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1995年ティク・ナット・ハン師Q&A 人権活動をしながら無力感に陥らないために

1995年の来日ツアーのダルマトークの中のQ&Aでのタイ(ティク・ナット・ハン師)のお話が印象的だったのでシェアしたいと思います。

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Q.第三世界の人権を広める活動を自分の道として使命を感じてやってきました。世界が良くなるようにこれまで働いてきて、家族も私がやっていることを応援してくれています。でも、どんなに活動をしてもこの世界から貧困や難民の問題がなくならず、活動する人の数が少なすぎることを思うと絶望感や無力感を感じてしまいます。このような絶望感や無力感をどうしたらいいでしょうか?

A.自分をまず大切にしてください。ヨーロッパで私は多くの医者や看護師、ソーシャルワーカーや平和活動家などの人のために働く人々に会う中で似たような話を何度も聞いたことがあります。人のために活動する人は菩薩です。でも、完璧な菩薩である人間はいません。自分には限界がある、ということを知らなくてはなりません。

自分の限界を知っているということは非常に大切です。自分自身を保つことができる時間とエネルギーの中で活動をすること。そして「No」という術を知っていなければなりません。たとえそれが、そこにある苦しみに対して無関心であるかのように聞こえるとしてもです。人をがっかりさせたくないとあなたは思うかもしれません。それでも自分自身を守るために「No」と言わなければならない時があるのです。自分自身の苦しみを知らなければ、燃え尽きてしまうからです。

私がもし朝3人の人の苦しみの話を聞いたら、その苦しみのためにご飯が食べられなくなってしまうでしょう。林の中に入り、歩く瞑想をして、木に触れて、呼吸に帰り、自分がふれた苦しみを消化しなければ、食事はできなくなってしまいます。

自分の限界を知らず「No」と言うことができなければ、あなたはいつか倒れてしまいます。それはあなたが奉仕したい人のためにもならないのです。

そして、その問いに対する2つめの答えは、サンガを持つということです。関心を同じにして自分を理解してくれる友人を持つことによって、問題に圧倒されなくなります。そういった仲間と何気ないことを楽しむ時間が大切です。一杯のお茶や庭を散歩することを楽しめなくなったら危険です。何気ないことを楽しむことができれば、自分の中の生き生きとしたエネルギーを保つことができます。友人とそのような時間を楽しむことができれば、問題に圧倒されなくなるのです。

(清里リトリート⑤質疑応答ーマインドフルの呼吸の秘密、より)

(翻訳・書き起こし:Kumiko Jin)
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ティク・ナット・ハン「マインドフルネスの教え」
HP: https://www.tnhjapan.org/
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