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誰に似てるの?

オリンピックもいよいよ閉会式が近くなってきた。大河ドラマが一週とぶのが悲しい、という以外は、パリからはるか遠い日本の片田舎からでも、世界のアスリートの活躍を見ることができて、大変楽しい。

特に陸上部で頑張っている長男は熱心にテレビ観戦を行っている。田舎ゆえ、競技人口が少なく、うまいことすれば、団体戦で上位を狙える彼は、走り高跳びや四種競技、ハードル走と、様々な種目にチャレンジしている。四種競技など、ある種目で失格だったにも関わらず、市内で一位、なぜなら、1人しか登録していなかったからだ。
それゆえ、様々な経験があるので、どの中継を見ていても、興味深いようだ。

彼が陸上部だということを伝えると、
走りが速くていいわね〜、
運動神経は、母親に似るって言うじゃない、やっぱり〇〇さんが速いから……、
と、50%くらいの確率で、私との関係に話題が及んでいく。

いやいや、そんなことないんです、
長男は小学校6年生のときに、急に背が伸びて、
走ることに自信を持ったみたいで。
あとは、部活しだしてからですよ、速くなったのは、
と、回答する。
もし、もう少し付け加える時間があれば、幼稚園の時からの親友、O君の存在が大きい。彼は、小さい頃からすばしっこく、長男からすれば、憧れの存在だった。O君の兄も陸上部で、O君は中学入学前から陸上部に入る!と宣言していた。

O君の家族をみてみると、お母さんはとっても優雅で心優しい人、しかもチャレンジ精神があり、音楽や武道、地域活動と多岐にわたって活躍されている。しかし、走るのが得意かと言われると、そうでもないらしい。
そこでお父さん、お父さんは高校までサッカーをし、走るのに自信がある。コロナ禍以前に行われていた地区対抗の運動会では、地区の代表としてリレーのアンカーを務めるくらいの脚力の持ち主だ(そのとき私の住む地区の代表、18歳の高校生に負け、お父さんは自ら引退宣言をした……のだが、その運動会自体が、コロナ禍と人数減少を理由になくなってしまった)。

そう思うと、O君の走る力は、お父さん譲りのようにも思える。あるいは、お父さんの走ることへの関心の高さが、幼少期からO君の脚力を鍛えたに違いない。
なぜなら、私の長男の走る姿を見て、
「△△くん(うちの長男)は、走る姿勢がいい!体幹が強いんだと思います。」
と、小さい頃から、よくお褒めの言葉をいただいた。こういう指導者が近くにいてくれたら、お子さんだって、うまく走れるようになるのだろう。

そして、そこで引っ掛かるのが長男の父親である、別居中の夫について、である。
彼は、小学生の頃、県内で片手……は無理だが、両手に入るくらいの、短距離走の記録を持っていた。
義理の父曰く、
こいつは、脚のバネが周りの子たちと違っていた、
と、生前、自慢げに話されていたのを思い出す。
義理の父は、武道を長年やっていた上、大学では体育を専門としていた。

じゃあ長男の走力は父親譲りなのか、と言われると、そこは素直に頷けない。
まず体格が違う。夫は小学生にしてはかなり大きな体格をしていたようだ。
今となっては懐かしい思い出だが、夫の魅力のひとつに、広い肩幅があげられる。小柄な私にくらべ、背は普通に高いのだが、なんせ肩幅が広いことが印象的だった。肩幅の広さからすれば、納得がいくくらいの自然な比率で、頭も大きかった。

この四角くて大きな頭と、ガッチリした肩幅を受け継いだのは、次男である。
次男は小さい頃から、夫そっくりだと、方々で言われる。初めて夫が次男の幼稚園の保育参観に出席した際、多くの保護者さんが、納得されたほどだ。
夫が小学校高学年から体格が良かったのと同様、次男も、ひとつ上の学年の子たちの半数より背が高い。しかし、走るのは苦手だ。そこはまだまだ成長過程なので、将来的なことはさておき、どうしても、父親譲り、という言葉を避けたがっている私がいる。

運動神経に関することはともかく、性格的なことは、できるだけ似てほしくない、と願ってしまう。大変、勝手なことなのだが。

性格的なこと……まあ、女性に対して嫉妬深いのは仕方がないか。いや、あんまり執着してばかりなのは、相手も自分も不幸にしてしまいそうだから、子どもたちは似てほしくない。
ギャンブル好き……やめてほしい。夫が子どもたちをそういう遊びに仕向けていくのが、本当に嫌だった。
タバコ……性格ではないが、この時代から始めるメリットは皆無だろう。

「最低限のところでしか力を発揮しない」、これが、私が一番嫌悪する性格というか、思考?志向?の方向性である。たしか以前、長男が私に
僕もお父さんと似ていて、必要最低限でしか動きたくない、
と言い出した時には、激怒した。
私があなたたちの子育てに関して「必要最低限でしかやってきてない」と話したら、あなたたちは、どんな気持ちになるの??
と迫った。

まあ、身勝手な論理かもしれないが、それを公表することによって、相手がどんな気持ちになるのかは知っておいてほしい。

うちの三兄弟は、よくお揃いや色違いを着せたりするのだが、見た目が三者三様である。
まさか、と思うが、別居中の夫から、そこを疑われてはいないよね、と、ふと心配してしまうことがある。誓ってそのようなことは、その頃は何もなかったのだが、夫に似た次男以外、長男も三男も誰に似たのか、よくわからない顔立ちである。

それにしても、3人の子どもたちが生まれた頃は、表面上は、夫婦仲が良かったわけだし、今のこの状況(夫が別居)を誰が予測できただろうか。

本当に人生って不思議なものである。

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