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高知と酒と集落の看取り
高知では、安易に口に出すべきではない言葉がある。
「僕、お酒けっこう飲めますよ」
講演のために伺った高知。
その懇親会の席で、僕が何の気なしに、そうまさに無邪気にそんな言葉を口にした瞬間、高知の方々の顔色が変わった。
「こいつ、酒が飲めるって言ったぞ」
ざわ・・・・
ざわ・・・・
カイジもおののくそんな雰囲気の中、僕もさすがに「ただごとではない」と感じ、
「いや~、飲めると言っても日本酒で2~3合くらいの話ですよ、ハハハ・・・」
と言ったところ、雰囲気は一気に和み、
「いやいや、お好きなペースで飲んでください」
となったのだった。
後から気づいたのだが、高知県と言えば酒飲み文化が根付いているまちで有名。
日本酒の早飲み大会も開かれていたとのことで、一人一升(1.8L)の瓶をどれくらいで飲み干せるか、という大会なのだが、
「じゃあ、どれくらいで空になると思います?」
と問われて、
「えっ、1.8L飲むのだから・・・10分くらいでしょうか」
と答えたら、笑われてしまった。
では回答は?
「20秒」
秒?
酒飲みとしてのレベルが違う。
そのレベルの違いは、高知で見られる盃にも表れており、「可杯(べくはい)」と呼ばれるそれらは、底に穴が開いていたり、底が錘状に尖っていて、つまりは「酒を注がれたら飲み干すまで机に置けない」杯なのだとか。
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さらにその宴席では「ベロベロの神様」というお座敷遊びの歌も教えていただいた。
詳しくはリンク先を読んで、動画も見て頂きたい。
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もうひとつ、「菊の花」という「日本酒ロシアンルーレット」の話も。
お刺身の盛り合わせを頼むと、その飾りとして小さな菊の花があしらわれて出てくることがありますよね?そしたら、その菊の花をとって、その宴席にいる人数分の盃をとって裏返してお盆に置き、そのひとつに菊の花を隠すのだそう。盃はシャッフルするので、当然参加者にはどれに菊の花が入っているか分からない。
そしてまた
「きっくのはな~、きっくのはな~」
と歌いながら、一人一人が盃をひっくり返していき、見事に菊の花を当てた人が
「それまでにひっくり返した全ての盃で酒を飲む」
のだそう。例えば、10人でこの遊びをやって、7人目で菊の花を当てたら、その人が7杯飲むということ。
さらに凶悪なのが、「もし5人目までに菊の花が出てしまったら、5杯飲まなければいけない」ルールがあったりすることもあり、1人目、2人目だとしても気が抜けないのだとか。
ただ、これは決して罰ゲーム的なものではなく、高知の方々はみんな「お酒を飲みたい」ので、むしろ当たった方が嬉しい!まであるとのこと。飲めない人には強要しない、という文化もあり、仮に「菊の花」で飲めない人が当たってしまった場合は
「あ~、なんだか喉が渇いてきたな~」
とか言って、周囲の人たちが勝手に酒を飲みほしてあげたりするのだそう。
そういった文化があるなら、安心してお酒を楽しめそう。カツオもおいしいし。
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講演では、いつもの通り社会的処方に関する話をしたわけだが、その中で高知県に関する「悩み」を伺った。
高知県は、高知市・土佐市・南国市の3市にほとんどの人口が集まっていて、他は中山間地域に集落がまばらに存在する状態なのだそう。それぞれの集落は幹線道路から離れているため、集落同士で行き来することも難しいし、行政や医療の支援が入っていくのも大変とのことだった。しかし、そういった地域でも、なるべくその集落で長く健康に暮らしたい、とのことで頑張っている方々がいらっしゃり、それを支援していくために「地域共生社会」をどのように作っていくか、がテーマとのことであった。
しかし、そこであえて僕は「集落の看取り」の話題を出してみた。
この先は、賛否両論ある話かもしれないから、僕がどんな話をしたのか、マガジン購読者限定として書いていきたい。
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