「自分を癒し、世界を癒す」Q&A
タイランド・プラムヴィレッジのオンラインリトリート「自分を癒し、世界を癒す」の中で行われたQ&Aでのお話です。ブラザーファップニェムとシスターディンニェムが参加者から事前にメールで集めた質問に回答してくれました。
Q1.どのように呼吸と食べることや歩くことを組み合わせることができるのですか?食べている時には食べていることに、歩く時には歩くことに意識を向けることはできても、それと同時に呼吸にも意識を向けるのはとても難しいと感じます。
A1.(ブラザーファップニェム)私たちは歩く時には歩く。食べる時には食べます。でも、私たちは息をしていなかったらこれらのことをすることはできません。何かをしている時にもいつも呼吸はしているのです。自分の呼吸に意識を向けるのが難しかったらまずは、坐る瞑想の時に呼吸に意識を向けることから始まります。そこから歩いたり、食べたりに気づいていきます。まずは一歩歩く時に一つ息を吸って、もう一歩歩いて一つ息を吐くところから始めます。大切なのは自分の身体が調和して楽に感じることです。緊張しながらやらないでください。平和と心地よさを感じて下さい。どうやったらトレーニングをしていくことができるでしょうか?一歩一歩からまず初めて、できるようになっていったら一つの呼吸での歩数を増やしていってみて下さい。一息で9歩、10歩歩くということもできます。でも、無理してやることはありません。身体が必要なものを選択してくれます。身体の声、肺の声を聴いて調整してください。自分の中でハーモニーを持って働きます。呼吸は行動の土台になります。その上に歩くことや食べることの動作が乗っています。呼吸に気づくことができればすべてをクリアに見ることの助けになります。食べ物やあなたの息に気づくことが最初はできないかもしれませんが、これはトレーニングが必要なんです。最初からは誰でもできません。トレーニングをしていく中でできなかったらそんな自分にも微笑んで下さい。できなくてもOKなのです。私もまたその道の途中です。
Q2.シスターはどうしているもそんなに笑顔でいられるのですか?怒りなどは湧いてこないのですか?
A2.(シスターディンニェム)そのように思うのは私と24時間一緒に暮らしていないからですね。私も人間ですから怒ったり苛立つことはあります。でも、自分のエネルギーをどう扱うかということはとても大事だと思っています。今タイは自分で自分のことをすることができません。ですからタイのお手伝いを色々な形でしています。行うこと一つ一つがすべてプラクティスです。どのような存在感でタイの側にいて、どのようなエネルギーをタイに提供できるのかに気を配っています。大切なのは自分自身に気づきを向けることです。タイを満足させてあげられるようにするためには、自分のエネルギーに注意を向けて自分の中のポジティブなものを育む必要があると思っています。
Q3.ネガティブな感情が表に出てきた時にどのように扱ったら良いでしょうか?どのようにしたら苦しみを抱きしめてあげたらいいのでしょうか?
A3.(シスターディンニェム)「怒り」という友人が自分の中に出てきた時に、どのように和解したら良いでしょうか。自分自身の中に準備がないとすぐに影響されてしまいます。自分が準備できている状態でいられると良いと思います。そのためには安らかさ、自分自身の中に内なる平和が十分あるということ、マインドフルな呼吸でリラックスして自分を癒すことが大切です。自然の美しさを感じて自然に抱かれていることに気がついてください。トータルリラクゼーションををして、力を抜いて、お茶をリラックスしながら飲んでください。自分自身がネガティブなエネルギーによってさらわれてしまったら、そこにネガティブなものがあることに気がついてください。今ここに存在することに戻ってくることができれば、自分自身がさらわれてしまわずにすみます。今ここに戻れば平和を築くことができます。過去にあったことを思い返して怒っていても、それが今ではないことに気がついたら、今は怒る必要がないと分かります。今はどっしりと安定し存在できます。もしかしたら10分前には苦しかったかもしれません。でも、「そこに苦しみがあるんだね。OK。元居たところに帰ってね。」と語りかけることができたら自分が自分の主人になることができます。自分の家に(ネガティブな感情という)ゲストが来ても、ゲストに家を乗っ取られてはいけません。ゲストを主人にしないでください。色々なプラクティスがあります。気づきの鐘をパソコンにセットすることもできます。過去の苦しみは過去についての苦しみです。プラクティスを重ねていけば私たちは強くなれます。同じ苦しみを持っていたとしても、日常生活でのプラクティスを学んでいくことができます。サンガがあって、プラクティスを一緒にしていけば、自分の中の良い種に水をやることができます。そしてネガティブなものに水やりをしないことが大切です。自分の中のネガティブな種に向きあうためには、ポジティブなエネルギーが必要です。ポジティブな愛のエネルギーを育んで、ネガティブな種を抱きしめてあげるようにしてください。
Q4.私はソーシャルワーカーとして働いています。たくさんの人の話を聞いてきました、私が話を聞いている地域の人たちは個人としても家族としても苦しんでいる人が多くいます。ドラッグ、犯罪、性的虐待、家庭内暴力などの問題があり、良い方向に変えていくことが非常に難しいと感じてます。このような大変な現実に圧倒されそうな時、どのようにしたら良いでしょうか?
A4.(ブラザーファップニェム)これは難しい問題ですね。私達僧侶もある意味ではソーシャルワーカーです。個人面談を何度もしていますし、200人の僧侶で暮らす中では様々な問題も起こります。大事なのはプラクティスとして捉えることと、サンガから学ぶことです。まずは日常のプラクティスに戻ることです。自分の中のエネルギーが失われて行っていると思ったらプラクティスに戻ります。不幸な体験がたくさんあるとエネルギーは失われてしまいます。毎日毎日自分のプラクティスをして、理解、慈悲、平和が自分の中にあるかをチェックするようにしてください。大地に触れる瞑想は私たちにたくさんのエネルギーをくれます。困難な状況での苦しみも大地が受け止めてくれます。
日常の次元は苦しみがうごめく波です。でも、究極の次元にふれることができれば海の深いところのように静かでいられます。菩薩と出会うということです。そして究極の次元に触れた時、波の世界の中でどうしたら良いかもわかります。あなたは孤独な個人ではありません。たくさんのものが自分の中には含まれています。絶望しないで下さい。絶望していたらそれがあなたを殺してしまいます。ネガティブなものに自分がダメージを受けてしまいます。究極の次元に触れることができれば、深い理解と愛で他の人を救うことができます。
まずは自分を守り、自分をケアすることが大切です。それができて初めて他人を助けることができます。自分が平和であって初めて人を救うことができます。サンガに来てください。サンガは大きな船です。サンガの船に乗っていれば自分の苦しみをもっとケアすることができます。苦しみという石を持って船に乗る時、それが小さな船だったら転覆する危険がありますが、大きな船に乗れば大丈夫です。そしてそれは社会を救うということでもあります。サンガのコミュニティで共にプラクティスをしてください。自分自身に帰り、サンガに抱きしめてもらってください。喜びの種に触れ、理解を見出し、サポートを受けて下さい。サンガこそが外へ向かうための道筋です。そして自分がやるべきこととやるべきではないことを見てみてください。
全てのものは無常です。その状況が非常に困難なものだとしても、状況を変えることができると信じて下さい。全てのものは変わっていくのです。無常と無我という視点で見ることができれば、ネガティブなものを変えていくことができます。明るさや軽さを育ててください。仏教というのはインタービーイングを育む道です。洞察の智慧があります。どうやって幸せか苦しみかという二分された概念から自由になることができるかを見出していくんです。
苦しみこそが慈悲と理解のためのサプリメントなんです。幸せとは、慈悲とはここにあります。泥があるから蓮の花が咲きます。そうして人を助けることができます。自分の中にそのキャパシティ(余裕・力)があるでしょうか?人を救うキャパシティがあるでしょうか?「こうしなければならない」という固定概念に囚われないでください。そのような考えてに問われていると自分自身が疲弊してしまいます。希望を失い絶望してしまいます。人に奉仕したいという望みを失い、喜びを感じることができなくなってしまいます。
私は自分に問いかけるようにしています。私には十分な平和があるだろうか?十分な喜びがあるだろうか?十分な慈悲と愛があるだろうか?平和と喜びの種を育んでください。苦しみがなくなることはありません。それは人生の一部なんです。
自分のベストを尽くしてください。サンガにあなたのケアをさせてください。山や川や動物たちがあなたを癒してくれます。心配しすぎないでください。自分ができることをしてください。苦しみを減らす道を選んでください。喜びを感じて下さい。そして母なる大地を頼ってください。母なる大地には変容の力があります。母なる大地は変容を手助けすることを続けてくれます。素晴らしいものを生み出してくれます。命を美しく輝かせます。母なる大地とそして他の生き物たちを拠り所にすることができればあなたは安全です。
Q5.夫は2年前から血液の癌にかかっています。定期的に治療を受ける必要があり、これまで入院したことも何度かあります。このリトリートの何日か前にも熱を出して入院しました。彼にとっては静かでストレスのない人生を送った方が良いと思っています。でも、現実として治療のためのお金が必要です。彼に休みために仕事を辞めさせてあげることができない自分を責めています。そして将来生活していくだけのお金があるだろうかと不確かな未来に対する不安があります。でも、状況を変えるための勇気が必要だと思っています。何をしたらいいのかを考えています。アドバイスをいただけないでしょうか?
A5.(シスターディンニェム)これはとても難しい問いですね。2つの大切なことをやらなくてはいけないからです。1つは治療をするということです。そしてもう1つはあなたの旦那さんが亡くなっていくということを受け入れる準備をあなたがするということです。その2つを同時にする必要があります。この瞬間に起こっていることを無視することはできませんし、治療をしないわけにはいきません。でも、治療だけをしてあなたの旦那さんがいつか亡くなるのだということを無視することもできません。現実的である必要があります。彼はいつかこの世を去ります。
あなたの場合にはあなたは非常に賢くて、何をやったらいいかをよく分かっているかと思います。彼は、安らいでいて穏やかでくつろいだ日々が残りの人生で必要です。あなたは置かれている状況のために仕事を辞めていいと言うことができずに罪の意識を感じている。
でもあなたにできることがあります。あなたには変える力がある。置かれている状況を変えることができなくてもできることがあります。状況が難しくて自分にできることはないと思うかもしれません。私達の先生、タイは戦争の中を生きていました。目の前で亡くなっていく人々を見ました。頭の上には爆弾が飛び交っていました。それもまた非常に難しい状況でした。でも、彼にはプラクティスがありましたから生き残ることができました。
タイもまた死にかけたことがありました。病気になって非常に具合が悪かったのです。どのお医者さんも助けることができませんでした。あなたの旦那さんはとても幸運です。日本の医療はとても発達していて、今治療を受けることができている訳ですから。それで彼もあなたも安全だと感じられます。
彼の場合は誰も助けることができませんでしたが、プラクティスのお陰で助かりました。タイの人生経験が教えてくれることは、非常に困難な状況であってもプラクティスが助けになってくれるということです。ですからこのプラクティスに対する信頼があります。プラクティスがあればあなたにもそれは可能なんです。
あなたは彼に仕事を辞めていいと言うことができないかもしれません。でも、あなたは彼を癒すエネルギーを届けることができます。まず最初に大事なことは自分自身を癒し、彼に届けられるエネルギーを育むということです。仕事が終わって彼が家に帰ってきた時に、あなたが心配や不安を抱えていたら彼のために何かをすることはできません。彼が家に帰ってきた時が、あなたが彼に対してたくさんのことをできる時です。リラックスさせてあげること、安らぎ、心地よさ。それはあなたの心と身体が健やかで幸せであって初めて旦那さんに届けることができます。そうでなければ、彼にもっと不安と心配を与えてしまいます。
ですから自分自身の呼吸に帰ることを思い出して、マインドフルに呼吸をしてリラックスしてください。一日中、働いている時も、家にいる時もあなたは呼吸をしています。呼吸にただ注意を払えばよいのです。自分自身に戻って見つめて下さい。自分自身の中に心配があるか、緊張があるか。自分の心と身体に緊張があることに気がついたら微笑んでその緊張と一緒に呼吸をして心と身体の緊張をゆるめてください。彼が家に帰ってくるまでにプラクティスをする時間が一日中あります。そうしたら彼が家に帰ってきた時にはあなたはイキイキとしています。彼のためにマッサージをすることもできますし、優しい言葉をかけて彼をリラックスさせることもできます。喜びと平和に満ちた空気で家にいたら、家を天国のような場所にできます。仕事を終えて家に帰ってきた時、自分のお気に入りの場所に戻ってきたと感じるでしょう。休んで、一日で最高の時間を家で過ごすことができます。
プラクティスがあればあなたにもそれが可能です。マインドフルな呼吸とマインドフルな歩みによって。公園に歩きに行く時間がなかったとしてもあなたのパートナーと一緒に家の中であるいてください。マインドフルに一歩一歩を呼吸と共に一緒に楽しめます。家でくつろぎながらできます。それができると思いますか?
あなたが穏やかで、十分に平和であればあなたの心は穏やかで澄んでいます。物事がもっとはっきりと見えてきます。何をやって何をやらなくて良いか分かります。人生をもっとシンプルなものにするために。もっとお金を使う必要はないんです。さらにお金のことを心配する必要はありません。
そしてあなたの旦那さんを深く見つめると、身体以上の存在であることが分かります。彼の身体に囚われないでください。何年もあなたと一緒に人生を送り、多くのものを分かち合ってきました。彼の思い、彼の知恵、彼の願い、たくさんの優しさの込められた行動、彼の友人。彼はその肉体以上の存在なのです。あなたの中に恐れがあり、怖いと思っているかもしれません。でも、彼はその身体を超えた存在です。
それはきっと言うのは簡単ですが、それと共に生きていくためにはトレーニングが必要です。タイのアテンドをしていて、彼が出血した時、お医者さんはあと数日の命だと言いました。一日一日が過ぎる時、私は毎日がボーナスだと感じました。もう一日タイが生きていてくれた!彼の存在感を味わうことができること。それはボーナスなんです。
彼がそこにいてくれることを楽しんでいますが、それと同時に彼の肉体がなくなる時が来るのに備えています。彼はその肉体を超えた存在なのだと思い出すことが自分にとっての心の支えになります。そしてこれはブッダはいつも私たちに教えてくれていることでもあります。
彼は死にません。その肉体がこの地上に亡くなったとしても、彼のエネルギーや振る舞い、彼の言葉や思いは残ります。形を変えますが、それは私達の中にあり、周りにあり、世界の中にあります。消えることはありません。肉体と言うのは小さな一部分でしかありません。
全てのものは形を変えていきます。科学的にも証明されています。死ぬものというのはないのだと。全てのものは形を変えるだけです。タイはこのトピックだけで法話全部を使ったこともありました。この数分間の時間の中では簡単に紹介することしかできませんでしたが、深く見つめて、さらに法話を聴いたり本を読んだりしてみてください。
一番大事なことは、深く見つめて、その知恵とともに生きることです。その知恵をあなたの心の中で育んでください。プラクティスを日々の中に取り入れることができたら、今この瞬間を生きて彼のために治療をしてください。もう一つは彼が亡くなる準備をしてください。それができれば彼にもそれは可能になります。自分ができていなくて相手に「これをするべきだ」と言うことはできません。まずは自分から始める必要があります。あなたが実際にそれをすることができた時、彼を助けることができるでしょう。あなたがやることによってではありません。あなたの生き方によってです。あなたが日々どうやって生きているかということが彼を助けてくれます。
これからも連絡をしてください。私の心に直接語りかけてきました。私達にはみんな愛する人がいるからです。タイがいて、母がいて、血のつながった家族がいます。私たちはみんな準備をしている必要があるんです。最後の瞬間が来るまで待たないでください。今に囚われて準備を怠らないようにしてください。時が来た時に「時間が十分あったのに準備をしていなかった」と後悔しないようにしてください。
日本の医療はとても進んでいますからあなたは幸運です。彼は2年間生き続けることができています。あなたはとても賢い人で、何かを変える必要があると気づいています。今すぐに変えてください。日々の生き方を。生と死に対する見方を。今すぐにです。質問ありがとうございました。
Q6.ムカデや蛇などの毒を持った動物への怖れをどのように克服することができるでしょうか?第一のマインドフルネストレーニングでは殺すことや殺させることを支持しないとありますが、殺虫剤を使うことは良くないのですよね。どうしたら良いのでしょうか?
A6.(ブラザーファップニェム)人間が毒のある蛇や虫を怖れているといいますが、きっと彼らの方がもっと人間を怖れているのではないでしょうか?(笑)特にアジアでは何でも食べてしまいますからね。虫たちも怖れを感じています。
私はディアパーク僧院に5年間暮らしていました。たくさんの毒蛇が周りにはいました。タイプラムヴィレッジでも蛇がいます。でも、蛇がいるとネズミの心配をしなくて良いですね。ネズミがいたら食べ物とか色んなものを食べてしまいますね。蛇がいるおかげでネズミの心配をあまりする必要がありません。
生き物というのは意図的に人間を攻撃しようとは思っていません。人間が彼らの領域に入った時に身を守るために攻撃するだけです。ここでは国立公園がありますが、人間が蛇に噛まれるということはそれほどありません。
その怖れはあなたの意識から来ているのです。それを認識する必要があります。そしてそれを手放すのです。幽霊を怖れているかもしれませんがそれは現実ではありません。物語や映画を見て影響を受けていますが、実際に昼に幽霊を見たという人には一人も会ったことがありません。それは夜にだけ起こります。頭の中で作り出しているのです。
実は私もひどく幽霊を怖れていました。フランスのプラムヴィレッジに住んでいた時に夜中に一人で森の中を歩いていて、鳥肌が立っていました。歩いていると、誰かが後ろからついてきているのではないか、誰かが茂みにいるのではないかと思いました。そのように考えることで怖れが広がります。それを認識して手放します。
ディアパークにいた時には建物を出る時とても気をつけていました。靴の中に蛇がいるかもしれませんから、マインドフルになる必要がありました。自分の持ち物を清潔に整えておく必要があります。蛇は食べ物を探しているかもしれませんが、あなたを噛むために探しているわけではありません。
プラムヴィレッジタイランドでは、できるだけ物を見やすく整理整頓して清潔に保つようにしています。蛇が部屋の一角ではなく山に住むようにです。
最初の問いに戻ってくると、私たちは消費に対してマインドフルである必要があります。害獣や虫が増えているのは気候変動のせいでもあります。気温が高くなってそれらが現れるのです。気候変動の問題をそのままにしていたら、虫も現れ続けます。それらがたくさん現れた時に化学薬品を使って殺します。でもそれが土を汚染します。毒のある虫が現れてくるのなら、それが現れてくる条件を見る必要があるんです。それが起こらないためにどうしたら良いか見る必要があります。
自分の生き方や食べ方、消費の仕方にマインドフルでないと問題が起こります。自分は関係ないと思わないでください。あなたも関わっているのです。できることがあります。なぜそれが現れてくるのか見つめて下さい。
時に人を噛むような虫が現れて殺虫剤を使ってもいいのかと聞かれることがあります。使っても構いません。でも、それがやってこない方法を考えて下さい。家を清潔にして、物を整理整頓すること。乾かして清潔にしておくこと。そうすれば現れません。あなたがめんどくさがりで家をきれいにしていないと彼らは現れます。家をマインドフルにきれいにして下さい。そうすれば初めから虫が来ませんから殺す必要もないんです。
野菜を育てている人は虫が近寄ってこない方法を考えて下さい。殺虫剤を使う代わりにハーブを植えることができます。例えばタイランドではレモングラスを育てることで虫や蛇が近寄ってこないようにしています。
人は今自分たちが必要としている以上のものを消費しています。たくさんの食べ物を作り出そうと農薬をまいていますが、虫たちはもっと強くなって帰ってきます。消費に対してマインドフルであれば、自分が十分に持っていることに気がつくことができます。そうすれば殺虫剤を使わなくても足りていることがわかります。生き物を殺さなくてもすむようになります。必要以上のものを作り出しているから生き物もまた生まれるのです。
これまではレストランにいって自分が必要以上のものを食べていたかもしれません。でも、今家で自分に必要な物だけを食べることができます。今起こっていることを深く見つめて、もっと思いやりをもって優しくなるためにはどうしたら良いのか考えてみて下さい。自分と命と世界に対して。自分がどうやって生きていったらいいか分かると思います。どのように自分が消費しているかについて見つめてください。それが解決法になると思います。
Q7.自分一人で座って瞑想することに対して怖れがあります。一人で静かに座っていると怖れや怒りや悲しみや失望が自分の中に湧いてきます。そのような自分に苛立ちます。どのようにしたらいいでしょうか?
A7.(シスターディンニェム)一人で座っていることが難しいのは、ネガティブなものがやってくるからですね。でも、あなたの中にはポジティブなものもあります。もし、ポジティブなものがやってこないとしたら、ポジティブなものを招く必要があります。ネガティブなものしかない、ポジティブなものはないと思うかもしれません。でも、あるんです。ポジティブなものは小さく見えるかもしれません。でも、深く見つめたらあります。ブッダは全ての種はあなたの中にあると言いました。美しい種も全てあります。時にネガティブな種がポジティブな種を覆ってあなたは見ることができないかもしれません。ポジティブなものを招くプラクティスをする必要があります。
良いことを思い出す必要があります。過去にあった良いことを思い出してください。思い出せなかったら周りを見て下さい。美しいものがあります。ポジティブなものがあります。そうすればネガティブではなくなります。十分な喜びと自信があるからです。
プラクティスは注意を向けるということです。ポジティブなもの、美しいものに注意を向けるんです。自分の習慣に気がつかないで苦しみにばかり目を向けて悪いニュースにばかり着目します。自分でそのことに気がつかないで習慣にしてしまうと、脳の回路がそのようになってしまいます。それを変える必要があります。脳の神経経路を変えます。自分自身を癒すために。過去や今この瞬間にある幸せにつながります。
マインドフルな呼吸があれば自分自身になれます。主人です。自分が行動の主体です。犠牲者ではありません。何かにさらわれません。自分自身になれるんです。受け身ではなく行動の主体です。
短いシェアリングをしたいと思います。何かの智慧になればと思います。一人で座っていると、瞑想するのが怖いということでしたね。一緒に感じて下さい。
息を吸って 息を吸っていることに気がつく
息を吐いて 息を吐いていることに気がつく
息を吸って 自分の身体、2本足と手があって健康なことに気がつく
息を吐いて 健康な身体がある幸せに気がつく
この話をするのは、5日前に足をひねったからです。階段を下りていたら滑ってしまって、軽く足をひねってしまいました。5日間部屋にこもっていましたので今日ようやくこのセッションに参加するために外に出ることができました。5日間たって、2本の足があり、普通に歩くことができるということは本当に幸せだと思いました。ここまで歩いてくることができて、健康であるということは本当に幸せだと思いました。足をひねったことも幸せでした。軽くで、そんなに痛くありませんでした。けがをすると前と同じようにはなりません。過去の自分と同じではありません。でも、怪我が軽くてとても幸運でした。
座って、足と手があって、健康な体があることに感謝してください。鼻がつまっていなくて呼吸できることは幸せです。コロナに感染して呼吸ができない人もいます。酸素が足りない人もいます。気がついたら素晴らしい条件が自分にあることに気がつくでしょう。息を吸ったら友達がいて、一緒にリトリートに参加している喜びに気がつくでしょう。テクノロジーがあって、コロナのために物理的に会えなくても、プラクティスを一緒にすることができて、プラクティスを続けることができる。そのことによって苦しみが減って、もっと深く生きることができる。プラクティスを止めるものは何もありません。リトリートに参加するものはありません。そうですよね?貴重な質問ありがとうございました。
(翻訳・書き起こし Kumiko Jin)
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