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私の周りのランナーたち

コロナ禍で地元のマラソン大会が中止になった代わりに、何人かで走るイベントがあり、そのメンバーにいわゆるママ友、パパ友さん達がいた関係で、私も走ることが好き、ということが認知されていた。
そして、地区対抗の駅伝大会があるので、出てみませんか、いや、女性メンバーを募ってるのでぜひ出てください、とパパ友さんから連絡をもらって出場したのが、2年前。

出てみてびっくり、周りがみんな速い。なんなら昔、箱根を走ってました、都大路を走ってました、みたいな人もいて、息子たちが歌う「思ってたんとちがう」状態だった。

もちろん、我が地区は勝つことよりも、親睦のため、とにかくケガせずタスキを渡しましょう!をモットーにしていたので、20チーム参加の中でも最後から○番目をウロウロしていた。私もおそらく70代以上のランナーの次にゆっくりしたタイムで、無事1.5kmを走り切った。

もう出ない、とは言わないが、よほどのことがない限り声もかからないだろうと思っていたのだが、去年も今年も招かれた。去年は日程があわず、またチームメンバーも集まらず断念したが、今年は出場を果たした。

前回とほぼ同じメンバーだったのだが、それぞれ走ることとの向き合い方に違いがあって面白い。

私を駅伝に誘ってくれたパパ友さんは、元トライアスロンの競技者。ストイックに身体を鍛えた経験があり、その精神はご息女にも受け継がれている。彼女は私の長男の友達であるが、しょうもない時間を過ごしている長男に比べ、彼女は日々スイミングスクールに通い、良い成績を残している。
その理由の一つに、かつてアスリート気質だったパパ友さんを支えた女性が、母として、今度はこの若いスイマーをサポートしているからだ、と私は思っている。
今は、そのパパ友さん、走ることに対して消極的だ。自営業で何人もの人生を背負っている経営者としての責任もあるからか、いつもお疲れで、膝も足首も調子が悪い。多分、それらの理由もあるのだろうが、昔の記憶にある自分の走りができないことが、ほんとは不満なんだろうな、と、ちょっと思っている。

スタートから3kmを走ってくださるのは、外科医さん。お子さんが4人いて、上は大学生、下は幼稚園と、ロングランな子育て中だ。子育ては、妻に任せてるんですよ、と言いつつ、こんな地域の行事にはちゃんと協力されてるのは好印象だ。フルマラソンにも出場予定で、パパ友さんによると、よく近所を練習されてる、とのこと。

私と同じ女性枠で走るのは、私より7つも歳上とは思えない美貌の持ち主のママ友さん。いや、子どもが同学年にいないので、友ではない。でも知ってる、だって、お顔が、姿勢が、生活が美しい(美しそうだ)からである。
もともと水泳をされていた関係で肺活量に自信があり、今は一番下のお子さんとバドミントンを熱心にされている。
速く走ると呼吸が乱れてしまって大変でした、と話す様子すら妖艶で、私なんかが話しかけるのもおこがましく感じるほどだ。
どうも日頃からよく走っているらしく、私よりもランニングされているようなのだが、フルマラソンについては、
夫から止められているの、
ということだそうだ。それに対し、素直に従っているところが夫婦のあり方の違いを感じる。私はやりたいことを止められたら不満や、それに伴って怒りしか感じないが、彼女はそれを「夫は私の身体を心配している」=つまり愛情だ、というわけである。まあ、私の場合は相談もしないだろうが。

ご夫妻で出場しているのは、国際結婚カップルである。旦那さんは私と同い年の日本人、奥さんは私よりも10歳くらい年下の中国出身の方。同じ職場で出会い、地元のマラソン大会が縁で仲良くなって、紆余曲折の末、結婚に至った。言葉の壁、文化の壁を乗り越えて、子育てを頑張っている2人、本当にうらやましい。
かなりの高確率で国際結婚は離婚するらしいです、と自虐的におっしゃるので、同じ日本人同士でも、うちはもうすぐ離婚します、とついつい言いたくなった。

私は相変わらず、ぐだぐだ走りたくない理由を子どもに愚痴りながらも、なんとかフルマラソン挑戦に向けて、練習を続けている。
走る時には、去年、先生からもらったランニング用グローブを着けている。
駅伝大会本番で、女性陣でワイワイ話しているとき、
いい手袋!
100均のものじゃない!
スマホも触れるんだ、いいなぁ!
と褒めてもらった。

そうでしょ、とっても気に入ってるんです、
だって、すごく好きな人からもらったものなので、
と、話したくなりました、と先生に伝えたら、
そんなこと言うんだったら、もう2人では会いません、
と言われた。

健全なスポーツ大会に、不倫の話は相応しくない。そして私の周りのランナーのみなさんは、皆、良い家庭を築いているように見える。真偽のほどは、定かではないが。

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