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Chris Korda 本日よく聴いた音楽

何故か最近ジゴロの音楽を聴きたくなり、ちょうどセールをしていたbeatportにてごっそりと購入しました。

International Deejay Gigolo RecordsはDJ Hellによって1996年に設立されたレーベルで、設立当社はニューウェーヴ的というかドイツ的というか、80sテイストの非常に乾いたシンセサイザーのオシレーター剥き出しの音色を使ったダンスミュージックを展開しておりました。

当時ハードミニマル隆盛前夜というか、テクノに大衆性がなくなりかけていた時期であると記憶しており、Dave ClarkeのRed2ショックとでも言いましょうか、家で単体で聴いても意味がない、ミックスされてなんぼのようなトラックが増えておりました。

そこに懐古的とは言え、テクノに「ユーモア」と「ダンスものでありながら踊るだけでなく聴く楽しみ」を取り戻したという意味で、非常に重要なレーベルでありました。

とにかく12インチシングルにこだわり、10枚出したらコンピをCDでリリースするというスタイルもとてもかっこよかったです。当時のインタビューでヘルが「アーティストを大事にしており、DJのブッキングなどもしていて、皆が時々新しい機材を買ったりしながら、音楽だけで生活できるように面倒見ている」といったようなことを言っていたのが印象的で、こういったアンダーグラウンドなレーベル活動としては本当に理想的なスタイルで活動していたように思えます。

現在は流石にそのスタイルは崩れているとは思いますが、人気レーベルに押し上げていったのはヘルのレーベル運営の姿勢によるものだと思います。とは言え真面目さとは無縁のビルダー時代のシュワルツェネッガーの写真を使ったアートワークも毒ともユーモアとも取れる内容でいつも笑わせてもらっておりました。コンセプトって本当に大事ですね。

数々のヒットリリースもありますが、自分が特に好きなのはChris Kordaというアーティストです。

シンセ、リズムマシーン、サンプラー、シーケンサー一台ずつくらいしか機材を持っていないのではないかというくらい同じような音しか鳴っていないのですが、サンプラーの使い方と作曲能力があまりにも秀でており、シンプルでありながら琴線に触れるメロディーとファンキーさを兼ね揃えたような音楽を当時ほとんど知らなかったので、一体この音楽はなんなんだと本当にぶっ飛びました。

特に好きなのは、最初に2枚のアルバムなのですが、残念ながらspotifyには置いておりませんでした。データならbeatport、CDなら中古屋さんで見かけたら必ず買うと良いと思います。

ジェフ・ミルズが、普段の自分のスタイルと違うので自分のレーベルからはリリースの予定が無いということで、友達のヘルのレーベルスタートのためにDATをポンと渡して、「お金とかはいいから美味しいディナーに連れて行ってくれ」と言ったとエピソードは素敵ですね。ジゴロというレーベル名も、「DJってのはいい飛行機に乗って美味しいご飯を食べ、夜は美人に囲まれてるわでまるでジゴロのようだ」とジェフが冗談で言ったのがアイデアだそうです。

オーストリアのクリストファー・ジャストのこの曲は大ヒットしました。当時、このシンセベースとロボ声の使い方というのは悪手というか、かっこ悪いものの代表のように思われていたと思うのですが、敢えてそれをやりつつヒットさせたという意味で、時代を変換させたトラックであり、真の意味でジゴロがヒットレーベルになったのはこのトラックの力が大きいかと思います。

自分は実はそんなに好みでは無いのですが、こういうモロに80sな歌物でもヒットしてしまうという時代でした。特にボーカルが乗るトラックは珍しかったので一般層にも受け入れられつつ特大のヒットを記録したのでは無いでしょうか。

自分はWIREで知ったのですが、このトラックもナショナルチャートで上位に記録するようなトラックとなりました。メインのフレーズはゲームのサントラから抜いたとか聴いたことがあります。

ジゴロからのリリースではありませんが、この時期にヘルがこの時期にリリースしたアルバムより。



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