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日経新聞#3 「違憲状態」の選挙

ヘルスケア関連の良い記事がなかったので、シンプルに重要だと思う記事について書いてみる。


昨年の衆院選は「違憲状態」だったらしい。
有権者の人口が最も多い選挙区と、最も少ない選挙区におけるいわゆる「一票の格差」が2.8倍だったためだ。

判決を出した高松高裁曰く、

「最大格差が2倍以上になると、到底看過できない程度の投票価値の著しい不平等状態にあると解される」

日本経済新聞2022年2月1日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF016050R00C22A2000000/

憲法第14条には、「法の下の平等」が定められているから、これを侵しているということなんだろう。

「格差が2倍以上」というラインは、過去の最高裁の判断から来ている。
最高裁は最大格差が2.43~2.13倍だった2009、2012、2014年の選挙を「違憲状態」と判断しているためだ。

この判決は、弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部で起こした訴訟のうち、1つ目の判決で、これからどんどん判決が出てくることになる。
ちなみに弁護士グループは「選挙の無効」を請求している。
では、「違憲状態」だから、選挙結果は無効になるのか?よく分からなくなったので、調べてみた。

(違憲状態とは)憲法違反と断定できないが、それに近い状態だということで、結論はまだ合憲だという曖昧さの残る判決です。違憲となれば、無効という結論を出さねばなりませんから、それを避けたものでしょう。

弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/c_18/b_219046/

この回答めちゃくちゃ分かりやすい。
つまり弁護士グループが請求している「選挙の無効」という結果は獲得できていないので、「勝訴」じゃないってことなんだね。

また、2月2日午後時点で、この訴訟の2件目の判決が東京高裁で出ている。
東京高裁では、「合憲」と言い切って、選挙無効の請求を棄却している。
理由を以下引用。

近年の国会の取り組みについて「2倍を大きく超える格差を生じさせないよう、漸進的な是正を図ってきた」と評価。最大2・08倍となった21年10月衆院選の格差は「想定と異なる人口移動によるもの」と指摘し、「違憲の問題が生じるほどの著しい不平等状態にあったとはいえない」

日本経済新聞2022年2月2日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE28BUK0Y2A120C2000000/

「著しい不平等にあった」といって事実にフォーカスした高松高裁に対して、上記のように背景にフォーカスして合憲と言い切った東京高裁。
なんか東京高裁の方が、かっこいい判決理由に感じる(笑)


もし、最終的に最高裁が「選挙無効」という判断をしたらどうなってしまうのか。昨年秋の衆院選で当選した議員の方々は…?議員資格がなくなる?彼らがこれまでに行った仕事は全部無効になるのだろうか。

日経新聞のコラムには、この疑問についても触れられていたので、一部載せちゃいます。

「要するに最初からなかったことにする、ということです」。学生時代に法学の初歩を学ぶ講義でのこと。先生が「無効」という言葉について解説したことを、かすかに覚えている。例えば売買契約が無効になれば買い手は商品を、売り手は代金を返還する必要がある。

元の状態にリセットする。これを原状回復義務と呼ぶそうだ。でも、国政選挙の結果を無効とすることは可能だろうか。当選した議員は、国会で法律や予算を議決している。医療や教育などの予算は執行され、すでに国民の暮らしを支えているのだ。もしこれを「なかったこと」にしたら……。私たちの社会は大混乱する。

最高裁判決はしばらく先だ。が、過去の国政選挙を違憲としても、無効と断じた例はない。それゆえか。抜本的な格差是正の歩みは遅い。将棋の千日手のように、違憲訴訟と小幅な定数見直しが繰り返されるのだろうか。

日本経済新聞2月1日(春秋)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK317RH0R30C22A1000000/


これからどうなって行くのだろうか。ここまで書いてしまったので、続報が楽しみになってしまった(笑)




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