【本纏め】外資系コンサルのスライド作成術

山口周さんの掲題の本を目次に沿って纏めました。
かなり長くなっているのでざっくり確認されたい方は以下を先に確認されることをお勧めします。

外資系コンサルのスライド作成術 図解表現23のテクニック(ブログ)
プレゼンの成果を決める、スライド作成のテクニックとルール(基礎編) 

それでは以下纏めていきます。

スライド作成の基本

1. スライド構成要素とレイアウト

①メッセージ:このスライドで最も言いたい事。長くとも2行まで。
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②グラフ/チャート・表のタイトル:メッセージの根拠となる分析やデータ、概念図の題名
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③グラフ/チャート・表
:グラフ(数値を視覚化したもの)、チャート(概念や関係、構造を視覚化したもの)
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④脚注:内容理解にあたって留意しておくべき点
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⑤出所
:分析に用いたデータやインタビュー、記事の出所
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⑥ページ番号**

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2.スライドの作成手順

以下の順で作成する。
・ページ番号
・メッセージ
・出所
・グラフ/チャート名
・グラフ/チャート
・脚注

3. メッセージの3条件

①1スライド=1メッセージになっている
②明快な主張が存在する(=ポジション/スタンスを取っている)
③短い(=ポイントが明確である)

4. メッセージの作り方

(1) 自分がが伝えたいことを書き出し、全体像を整理する。
(2) 聞き手が最も理解しやすく、自分の取って欲しいアクションを取ってくれる様に順序を整理する
※ただし、メッセージを書き出す際に構造化やMECEを意識しすぎない事。構造化は反省のプロセスであり、創造のプロセスではない。

Column. 出所の重要性

欧米ではメディアが流す情報を基本的に信用しないカルチャーがあるので、海外とビジネスをする際は出所を強く意識してスライド作成に臨む様に。

グラフの作り方~数値を視覚化する~

5.グラフ作成に於ける基本フォーマット

グラフで主に用いる数字は主に以下の3種類。
①実数値
②構成比
③指数値

各数字に対して適切なフォーマットは異なるので、伝えたいメッセージに沿ってグラフのフォーマットを使い分けること。
自然な感覚になじむフォーマットを選ぶこと、つまり自分が相手にプレゼンする際の説明順序や誘導したい視線の流れに沿うグラフのフォーマットを選ぶこと。以下は各数字に対する目安としてのガイドである

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6. ボリュームをヴィジュアルで表す

数字上のボリュームの違いをヴィジュアルで表現してスライドのインパクトを高めるスキル。具体例は以下のスライド。

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(以下リンク2020/5/2追加)
https://www.hawaiidata.org/news/2020/4/9/early-modeling-projects-significant-shifts-in-the-financial-health-of-hawaiis-families-1

7.グラフを合成する

本書で紹介するグラフの合成パターンは以下の通り。

棒×積み上げ:指標が共通、かつ足し上げる事で示唆が得られる場合に有効
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②棒×並列:指標が共通だが、足し上げる事が出来ない場合に有効
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③折れ線×積み上げ
:「棒×積み上げ」の変則版。棒×積み上げのグラフの横軸に時間軸を取りたい場合に有効
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④折れ線×並列:指標が共通の複数要素間の時間軸での変化を見せたい場合に有効
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⑤棒×折れ線
:指標が異なる複数要素間の時間軸での変化を見せたい場合に有効
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⑥散布図**:縦軸と横軸に2つの数値データをとってデータ要素をプロットした図。2つのデータを組み合わせる事で、単体のデータから読み取れない示唆が明確になる場合に有効。BCGのPPM分析の様に各象限にラベルを付ける事でわかりやすくなることも多い。

8.フォーカスする

以下の2つの方法のどちらかでグラフの中で強調したい部分へのフォーカスを明確化するスキル。
(1) 線を濃くする
(2) シェードをかける

※ただし、フォーカスは引き算で考える事。つまり、情報を本当に伝えたい一点のみに絞り込んで他の情報は大胆に単純化するかスライド上から削除するという事。
プレゼンの名手であるSteve Jobsのスライドにキーワードだけが記載されている事からも引き算のフォーカスの有効性が窺える。

9.「そのもの」をフォーマットに使う

地図や人体図などそのものをフォーマットとして使った方が分かりやすい場合が存在する。

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10.数値の動きを視覚化する

数値の流れや動き(利益の増減等)を表す場合に有効な滝グラフや矢印を用いたスキル。

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11.グラフ間の関係を明確化する

スライド上にグラフが複数存在する場合、各データの関係性が一目で分かる様にするスキル。特に構成比を扱う場合、各データの大もととなる母集団を常に明確化する事が重要。

12.更なる上級者になるためのヒント

グラフの作成方法は「指標の選び方×グラフフォーマットの種類×その組み合わせ方法」の分だけ存在する事になる。しかし、実際のところ適切な表現方法を選べるか否かは作成者の引出しの量にかかっている。
引き出しの量を増やすには以下の2ステップがある。

①良いスライドを見る:ScienceやNature等のアカデミックな論文や書籍のグラフをストックする。また、身の回りのスライド作成達人のスライドをストックする。
②再現する:①でストックしたスライドを実際にに自分で真似て手を動かして再現する。これによって書き手の思考プロセスを追体験する事が出来る。

また、TipsだがBCGでも徹底されている様に円グラフは基本的に避けるべきである。人間は長さは1.0倍で知覚できるのに対して、面積は0.7倍でしか知覚できないためだ。

Column: スライドはユニバーサル言語

「より早く、より正確に、より少ない労力でビジネスコミュニケーションを成立させる」事がスライド作成の目的だが、海外の人とビジネスをする上で、言語の壁をスライドで乗り越えられる事は多い。筆者は一度顧客の役員との会議で先方が資料を読んだだけで全て理解し、会議が終了した経験があるという。

チャートの作り方~概念や関係構造を視覚化する~

13.チャートの基本フォーマット

チャートは定性的な事実や情報、概念を一目で分かる様に視覚化する事が目的である。フォーマットは以下の様なフォーマットを利用するか、新規に作成するかの二択がある。後者の方が作成頻度は高い。

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14.縦と横の軸を決める

軸を縦と横にとって情報を整理する事で、情報を構造的に整理するスキル。また、これにより不足している情報を明確化する事も出来る。

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なお、軸を切った後の情報の並び順も整理する必要がある。
順番を考える際に覚えておくと良いのが以下の「5つの帽子掛け」である。
①カテゴリーによる分類
②時間による分類
③場所による分類
④五十音による分類
⑤連続量による分類

15.メッセージと軸を整合させる

主語・述語と軸を整合させるスキル

16.非冗長性のルール

一枚のスライドで同じ言葉を2回使わない事。重複している言葉を統合する事で改善できる。

17.矢印のルール

矢印の起点と着点・スコープを明確にする事

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18.プレグナンツの法則

(1) 近接の要因:近くにあるものは一まとまりの情報として認識されやすい
(2) 閉合の要因:括弧などで閉合されているもの同氏は一まとまりの情報として認識されやすい
(3) 類同の要因:いくつかの刺激がある時、同種のもの同士がひとまとまりになりやすい
(4) グーテンベルグダイアグラム:均等に配置された情報を見る際の、一般的な視線の流れ。以下③部分には重要な情報を配置しない事がもt目られる。

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19.さらなる上級者になる為のヒント

(1) チャートを二次元にとどめる事 (以下参照)
(2) まず最初に紙でアウトプットイメージを作成する事。

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Column: 色は3色まで

シンプルなスライドに磨き上げる

20.Less isMore
21.SN比を改善する①「必要・不必要」
22.SN比を改善する②「効率・非効率」

情報量を限りなく伝えたい事のみに絞り、訴求力を高める為に利用するインクの量を減らす。以下のアプローチがある
(1) 重複排除
(2) 間引き

23.“Surprising yet right”

以下のSurprising & Right の象限に値する情報を発信する事が大事。

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