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バクザン省北朝鮮パイロット烈士碑を訪ねて

 ハノイから車で1時間あまりバクザン省にある北朝鮮パイロット14名の烈士碑を訪れた。

 1965年トンキン湾事件の報復として米軍による北爆が開始され、北ベトナムは防空のためにソ連、中国から戦闘機の援助を受けていた。

 1966年9月、北朝鮮はソ連製ミグ戦闘機のパイロットを義勇兵としてベトナムに派遣することを秘密裏に合意した。北朝鮮パイロットたちは「Doan Z(Z団)」と呼ばれ、制服もベトナム軍のものを着用した。この北朝鮮兵士の派遣に関わったベトナム人少将の証言によれば、この合意に基づくパイロットの派遣は1967年から1969年はじめにかけて実施され、バクザン省にあるケップ基地に根拠地があった。派遣されたパイロットの総数は87名、戦士者は14名、彼らが撃墜した米軍の戦闘機は26機にも及ぶという。

 昨年ハノイで開催された米中会談で、金正恩の訪問先として取り沙汰され、この事実はベトナムと北朝鮮の秘史として盛んに報道された。一度この烈士碑を尋ねたいものだと思っていたが、この年末にようやく願いがかなった。

 14名の墓碑には19歳から38歳までのパイロットの名前が記されていた。遺骨は2002年に北朝鮮に返還された。

 北朝鮮は同時期にベトナム人留学生を1800名も受け入れている。すでに退官したベトナム人外交官の中には日本語を北朝鮮の大学で学んだ人たちも多かった。これもベトナムと北朝鮮の秘められた歴史だ。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2021年1月号掲載


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