ベトナムで広がる日本の法制度への不信
昨年3月、千葉松戸小3殺害事件で犠牲となったニャット・リンちゃんの父が被告に極刑を求める署名活動を開始し、すでに3万人の署名を集めたという。
このことがベトナムのニュースやSNS上で拡散され、被告が逮捕されても裁判がいっこうに開かれないため「日本の法律は所詮日本人を守るためだけにある」「5万人の署名が集まれば極刑に処することができる」などの誤った情報がベトナムのSNS上で広まっている。
私の妻なども「幼女を強姦し殺した男をなぜただちに処刑しないのだ?」と疑問を投げかけてくる。
裁判の遅れは被告が黙秘し罪を認めていないことが原因であり、過去の判例からも犯人が極刑に処せられる可能性は低い、そもそも冤罪の恐れもあり極刑にはより慎重であるべきだ、などと話したところで、ベトナム人の妻は聞く耳をもたない。
法務省の在留外国人統計(2017年6月)では現在247万人もの外国人が日本に暮らしている。そのうち23.2万人がベトナム人である。特に2013年以降、ベトナム人は18万人も増え増加率も1位だ。その多くが技能実習か留学が目的だという。
日本に在留するベトナム人が増加すれば、日本でなんらかの事件に巻き込まれるケースも増える一方、日本に在留するベトナム人の犯罪も目立ち、ベトナム人への印象は悪化するばかりだ。ベトナムではリンちゃん事件や技能実習生への不当な扱いなどから日本に対する不信感が募る。両国にとっても不幸な状況だといわざるを得ない。
日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2018年2月号掲載