交通安全の歴史に想いを馳せる

自動車が初めて出てきた頃、人は何を思ったろうか。
驚き?憧れ?希望?
もしかしたら恐怖を覚えた人も多いかもしれない。簡単に人を殺せてしまう機械が、戦場でもない普通の街中に現れたのだから。
それでも自動車がただの殺戮兵器に成り下がらずに済んだのは、そうならぬよう交通安全対策を行なってきたからだろう。
法律や道路の整備、啓蒙活動、より安全な自動車の開発。そういった先人たちの地道な努力のおかげで、自動車は安全とのバランスを取りながら経済の発展に大きく貢献している。
もちろん国内で年間3000人以上の犠牲者を出す死亡事故を許容できるわけではないけど、今社会から自動車を奪ったら救急が間に合わなかったり経済的に困窮したり、とにかく別の原因で死ぬ人が増えるだけだ。

じゃあ例えばもし、まだ馬がカポカポ街中を歩いていた時代に現代と同じだけの自動車をぶち込んでバンバン走らせたらどうなるだろうか。
きっと事故多発、阿鼻叫喚、死屍累々といった様子になり、経済的な恩恵なんて少しも受けられない。
自動車はあくまで、その普及に合わせて少しずつ、安全に共生するための知恵を蓄えていったから上手く社会に取り込むことができたんだろう。

今の新型コロナウィルス騒動は「馬がカポカポ歩いている時代に自動車がバンバン走ってる状態」に近いと思う。
まだ道路も交通ルールも整備できていないのに車は走り出してしまった。
これからはできるだけ跳ねられないように気をつけつつ、道路整備を心待ちにしながら、それでも車は止めずに生活を続けるしかない。

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