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環境マネジメントシステムの解説記事

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18年間担当した環境活動(ISO14001の運用を含む)について、成果が出る方法やポイントの連載記事です。
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連載記事#00|無意味な環境活動から脱却する前提条件とは?《ISO14001解説》

今やほとんどの企業が取り組んでいる環境活動。 サステイナブルやSDGsなどの源流とも言える社会問題の一つで、20世紀後半から解決に向けてきた歴史があります。 しかし、昨今の環境活動って達成感のないイメージではありませんか? ゴミを捨てるのに手続きが多い もったいないという言葉と共にサービスが悪くなった CO2削減と言いつつ消灯ばかり 環境の為にと言いつつサイレント値上げ 一向に改善されない地球環境と自分ではどうにもできない無力感 なぜそんなイメージになるのでしょ

連載記事#05|プランとスケジュールの違い《ISO14001解説》

日本語には無い「計画」の意味ISO14001を理解する上で知っておくべき事の一つに、「原文は英語であり、JISが翻訳している」という事実があります。 これはどういう意味かと言うと、英語でのニュアンスが日本後で訳しきれていない点が含まれているということです。 (だから、若い時に受講した講師から英文を読みなさいと教わりました) さて、その訳しきれていない表現の代表格として「計画」という日本語があります。 原文(英文)では、 ①plan ②schduel の2つの意味で間接

連載記事#04|目標は数値化が全てでない(環境目標)《ISO14001解説》

環境目標の落とし穴マネジメントにおいては、「具体的な目標が必要」だと言われます。 そしてすべからくその目標を数値化することを良しとします。 日々の管理指標として機能するからです。 とはいえ、環境マネジメントシステムのおいては目標を具体的に決めてしまうと活動が停滞するという逆転現象が発生することがあります。 その理由は、「自分たちがコントロールできない指標を数値化する」からです。 「環境」という単語は、自分たちを取り巻く周囲の状況、と説明できます。つまり最初から自分が直

連載記事#03|原因と結果に置換(環境側面と環境影響)《ISO14001解説》

原因と結果に置き換えよう18年間従事していて、「環境側面」という言葉の説明だけは心血を注いできました。 なぜなら、この言葉を「なるほどね」と言えるレベルまで理解しないと、環境マネジメントシステムの意味がさっぱり分からないまま「やらされることばかり」の活動に思えてしまうからです。 そう、無意味な環境活動の直接的な原因を作り出しているといっても過言ではない「環境側面」という用語。 しかし、これを即時に理解しやすくする方法があるのです。 それが、 原因と結果という言葉への置

連載記事#02|ピンチとチャンスは表裏一体(リスク及び機会)《ISO14001解説》

表裏一体だから難しい2015年に大幅改定されたISO14001で新しく追加された「リスク及び機会」という項目があります。当時、この項目は最大のトピックスであり日本中が理解に苦しみました。 その理由の一つに、「リスク」という言葉の日本語訳が無いことでした。 今でもリスクという単語は「カタカナ」で「リスク」と表現され、下記のような意味で訳されます。 しかし、リスクには上記以外の意味もあります。 それは「不確実性」です。 主に金融業界で使われる意味なのですが、その意味を知っ

連載記事#01|心に響く環境方針の作り方《ISO14001解説》

心に響く環境方針が大事な理由本来、環境マネジメントシステムとして環境方針は「1番目」ではありません。 しかし、最初の記事として取り上げる理由があります。 それは、環境方針とは環境活動のポリシーだからです。 そもそも環境マネジメントシステムは「組織」として構築するものです。 組織とは複数の人が存在する集団。 そんな状況で、バラバラな考えで個人個人が活動しても大きな成果が得られない・・・と言えば想像しやすいと思います。 組織の活動を統制するには、ポリシーが必要です。 そして