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検索窓の使い方が分からなくなってきた
何はともあれ、とりあえず検索窓にキーワードを入力することから始まることが多い。何事も、検索することから始まる。検索に次ぐ検索で渡り歩いた先にたどり着くのは、知識の間にある暇つぶし空間だ。
検索すれば何でも分かるようになって、ひとりの人間が脳に知識を蓄えることの意味が希薄になった。試験勉強の場面では記憶する必要性があるものの、日常生活で何かを憶える必要性が減った。検索とは関係ないが、友達はおろか、家族の電話番号すら憶えていない。知らないことがあれば、何でも調べれば済むことは便利なようでいて、きっとどこかで人間を駄目にしているのだろう。少なくとも物知りな人の存在価値はダダ下がりだ。
そう、検索窓とのお付き合いはずっと続くと思っていた。昨年までは。
ところが、年が明けて仕事を始めてみて気が付いたことがあった。検索窓に何故か文章を入力してしまっている自分がいたのだ。素速くヒットするように絶妙なキーワードをスペースで挟んで巧みに検索することをモットーとしていたはずが、あろうことか検索窓に長々と文を打ち込んでしまっている。どうしたことか。
きっと、同じ様な体験をしている人はいるだろう。
こうした戸惑いを感じているのはきっと、昨年から生成AIを良く使うようになった人だ。私がそうだからだ。
とはいえ、私はまだまだ生成AIを使いこなすところまでは全然到達出来ていない。生成AIのチャット欄に文章を入力するのはウザいなぁと思いつつ使っているくらいだ。説明が悪くて思ったような結果が得られないこともある。それでも、大概の場合は慮ってくれて意図を汲んだ回答を寄越す。大したもんだ。
生成AIの元ネタは最新ではないから、知識を得ようと思うと上手くない。今のところ生成AIは専ら知恵を借りるのに使うのが良い。だから、生成AIを使っていても、時々ブラウザのタブを生成AIから検索窓のあるタブに切り替えて検索することがある。
この時だ。検索窓に長たらしい文言を並べてしまうのは。
例えば、次のような。
かんが鋭いという時の「かん」という文字はどの漢字を使うのが正しいですか?
単語ではなくこんなに長い文を検索窓に入れられたら迷惑だろう。
それでも検索エンジンは、そんなに外れた検索結果を表示する訳では無い。これはある意味凄い。でも、出てきた検索結果のリンクを踏んでもう一歩進まないと答えに辿り着けない。
しかし、ChatGPTだとこんな感じだ。
「かんが鋭い」という表現で使われる「かん」は、「勘」という漢字を使います。この言葉は、直感や第六感が鋭いこと、物事を察知する能力が高いことを意味しています。したがって、「勘が鋭い」と書くのが正しいです。
もはや言うことはない。
もうひとつやってみよう。
月の裏側を見るにはどうすれば良いですか?
これまでなら、「月 裏側 見る方法」などと検索窓に入力していただろう。それが、こんな長たらしく入力するのは面倒臭い。
で、ChatGPTは何と言うか。
月の裏側を直接見ることは地球上からは不可能です。これは、月が地球に対して常に同じ面を向けている「同期回転」をしているためです。しかし、月の裏側を見る方法はいくつかあります:
1.宇宙ミッションの写真やデータを確認する:様々な国の宇宙機関が月の裏側の探査を行っており、その写真やデータは公開されています。例えば、NASAや中国の宇宙機関などが高解像度の画像を提供しています。
2.宇宙飛行士になる:宇宙飛行士として月を周回するミッションに参加することで、直接月の裏側を見ることができます。もちろん、これは非常に高度な訓練と選抜プロセスを要します。
3.3DシミュレーションやVR技術を利用する:現代の技術では、仮想現実(VR)や3Dシミュレーションを利用して月の裏側を体験することが可能です。教育用ソフトウェアやアプリケーションがこれを可能にしています。
これらの方法を通じて、月の裏側を探索する体験をすることができます。
2番目の答えが秀逸だ。私が少年なら宇宙飛行士を目指すきっかけになったかも知れない(ナイナイ)。
こうなると月の裏側を見たくなる。
検索窓に「月の裏側」と入力すれば、一発だ。写真が出てくる。
ChatGPTでは?
月の裏側について説明します。月は地球に対して同期回転しており、その結果、地球からは常に同じ面だけが見えます。これを「月の表側」と呼びます。月の反対側、つまり地球から直接見ることのできない側を「月の裏側」と言います。
月の裏側は、地球から見えないため長い間未知の領域でしたが、宇宙時代の到来とともにその謎が解明され始めました。最初に月の裏側の画像を撮影したのは、1959年のソビエト連邦の宇宙探査機「ルナ3号」です。この画像は、月の裏側に多くのクレーターがあること、表側と異なる地形を持つことを明らかにしました。
月の裏側は、表側に比べて平原が少なく、クレーターや山地が多いのが特徴です。また、月の裏側には、表側に見られるような暗い「月の海」がほとんど存在しません。これは、月の裏側の地殻がより厚く、過去の火山活動が
表側ほど活発ではなかったためと考えられています。
近年では、さまざまな国の宇宙機関が月の裏側の詳細な調査を行っています。特に注目されるのは、中国の「嫦娥4号」ミッションです。2019年に月の裏側の南極エイトケン盆地に着陸し、その地域の地質や環境を詳細に調査しました。これは月の裏側への初めての着陸であり、大きな科学的成果をもたらしました。
月の裏側の探査は、月だけでなく、太陽系の初期の歴史や地球との関係を理解する上で重要な意味を持っています。また、将来の月面基地建設や資源利用の可能性についての情報も提供しています。
説明たらしい。しかしスゲーな。月の裏側と言っただけでこんなに喋るなんて。
どうやら聞き方を間違えたようだ。
「月の裏側の写真を見せて」と聞いてみる。
こちらが月の裏側の写真だそうだ。ウケる。
付けられたコメントに「想像して描かれた画像」とある。てか、これ表の画像を加工してない?
![](https://assets.st-note.com/img/1705404923541-t2MdMxAD09.png?width=800)
この画像は、月の裏側の特徴的な風景を捉えています。
数多くのクレーターや起伏のある地形が見られ、
月の表側に見られる暗く平らな「月の海」が存在しないことが特徴です。
で、こちらが本物の月の裏側。
![](https://assets.st-note.com/img/1705405127706-MoLARt2i21.png)
どうやら、知識は検索に取られ、創造性やユーモアは生成AIに取られたようだ。
おわり
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