本当は4月中に公開したかったんですが、あっという間に5月の半ば。小説の真似事をしてみましたが、気安く触れてはいけない世界だったとやっとのことで完成させて思いました。一話完結の短編です。https://note.com/tn5n/n/n61a6f88b81dd

春うらはら

春が来た。 春という言葉は不思議なもので、単純に季節の一つを示すこともあれば、生命の芽吹きを意味することもある。 後者の意味で言えば、これは冬とでも言うべきだろうか。 「金魚すくいにしては長生きした方よ」 母がかけた言葉は恐らく慰めのつもりだったろうが、僕には残酷にしか響かなかった。 彼は僕にとっての友人であり、誇りだった。それを失ったことに早いも遅いも関係無かった。 手のひらが熱い。腰を目一杯後ろに引く。呼吸を整え、足を前に踏み出した。身体が垂直になったところで地面を強

はじめましてのごあいさつ

主婦というのは損なもので、誰でもできる仕事だなんて軽視されがちだ。 けれど誰でもできる仕事を実際にやってくれる存在は必要であり尊いものだし、それを毎日こなしてきた主婦の仕事はもはや誰にも真似ることのできない神業だったりもする。 物書きというのも同じく軽く見られがちだと思う。 ありがたいことに義務教育のおかげで日本じゃ上手下手はあれど誰だって多少は文章を書けるし、今ではスマホひとつでこうして世界にお披露目できるもんだから、なんとなく自分でも出来そうな気がしてしまう。 私