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2017年12月31日 シスターチャンコンによる大地にふれる瞑想

これから大地に触れる瞑想にふれる瞑想についてお話したい。私たちは一本の木のようなもので、嵐が来た時にその枝葉だけを見ていると、大きく揺れて、今にももう木が壊れてしまうのではないかと思う。でも、その幹を見れば大丈夫かもしれない、と思うだろうし、その根を見ればさらに安心することができる。しっかりと大地に根ざしていれば、嵐にも根は揺るぐことはない。

私たちも、感情の嵐の中で、自分の枝葉しか意識できないともうダメだと思ってしまう。自分が振り回されて今にも壊れそうになってしまう。でも、幹の部分であるお腹に触れて呼吸に帰れば大丈夫って思う。さらに、自分の根っこの部分とつながることができれば、あなたは揺るぎない存在になる。

私たちの根っこには何があるのか?大きく言って3つのつながりがある。

1つは血のつながり。血のつながっているお父さんお母さんお祖父さんお祖母さん、おじさんおばさんなどだ。その人たちがあなたのなかに今もいる。感じてほしい、若いお父さんとお母さんがあなたの中にいることを。たくさんの美しい性質を備え、力強く、たくさんの才能を持っている若いお父さんとお母さんを。でも、同時に彼らは弱さも持っている。もしかしたら、あなたに優しくなかったかもしれない。虐待をしたかもしれない。苦しみを変容するチャンスがなくて、あなたに当たったかもしれない。お父さんお母さんのそのエネルギーや才能だけでなく、弱さや苦しみもあなたのなかに引き継がれている。それはお父さんお母さんが単に持っていたものではなく、お祖父さんお祖母さんから引き継がれて来たものだ。さらにたどれば、もっともっと前の世代から引き継がれて来ている。

大地にふれて、その弱さや苦しみを大地に受け取ってもらう。大地は差別をしない。汚い水だから受け取らない、ということをしない。どんなものでも無条件で受け取ってくれる。だから、血のつながりのある祖先から受け取った苦しみを大地に流し込んで、自分の中にある美しい祖先のエネルギーを活性化させるために大地にふれる。あなたの中で祖先がイキイキと蘇ることを感じてほしい。

2つ目はその土地の祖先。あなたが生まれ育った土地は、これまで作ってきてくれた偉大な人たちがいた。森を切り開き、畑を耕し、街を作ってきた人たちだ。その人たちのおかげで安心で安全な生活を送ることができるようになった。病院や橋や学校を作ってくれた人もいる。あなたの土地の祖先たちがいてそのつながりの中にあなたはあってその偉大さを引き継いでいる。でもまた同時に彼らの弱さや差別的な心や苦しみもまた引き継いでいる。その土地の歴史は必ずしも幸せなばかりの歴史ではない。あなたはその部分も引き継いでそこにいる。その負の遺産を大地に流し込み、先人の偉大な力とその土地の持つ自然の力を受け取るために大地にふれる。

3つ目は魂の祖先である。ブッダやイエス・キリストやムハンマドのような偉大な人たちがいて、私たちの魂の先生となってくれた。それが今もあなたのなかに生きている。あなたは自分の中にそんな偉大さはないと思うかもしれない。でもそれは、あなたの中にちゃんとあるのだ。観音菩薩とは何か、それは慈悲の心で人の話を聞く力だった。ブッダもまた1人の人間だった。でも彼の中にはそのような性質があって人々に苦しみから抜け出すための道を示してくれた。大地にふれてあなたの中にある、魂の祖先たちを感じてそのつながりを取り戻してほしい。

私たちはそれらの祖先の継続。そして私たちは私たちの周りの人々の間に継続されていく。私たちはみんな相互依存的な存在。死もなく生もない。

(この後、鐘の音と共に大地にふれる瞑想を行った)

(翻訳・書き起こし:Kumiko Jin)

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ティク・ナット・ハン「マインドフルネスの教え」
HP: https://www.tnhjapan.org/
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