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テレビを買い替えた

 これまで使っていたテレビは、リモコンに「地デジ・地アナ」の選択ボタンがあって時代を感じる。地上アナログ放送から地上デジタル放送へ切り替わる前に購入したものだった。
 13年以上経ってチューナー部分の不具合か、受信状態が悪くなることが多くなっていた。それでも1年弱使い続けていたが、受信が途切れるのが頻繁になってきたため、そろそろ潮時かと思うに至った。

 すっかり埃にまみれたテレビを拭いて、台からどかそうとした時の重いこと。テレビってこんなに重かったのかと改めて気付かされた。
 これまで使っていたのは37インチで新しいテレビは43インチ。以前のものよりも15%ほどアップした大きさとなるが、重量に関しては新しい物の方が格段に軽い。何の違いか分からないが、軽くできるということは部品数が減っているということだろう。

 重さにも増して驚いたのが、テレビという名は変わらないまでも、中身は全く違ったものになっていたことだ。
 テレビというよりも、テレビチューナー付きの大型Android端末だった。モニターにチューナーとAndroidタブレットのメイン基板を取り付けたと言ってもよいかもしれない。

 昔のテレビはコンセントに繋いでチャンネル設定をすればすぐにテレビ放送を見ることが出来たが、今のテレビはそうは行かないのだということを知った。家に速い通信回線があってスマホがある人は設定に苦労することは無いと思うが、それでも初期設定に掛かる時間は結構なものだ。
 AmazonやSpotifyの設定はほぼ自動的だったが、Netflixは半自動。困ったのはAlexaとの連動の仕方がすぐには分からなかった点だ。
「スマートスピーカー連携」という内蔵アプリがあって、これを使うことになかなか気付かなかったからだ。

 4Kテレビと言っても4K放送が少ないので宝の持ち腐れだが、リビングで使っているPCの画面が4Kになって綺麗になったのは儲けものだと思った。4KだとPCの処理が重くなるとは思われるが、気になるほどではないし、ジャギー感のない表示は格別。いい時代になったものだ。

 テレビにこんなに機能を盛り込んでも家庭の情報センターにならないのは、スマホに先を越されすぎたからだろう。双方向の通信機能と再生、撮影デバイスを兼ね備えた機動性の高いスマホと比べると、じっと動かないテレビは中途半端感が拭いきれない。
 画面は大きくなったテレビが多いが、それでも映画を見るにはやや小さいし、何より音が貧弱だ。だったらスマホでイヤホンでも映画はみれるし、となってしまう。

 画面が大きくなるのに合わせて、音も大きくならないとバランスが取れない。必要以上の大画面を売ることに注力してきたメーカーは、別売りのサウンドバーや重低音が出せるスピーカーシステムを購入させようと迫って来るが、これらも中途半端なのだ。そもそも日本の都会の家屋事情では大きな音を出せない家も多いのではないか。

 個人的には映画は大きな画面大きな音で楽しみたいと思う質なので、ホームシアターの道に進んでしまったが、それと比べてしまうとテレビは対抗する術はないように思えてくる。プロジェクターの場合、暗くしないと本来の画像が見れないという欠点があるが、大きさでは圧倒的だし、サラウンドの音響だってテレビとはまるで違う。

 何だかホームシアター自慢になりかけたのでやめておくが、テレビを買い替えて改めて思ったのは、家庭の中でテレビの必要性が昔に比べると格段に下がっているということだ。
 それほどまでにスマホのインパクトは大きい。
 テレビが無くても困らない人はいても、スマホが無くなると困るというのは殆ど全ての人ではないか。今や何でテレビが必要なのかと考えると、答えが思いつかないような時代になってしまったのだ。
 テレビでないとサッカーワールドカップの予選やボクシングの試合が見られないと思っていたら、もはやテレビでは見られないことがある時代になってしまったのだ。
 与えられたプログラムの中からひとつを選んで、流れてくる映像を受け身で垂れ流すような時間の過ごし方は、もはや旧時代的になってしまった。

 考えてみれば、テレビ時代に育って大人になった自分は、私がテレビに対して感じているように、周囲から見れば私の存在がすっかり旧時代的になっているのだろう。
 何をどう足掻いても、古い人間であることは消し去りようもないことだ。
 古いこともいい面があるという価値観を広めて行かなければ自分の将来は短いのかも知れない、と新しいテレビを眺めながら思った。

おわり

▼買ったテレビ▼

▼使っていたテレビ▼

インチサイズは違えど、設置スペースは変わらないで済みました。
画はソニーらしく過度の演出が無いあっさり系がベース。
録画用の外付けHDDを接続しました。
同じLANに繋がれた既存のNasne内の動画が見れたのはラッキー。そんな機能があるとは知らなかった。

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