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オー・ヘンリー傑作集2

オー・ヘンリー『オー・ヘンリー傑作集2最後のひと葉』を読了。

最後のひと葉を読んでみたかったが、どうせ
ならと他の作品も読める傑作集を選んだ。

軽快な短編ばかりで、
最後のひと葉のような作品ばかりかと思ったら
どちらかというと最後のひと葉が異色だったように思う。


犯罪者の主人公がよく登場するのは、
自身も刑務所にいた経験からか。

オー・ヘンリーの経歴を見ると、
幼い頃に母が亡くなり、
私塾を営む叔母のもとで育てられた。

その頃に本が好きとなったが、
薬剤師やジャーナリスト、銀行の出納係として働きながら、
並行して執筆活動も行っている。

やりたいこととやらなければならないこと
執筆と生活の維持、その間で葛藤した日々だったのではないか。
後先考えず全てを投げ出して、執筆活動に専念するという選択肢を取らなかったところを見ると、かなり慎重な性格だったのではと思うが、
オハイオ銀行のお金を横領した疑いで起訴されている。
真偽はわからないが、結局懲役8年の有罪判決。

ただ、この服役が、
小説家としての核を作り上げたのではないかと思われる。
服役中にも密かに新聞社などに作品を送り、出版にこぎつけている。

やりたいこととやらなければならないこと、
その間で葛藤する彼を、
この服役が期せずしてやりたいことの方へ踏み切る後押しになったのではないか。

私的、印象に残った作品は、
「救われた改心」「運命の道」

特に「運命の道」は、
右に行くか左に行くか、まっすぐ行くかで
主人公の運命が変わることを描くのかと思いきや、
同じ結末に辿り着く。

そこには、選択肢は無数にあるが、
結局どの道に行くかではなく、自分自身がどう生きていくか、その核の部分わ追い求めることを怠ると、どの道を選んでも同じような人生になる、ということを描きたかったのだろうか。
読み手によって考えることが変わりそうな作品であった。

オー・ヘンリー傑作集の短編を読み終えていくと、
不思議なことにバスター・キートンの作品を思い出してしまう。

私だけかもしれないが、キートンを映画を見終わった後のような読後感を味わった。

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