見出し画像

持っている人は、持っている

 あるところにはあるもんだなぁと思うことが多い。そう、詐欺事件の報道がされる度に、そこに踊る金額が何十億円と報じられる。隠し持っている人が多いのか、はたまたなけなしの金を投じてしまって被害に遭ったのか。
 詐欺事件にもいろいろあるが、傍から見れば何故そんなことで騙されるのか理解しがたいものが多い。そこは詐欺師たち、別に褒めたくはないが人間の心理を上手く操るのに長けているのだろう。

 中でも投資詐欺。最近も逮捕者が出た。
 絶対に儲かる手法を今日ここに集まっていただいた皆さんにだけお教えします。そんな甘い言葉に人は簡単に騙されてしまうものなのだろうか。人はそんなにも金に目がくらみ、楽して稼ぎたいと思うものなのか。
 これだけ投資は自己責任と喧伝されている現代にあって、絶対に儲かるという話に疑いを持たせないなんて、どんな口上を並べれば良いのか。単にうまい話にのせられたということでは無いのだろうか。

 だとすれば、やはり誰でも騙される可能性があるということだ。自分は大丈夫と思っていても、心の中で疑いを持ちつつも、この人のことは信用してみようと思える瞬間がいつやって来てもおかしくないということだ。
 詐欺の様な場合でも正常化バイアスが働くのかも知れない。これはきっと大丈夫だと、自分を必死に思い込ませる方に頑張ってしまうのだろう。詐欺師の思う壺だ。

 となれば、その騙された人は理論や理屈、はたまた事実よりも、そこで自分に話しかけてくる人間を信じ、その人がたまたま詐欺師だっただけ、ということか。
 詐欺師は総じて良い人に見えるらしい。親切で優しくて頼りになって、話をしっかり聞いてくれる。いつでも笑顔で、大丈夫ですよと話しかけてくれる。この時代、あまりに親切な人は疑ってかからなければならないということか。

 それにしても、騙されるだけのお金を持っていなければ話にならない。大金を騙し取られる人が沢山いるということは、少なからず蓄えていることになる。しかしそれでも将来的な不安を埋めるには不十分な額であったり、高齢で他に使い道も無かったり、何ならもっと増やしたいからと、投資詐欺に貢ぐのだろうか(もちろん結果的に)。

 別にそれはそれでも良い。でも、持っているなら金融について学びリテラシーを上げる機会を持たなかったのが残念だ。自分だけ儲けようと思っているとしたら、身近な人には聞きにくいものだろう。何の勉強もせずに投資で儲かるなんてことが無いことくらいは知っておくべきだったろう。
 これを突き詰めると自己責任論になってしまうが、社会全体が金融に疎いのだとしたら、全てを個人のせいにするのは酷かも知れない。
 だからと言って、国や行政のせいにするのはおかしいが。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?