する国内における地域格差は、戦後70 年をかけどうなったのかについて調べた。

日本における地域格差とは、以下の3つを含む概念と考える。

1.就労機会の格差
2.賃金収入の格差
3.利便性・生活の質の格差

3.の利便性と生活の質は年代や性別、職業によって求めるものが異なるので一概には割り切れない。自然に囲まれた田舎の方が住むには良いという人もいれば、店舗が多い街中の方が便利だという人もいる。

よって、OECD(※1)によって開示されている国際的なデータがある1.と2.について分析したい。

(※1)経済協力開発機構(けいざいきょうりょくかいはつきこう、英: Organization for Economic Cooperation and Development, OECD)は、ヨーロッパ、北米等の国々によって、国際経済全般について協議することを目的とした国際機関。(Wikipedia)

最初にデータ、次に引用元のリンクの順に掲載する。

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1.就労機会の格差

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このグラフは失業率の全国平均を縦軸にとっている。
国名の下の数字が、地域の数だ。日本は10の地方区分に加え、参考として47都道府県の項目も設定されている。

国と地域の大きさ、土地の居住の適性もあるので単純には比較できないが、それにしても日本は失業率の地域格差が低いことが読み取れる。
そもそも世界的に見て日本自体が失業率が低い中での統計であるが、決して特筆すべきような状況では無いことが、比較して読み取れる。
世界的に見て、都市部と地方の就労機会に深刻な差があるわけでは無い。

アイルランドなど失業率が高くとも地域格差が少ない国はそもそも比較対象となる地域数が少ない。この地域数が少ないと格差が少なくなるのは表全体に見られる傾向である。逆にベルギーは、地域数が少ないにもかかわらず、極端な格差がある深刻な状況だ。

そう見ると、日本は地域数がある程度多いなか、国全体の失業率が低く格差も少ない。

次に、国内の地域ブロック別の失業率を見る。

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全体的傾向として、格差は縮小する傾向にある。格差の幅も全国的な傾向も逓減している。

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2.賃金収入の格差

これは分析が非常に難しいことが分かった。

まず、下図を見てもらいたい。

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戦前から1945年の敗戦を経て、現代に余るまでの所得格差の長期推移グラフである。
格差の単位はジニ係数だ。(※2)

(※2)所得格差を示す指標であり、完全な所得分配ができている場合は0、1つの世帯が所得を独占している場合は1となり、この0と1の間でその所得格差の度合いを示す。
https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/reduced_inqualities_sdgs/4358/

複数の研究者によるグラフが写されている。

まず戦前までは明らかに、格差が開いていた。そして、戦争直後は国全体が貧しくなったという事で格差は一旦少なくなる。

グラフ掲載のサイトから、引用しよう。

1973年のオイルショック以降の安定成長期に入ると所得格差の動きは横ばいとなったが、(中略)バブル経済に向かう1980年代の方が大きく、最近になってにわかに格差が拡大して来ているわけではない

更に高齢者が含まれているため、実際はもっと格差は低いという。

所得格差が大きいのは、高齢者世帯相互であり、世帯主の年齢別の所得格差は安定的に推移しているため、高齢化要因を除去すると、全体の格差の拡大のうち真の格差の上昇は4分の1程度。

共働きの場合は夫婦間で格差があるとも言える。

世帯主の所得とともに共稼ぎ世帯の増加による配偶者所得の格差拡大の影響が確認されている

結論は以下の通り。

1990年以前の経済安定期では格差の拡大を判定できるが、1991年以降の経済停滞期については格差動向を判定できない

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参考に国際比較を載せておく。

画像4

解釈を複雑にすることを避けるため、グラフ製作者の分析を引用しよう。

主要国の所得格差の傾向については、全体として、格差拡大に向かっていることが明確である。
日本の場合は、2000年をピークに小泉政権期にやや格差が縮小した。その後は、再度格差が広がりつつあったが、2012年には再度縮小した。全体としては2000年代以降ほぼ横ばいともいえる。
日本は格差の小さな国から大きな国になったのではない。つまり以前より比較的に格差が大きかったのであり、変化があったとすれば格差が小さいという幻想が消滅したのである。小泉改革は格差を拡大したのではなく、格差が小さいという幻想を打ち砕くことに成功しただけであるといってよかろう。
 なお、全国消費実態調査の計算結果が正しいとすると日本の格差水準は今やスウェーデン並みと判断せざるをえない。
 日本について、全年齢のジニ係数と高齢化要因を取り除いた生産年齢人口(ここでは通常の15歳以上ではなく、18歳以上で65歳未満の人口)のジニ係数の推移を比べると、前者の方が後者をだんだんと上回るようになっており、この差の拡大が高齢化の要因による格差拡大といえよう。

点線の日本の参考値を見ても明らかなように、国際的に見て日本は特段格差が大きいと言えず、むしろ所得が無い高齢者がふえているから経済の状態が悪く無くとも格差が広がるのは当たり前という話だ。

所得格差は是正したのかと問えば、国際的にそれ程悪いわけでは無く、かつ昔よりは悪くなっていない。共働きが増え、高齢者が増えたことにより、単純な比較ができなくなってきていると言うのが結論になる。

正にハンス・ロスリングの著書ファクトフルネス(※3)で読み解くような、思い込みによる誤謬に囚われた状況ということか。

(※3)ファクトフルネスとはデータや事実にもとづき、世界を読み解く習慣

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