WAIS-IVの結果が返ってきた【言語性凸動作性凹】

10月中旬にWAIS-IVを受けて、約2週間ほどで結果が返ってきました。
先程フィードバック面談を終えたので、備忘録的に結果をまとめようと思います。

大体予想通り

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最初に数値の見方について説明がありました。

縦軸からざっくり言うと
・言語理解=語彙力、知識を積み重ねる力、及びそれを適切に使う力
・知覚推理=目の前の課題を考える力、ひらめき
・ワーキングメモリー=短期記憶能力、情報の整理能力
・処理速度=機械的な作業を正確にこなす速度

横軸は左から
「合計得点」=100を同年代の平均として見る。100±10が平均の人の範囲で、80を下回ると知的障害のラインに入ってくる。

「パーセンタイル順位」=100人いたとしたら、低い方から数えて何番目に位置しているのかという順位。つまり、70と書かれていれば順位的には100人中30位となる。

「信頼区間」=誤差の範囲。
検査を受けた時のパフォーマンスは日によってブレがあるので、ある程度誤差があったとしても、この中に収まるであろうという範囲。

僕の場合、言語理解(VCI)130際立っていて、その他の知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度といった項目は平均の100以下といった結果でした。

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知能検査は各数値の絶対値を見るのではなく、各数値を相対的に見ます。
なので僕の場合、言語理解130>知覚推理93というのは数値的に相当開きがあることを示しています。

この開きがあると何が問題なのか?

基本的に一般人は数字は100前後で並ぶので、困りごとがあってもそれほど困難に感じません。ステータス的にはジェネラリスト(マリカーで言えばマリオ)なので、能力相応の仕事に就くことができればほどほどに広く浅くやっていくことができます。
逆にこの数字に差があると、「できるところ」に目を向けられて、それと同じスペックを求められて辛くなることが多いです。

今回、僕の検査で心理士が補足で書いてくれた紙には「言語理解がなまじ高いだけに他の能力との差で、劣等感が生まれやすい」みたいなことが書いてありました。
つまり、東大卒のエリートが満を持して上場企業に入社したはいいけど、入ってみたら全然使えないやんみたいなことが起きる。

こういうタイプは会社の面接や筆記試験は時間があればいくらでも準備ができるのでほぼ通るんですけど、会社に入ってから単純作業でも処理速度が遅い、電話をとっても相手が何を言っていたのか忘れたといったことが目立ってきて、こいつ口だけで全然できんやん…となることが多々あります。

少し調べてみたら、発達障害の人は今回の僕のような「言語性凸、動作性凹」のようなタイプが多いらしいです。主治医曰く、このタイプはASDの傾向があり、インプットは強いがアウトプットが弱いとのこと
ASDの傾向があると、他人に気が使えない、配慮が足りない、報連相を忘れるといったことがバンバン起きます。
さらに、不器用で行動がゆっくりしているから「頭でっかち」「ドンくさい」「マイペース」と言われ、なぜ他の人は普通にできるのに俺はできないんだと自分を強く責めてしまう。

もうやめてくれ…!!!!思い当たる節がありすぎる……!!

相対的にみると、言語的な能力が非常に高い分、そのレベルで他の能力も求められてしまうので、その期待に応えようとして無理をしてエネルギー切れを起こす可能性があり、それを残業でカバーしようとしてさらに体調悪化の悪循環になる人が多い。

つまり、WAIS-IVでの僕と同じような結果になった人は、低い動作性IQに合わせて自分の無理のないペースで仕事ができる、そんな夢みたいな会社を探すか、自営業やフリーランスで専門的なスキルを活かすのがおすすめということになります。
発達障害で社会からドロップアウトしてしまう人は、そもそも短期離職が多くて、十分なキャリアも積めないのに、社会人になってからそんなこと言われても、どうしろっつーねんって話ですよね……

知識面での優秀さをアピールするにしても、サラリーマンとして生きる場合(クローズで働く場合)、普段ポンコツなんだからそのアンバランスなステータスをなるべく隠しながら生きていかなければなりません。そしてそれはめちゃくちゃしんどいです。
説明が上手い、思考が深い、考える力がものすごいとか脳みそをフル回転させるだけの仕事って相当業種が狭くなりますから、一般人には狭き門ですよね。

僕も塾講師のバイトをしていた時、授業はめちゃくちゃ楽しかったけど、裏での事務作業はとてつもなくしんどかったです。
演劇サークルに入っていた時は、台本を書いたり演出をするのは好きだったけど、キャストのスケジュール調整や予算管理はダメダメでした。でも学校やバイトまでなら勉強ができれば何とかなるんですよ。

社会ではぶっ飛んだ能力よりも「それなりに」できることが求められます。興味のあること以外には見向きもしないとかこだわりが強すぎる性質はうまくハマらない限り、生きづらさしか感じないでしょう。
「それなりに」というのは健常者が生まれながらにして持っている自然感覚的なものなので、僕らには言葉で聞いて理解はできても、実行ができません。むしろなんでそんなことするの?とすら思うかもしれません。

もちろん社交的な性格や高いスキルが認められて、そのまま生き抜いて行ける人もいますが、今苦しんでいる人は特性上できないことがあるというのをこういった検査を受けて参考資料として用いながら素直に周りに打ち明けて、なんとか長くやっていく方法を探していくのもありです。僕もこれから探していきます。一緒に頑張りましょう。
障害を持つ学生さんであれば特に知能検査でも福祉でも使えるものは何でも使って、徹底的に自己分析をして、今後の身の振り方を真剣に考え抜いてほしいと思います。

補足

僕が受けたのは障害者支援センターなどの公的機関や病院ではなくて、臨床心理士の方が個人で開所している民間の心理相談室でした。

これには理由があって、一つは通院している主治医が紹介してくれたこと、もう一つは高い料金を払ってもいいから、今後の仕事探しの指標になる参考資料なので、なるべく早く知りたかったからです。

時間がかかってもいいから安く受けたいという方は「WAIS ○○(お住まいの自治体)」と検索して、まずは電話で相談してみてください。
場合によってはWAISを受けるかどうかの面談がまず3か月くらいかかったり、生育歴を詳しく知るために親の同行が必要になったり、申込書を提出する必要があったり、ちょっと面倒な手続きがあると思います。



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