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不安のスパイラルから抜け出す練習

今月、会社の近くに引っ越しました!今回の見出しの写真は以前の家です。ここもいろんな思い出が残るとてもいい家になりました。

新しい家は、都心に近づいただけあって生活の利便性が高まりました。その一方で引けると言われていた光回線がなかなか引けず、さらにとりあえずの一時しのぎで置こうとしたSoftBank Airもまさかの地域丸ごとサービス未提供で、ここは本当に国内有数のIT企業がひしめく渋谷なのか…?という気持ちと向き合いながら日々を過ごしております。いまも自宅ネットワークのバックボーンはスマホのテザリングです。

仕事や生活の都合上、どうしても上り1Gbps以上の回線が必要なので、もし光回線を引けない場合は最悪再度引っ越しもやむを得ない……うーんそれは避けたいなあ、どうしたもんかなあ……しばらくそんな不安が頭の片隅に居座り続けていましたが、直近教わった手法でそのネガティブな気分から抜け出しやすくなり、ストレスを手放しやすくなったので、今月はそんな話について書きたいと思います。

決断力を高める練習と効果

さて先月から、もっとdecisive(即決する人)になってストレスを減らそうということを練習しています。英語コーチに「too マジメ」と突っ込まれる自分、分析的であること自体はいい能力なんだけど、無意識の基本姿勢がこれだと必要以上に精神と時間を浪費しがちです。今回の引っ越しについてもすごく迷ってしまったところで「タイムフレームを設定して一旦チャレンジ、あとで振り返るまでは現実にまだ起きていないことを考えない」という「実行して忘れる」launch and forgetスタイルを練習してフッ軽をめざしていくぞ、というのが先月書いた話でした。

その後、同じ手法を引き続き要所要所で実践していて、割といい感じにワークしています。だいぶ頭の中で抱えるものが減ったという実感が一番の利点で、他にも「あ、今そういう状況に陥っているな」という一歩引いたメタな視点を認識できることで、「そもそもいまなぜこの判断が難しいのか、あ、情報が足りないのか」といった状況そのものを認識しやすくなった感触があります。

決断力と感情のギャップ

その一方、それでカバーしきれない状況にも直面しました。冒頭で書いた光回線が引けないかもしれない、というのはその一例です。一旦諸々の手続きを進めて相手待ち、あとは待つだけだから忘れよう、という状況になってもなかなか忘れられず、ふと何か他にできることがないか探し続けてしまいます。あるいは、自分がメインのミーティングがあり、ある程度準備もこなしてきているのに、目の前に迫ってくると緊張に心が支配され、これで十分だろうかと不安になる状況もそれに近いです。

ロジックの整理が十分ついているようなことに対しても、気持ちの部分で「本当に十分と言えるだろうか」と自分の決断を疑う姿勢がなかなか収まらない場合、どうすればいいのか。先月に引き続きコーチに投げかけてみたところ、「キーワード」を作ることをオススメされました。

キーワードとアンカリング

キーワードを作る、とはどういうことか。例えばrelaxというキーワードで、その単語を思い浮かべるのと同時に、具体的に最近自分の一番心地よいと思った状況(例えば自分の場合はよく行く温泉の冬の露天風呂で外気浴しながら景色を眺めている状況です)をできるだけ鮮明に思い出す。キーワードとその時の感覚を思い出すことを何回か繰り返していると、キーワードを思い出すだけで自分をその感覚に戻すことができるようになります。

コーチはこれを、考えすぎてしまっている状況から抜け出すプロアクティブな瞑想の一種と言っていました。あとから軽く調べてみたところ神経言語プログラミング(NLP)のアンカリングという手法に近そうでした。(アンカリングというと、心理学やマーケティングで多用されるやつを想像したのですが、ここでは刺激に対して反応を関連づけるという意味で使われているようです)

キーワードの選択と効果

このキーワードは自分で考え、感覚を思い出して結びつけます。当初、案として「今だとnew lifeはどうかな、引っ越した、新しい環境を手にした、ワクワクしてる感情を思い出す、そういうのもいいかもね」といったものを挙げてもらいました。その後、自分の中で浮かんで現在もよく使っているのはenjoyという単語です。この単語で自分は思考停止でマインドフルな状態になれて、いまこの状況を最大限感じ取るぞという意識が五感に向いて、今まで見ていたはずのモノの輪郭がはっきりして、あれ今まで何も見えていなかったというかむちゃくちゃ視野が狭かったというか、現実を注視できていなかったんだな、と気付く感じです。

なぜenjoyなのかはあんまり明確じゃないんですが、これから登壇だとか緊張するような場面で、やることはやった、もうあとはとにかくこの場を楽しもう、という時によくenjoyと言ってたのが影響しているかもしれません。あとは今を楽しむ、あるいは楽しいことを見つけること、というのがしばらくテーマだったのも一因かもしれません。

キーワードの力

何にせよ、キーワードを思い浮かべることで、それまでグルグル回り続けていた内向きな思考の流れが止まって、自然と状況や目の前のものが目に入るようになります。そうして余白ができたところに「はて、いま自分が感じていた感情はどこから来たのか?本当にそれは脅威なのか?」と一歩引いて「いまやってるのは考えてるではなくて悩んでるでは?」とメタな部分に注目すると、元々の囚われてしまっていたスコープから更に離れられます。

実際には別のメカニズムだと思いつつ、この状況を説明するイメージとしては、10年ほど前に話題になったTEDトークApollo RobbinsのThe art of misdirectionに近いものを感じています。

動画の3:32秒周辺、人間は自分の記憶を思い出すのと外部刺激の入力を同時にできない

このトーク、10分以下でめちゃくちゃ面白いので、もしまだ見たことがなければ是非通しで一度(といわず何度か)見ていただきたいんですが、関連する部分を掻い摘まんで説明すると、人の脳は「記憶を思い出すこと」と「感覚器からの新しい情報の入力」を同時にできない、という性質があります。なので、人間はマジシャンに「なんだ?いま何が起きた?まだ財布もってまます?AMEXのカードは入ってる?」なんて聞かれて記憶を辿りにいった瞬間、目の前で起きていることや感覚を認識しないまま虚を突かれ、気がついたときにはあり得ない出来事が目の前で起きている、という錯覚をします。

これとは逆に、不安の思考にとらわれ、記憶を連鎖的に引っ張り出すことを繰り返し続けている最中に、何かをきっかけに現実の感覚器に意識を仕向けることができれば、思考の連鎖を途切れさせることはできそうです。ネガティブな思考に囚われているときも、緊張している時も、過去の経験や思考を引っ張り出しては評価をして、ぐぬぬ……となっている状態なので、キーワードをきっかけに半ば強制的に感覚器に意識を向けられれば、記憶の引き出しあさりは止められます。それだけでは不安そのものは消えなくても、少なくとも思考に囚われた状態から足がかりなく落ち着きを取り戻しに行こうとするよりは、大域脱出して目の前の現実からアプローチしたほうが断然楽です。

それでも全然不安が消えない!というときがあります。そんな時は、違うキーワードを交えつつ繰り返す、またキーワードで思い出している景色の中でやっているのと同じストレッチをして体に刺激を入れるとより効果を感じました。ストレッチ自体の効果で副交感神経優位になるのも不安を和らげるのと相性がよさそうです。

一歩ずつ摩擦を減らしていく

そんな感じで、今回も自分の人生からストレスに囚われる時間をまた一歩減らすことができました。以前だったらウッとなるような場面に遭遇したときに、キーワードを思い出して、立ち止まることができるので、まずもって沼に足を取られること自体を防げるようになったのはとてもよかったなと思います。

ちなみにこのnoteでちょいちょい話題に上がるコーチ、そもそも最初はビジネス英語のレッスンだったはずなんだけど、そこからコーチングなのか、メンタリングなのか、もうなんだかよく分からないんですけど、いずれにせよこういう必要で効果的なtipsもらえるのは大変ありがたいなと感謝しております。

この先、もっと実のあるenjoyを増やしていきたいなと思いつつ。今月はそんな感じで。

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