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【VR】PICO4で見たサッカーワールドカップ決勝戦は新しい体験だった。

 直前になってYoutuberのミスターVRさんが上げていたこの下の動画を見て、俄然決勝戦をVRで観戦する気になった。

 この動画を見てもらえば分かるが、AbemaTVがPICOのために作った専用アプリでVR観戦が出来たのだ。
 上のYoutubeサムネのように、まるでスタジアムの席にいるような状態で観戦が出来る。VRに入るとサムネの「ここ⇒」と示されているソファに座った状態になる。グランド全体が見渡せる素晴らしい席だ。階下の席を覗き込もうと身を乗り出すと、ちゃんと下の席にいる人たちも見える。
 アナウンサーの実況と本田圭佑さんの解説も聞ける。
 全体が見渡せるから普段テレビ中継を見ている時には映っていない周りの選手たちの動きが分かる。

 そして、ボールがゴールに迫ると、映像は自動的にゴールサイドのカメラに切り替わってピッチサイドで見ているような感じになる(ゴールが邪魔で見えない範囲もあって、これは個人的にはあまり良いとは思わなかった)。
 放送と同じようにリプレイも見られる。
 これは完全に新しい体験だった。

 VRは立体視が出来ることによって視覚的な臨場感が得られる装置デバイスであるが、これで観る生放送はまさしく臨場感そのものだ。録画されているものを観る分には3D映画と変わらない。それに対して生放送をVRで観るのは、まさにそこにいる気になれる。しかもそこにいるのはアバターやゲームのキャラクターなどといった作られた画像ではなく、実際の映像だ。

 VRを使ったメタバースは今ひとつ伸び悩みそうな雰囲気が漂っていたが、結局大層な装備を見つけた挙げ句に作り物の世界を見せられるだけというのも大きな理由だったのではないだろうか。
 VRゴーグルの中にリアルタイムのリアルな映像が現れた時、それはもはやリアルでしかなく、VRがどこでもドア的デバイスになる。
 VRゴーグルはARやMRとなって進化をしつつあり、小型軽量化を目指して開発が進んでいるようでもある。眼鏡くらいのデバイスになるにはもう少し時間が掛かりそうなので、あとはタイミング次第かもしれない。つまり、使いやすいデバイスというハードウェアが出るタイミングとコンテンツや放送といったソフトウェアが出るタイミングが絶妙に噛み合ったとすれば、メタバースは進む可能性がある。

 リアルが見えるメタバース? と思った人もいるだろう。メタバースはリアルそのものではないからこそ良いのではないか。アバターだからこそ良いのではないか、と。
 ところが、全てが作り物としてあるよりも、一部が本物であることによって作り物が作り物で無くなる領域があるはずだ。本物を見せられることで偽物をつかませるのは詐欺師の常套手段かもしれないが、それは騙される人が多いということでもある。
 偽物、つまり架空の世界と実物世界の境界線が曖昧になることはメタバースに必須の要素だと思っている。その意味で、VR上に見える映像がリアルタイムであることは重要だ。それがMRでは目の前のリアルとの融合であるところだが、ミックスされるリアルが目の前のものではなく遠隔地のものであることによって繋がる世界は、インターネットが登場した時のワクワクに近い。

 AbemaTVがサッカーワールドカップをネット上で無料配信したことが話題になった今大会であったが、その裏でAbemaはVRでの実況中継まで仕掛けていたのだ。
 これはもしかすると後で振り返った時に、あの時のAbemaTVがやったことが日本のメタバース元年だったかもね、と言われる事象かもしれないと思うのは考え過ぎだろうか。
 あとは運がついてくればだが。

おわり

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