心に太陽を持て
君たちはどう生きるかを読んで、
それが元々は山本有三が書く予定だったことを知り、
この『心に太陽を持て』を手に取った。
世界の偉人やそうでない人、エピソードを集めており、子どもたちのための本を、という思いが伝わってくる。
特に印象深かったのは
動物好きのトマスとファラデーの違いについて読者に問いかけているところ。
天性の動物好きで、
その方面で偉大な仕事が成せる資質を持っていたのに、何も残さず終わったトマスと
同じく根っからの科学好きで
電磁誘導の法則など様々なところで人の役に立つ業績を残したファラデー
この二人は何が違うのだろうと。
トマスは動物が好きというだけで学問をおさめなかったから
一心にかきあつめた知識を、体系立てることができなかった。学問にすることができなかったのだと言う。
ファラデーの項を見ていると、
その他にも違いがたくさんあることに気づく。
ファラデーは、当時の科学の第一人者とも言える人物に師事している。
自分など相手にされないだろうと諦めず、
何でもするから近くにいさせてくれと頼み込む熱意、勇気。
そして、
この本にはそこまで描かれていないが、
ファラデーはたくさんの導きを得ただろう。
自分で自分をあきらめない心と、
第一線に飛び込む勇気、
そして自分を導く師、
これがトマスにはなく、ファラデーにあったものではないだろうか。
こういった正しく、善く、人の役に立つ生き方をしてほしいという
山本有三のおもいが伝わってくる一冊だった。
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