見出し画像

高齢者じゃなくなる? 老後を奪うな!

 6月に策定予定の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」のために、昨日(5月23日)経済財政諮問会議が開かれた。
 主に社会保障費の抑制策が議論されたと報道されており、財政試算を前提に医療や介護費用の削減が今後検討される。

 民間議員(十倉経団連会長等)からは、医療費の適正化に向けた地域差の是正、介護保険サービスの2割負担対象者の拡大等が提言されたそうだが、一部報道で気になったのが「高齢者の定義を5歳引き上げる」という提言。
 つまり、高齢者の定義を65歳から70歳に引き上げようということ。

 筆者(67歳)は、高齢者になったぁ、と思って1年半。また「普通の人」になってしまうらしい。そして2年半が経つとまた高齢者に。
 そんなの辺だ、と思うので調べてみた。
 「高齢者って何?」

 そもそも厚労省はこう言っている。
 「何歳以上を高齢者と呼ぶかは、時代や地域によって異なりますが、現在、世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者としています。日本では行政上の目的によって異なり、「改正道路交通法」では70歳以上を「高齢者」として、(略)その一方、「高齢者の医療の確保に関する法律」(昭和57年法律第80号)では、65歳以上を高齢者とした上で、65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と分けて定義しています。

 今回の「骨太の方針」は社会保障費抑制を前提に議論しているので、社会保障を厚くする対象である高齢者を少なくすればいいだろう、ということに聞こえてくる。

 交通安全や医療費抑制、それから労働力確保、年金財政の健全化と、お上の目からみれば、高齢者の定義年齢を引き上げることは現実的であり、必要なのだろうと思う。
 しかし、高齢者本人の立場にたって考えて欲しい。
 人間は、平均寿命が伸びようや健康寿命が伸びようが、マクロの話であって、個人的には現在の日本人は役職定年(企業によってばらばらだが)の55歳程度まではほぼ全員が働き過ぎ。高齢者になってやっと健康である限り余暇を楽しめるのである。睡眠負債という言葉があるが、日本人はほぼ余暇負債を抱えているので、老後にそれを返さなければならないのだ。高齢者から老後を奪うな、と主張したい。
 
 つまり、高齢者の定義を延長するのなら、高齢者の「第二の人生」時間(老後)を確保することを前提に議論を組み立てて欲しいのだ。現在、現役世代の人たちが余暇負債を貯め込むことのないような働き方ができているのなら、そうした世代から高齢者年齢を引き上げれば良い。
 働きづくめで暮らしてきた現高齢者から「老後を奪うな」。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?