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代謝が改善したかもしれない話

 単に暑いせいなのか、多少の筋トレによって代謝が上がったおかげか、最近よく汗をかくようになった。そんなに汗をかいている意識がないのに、こめかみやうなじの辺りをすーっと汗が伝わる感じがして、実際にその部分の髪が濡れる。こんなことは近年無かった。

 思い返すと痩せているくせに子供の頃から汗かきだった。汗をかいて膝裏や肘裏、首周りなどに汗疹あせもができると、風呂上がりに母がベビーパウダーをはたく。効果があるようにも思えなかったし、粉っぽくなるのが嫌だった。
 多少なりとも筋肉量が増えた高校生になると夏の発汗はかなりのもので、電車と徒歩とで学校に着く頃までにはまるでシャワーを浴びたような状態になっていた。
 当時は脱水や熱中症を気にするよりも、汗をかくこと自体も、汗臭くなることも嫌でなんとかならないものかと思い悩んでいた。

 社会人になっても汗かきは治らず、通勤電車の中でもひたすら冷風の吹出口を求めていた。
 真夏でもスーツの上着を着込んで涼しい顔をしているサラリーマンを見かけると羨ましささえ感じた。自分は半袖でも暑いのにこの人はどうして汗一つかかないのだろうと。

 それが、気付けばここ数年はあまり汗をかかなくなっていた。流石に真夏にスーツとまではいかないが、長袖のワイシャツを着て電車に乗っても、涼しい顔を出来るようになっていた。
 以前は背骨の辺りを流れる汗を感じていたのに、それがなくなっていた。

 着替えのときに鏡を見ると、腕も脚も細くなっており、あるとは言えなかった胸板もさらに薄くなっていた。運動する習慣も遠のいて、バス停まで走ることすら怪我を恐れて躊躇するようになっていた。
 そして時勢柄、在宅ワークなどが増えて動かなくなり、いよいよ体のなまりがこのまま進むとまずいんじゃないかと思うようになった。
 汗をかかないのと引換えに、高血圧を始めとし健康診断での指摘事項が増えてきた。要治療のレベルではないのが幸いだが、何とかしたほうが良いなと思い始めたのが昨年。

 慣れないことを思い立ってすぐにできるほど意志が強くないので、やったりやらなかったりが続いていた。急に運動するとそれだけで倒れてしまうといけないから少しずつだよな、と言い聞かせながらサボっていた。
 サボり癖は変わらないながらも、今年の健診でもあまり改善が見られなかったものだから、そろそろどうにかせねばと思ったのが夏前の頃だった。

 そして今、電車の中でこれを書いている私の項を汗が伝うのを感じている。若い頃に感じたあの暑さを感じ始めている。一時は持たなくなっていた汗拭き用のタオルを携行するようになった。
 この調子で汗だくになるのは勘弁だよなと思いながらも、運動の成果かと思うと少し嬉しい。
 筋肉痛になるのはまだ一日遅れだけど、ベビーパウダーが必要になる日も近いのかもしれない。

おわり
 

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