Vol.13 Nicely Nice / The Adventures of Nicely Nice
過去、Nice Musicという身も蓋もないバンド名で活動していた佐藤清喜という方が、今はNicely Niceという名前で活動しているとは、ココナッツディスク吉祥寺店によるツイートで知った。
当時Nice Musicに夢中であったかというとそんなことはないのだが、「伊集院光のOh! デカナイト」というラジオ番組のオープニングテーマとして使用されており、とても良い曲であったのでよく覚えていた。記憶が正しければ、アクセスに次いでの起用であったはず。その後はスピッツ(ロビンソン以前でスパイダーが使われていた)だったかしら。
既にダンスミュージックとしてのテクノにほぼズッポリハマりかけており、多くの人が経験したと思うが、こういったポップミュージックは全般的に拒否する耳になっていたのもあって、いい曲だとは思ったが掘り下げることなく人生を進めてしまった。
奇しくも、後にココナッツディスク吉祥寺店にて先述のOh! デカナイトのオープニング「Space Ship Goes On」を含んだ12インチを買って大喜びしたのは、なんとも予言的な出来事だったのだなと今更にして思う。
そしてまた時は流れてNicely Nice。当時も今も変わらぬ100%以上のポップミュージックを鳴らす佐藤氏はmicrostarというユニットでも活動中しているが、microstarでは女性ボーカルがメンバーにおり、彼は歌っていない。一方、このNicely NiceではNice Music同様彼がボーカルを取っている。
先日放送されたアトロクに出演時の紹介ナレやインタビューで知ったのだが、1996年にはNicely Niceを結成(?)しており、何と活動25年目にしてのファーストアルバムとのことを知って驚いた。そして、佐藤氏の源流にあるのは、ネオアコなどのポップミュージック感と、YMOをはじめとしたテクノポップ感だとのこと。これはまさに自分のことであり、好きなはずだと深く納得した。
microstarがアコースティックよりな音であるのに対し、Nicely Niceではエレクトロニックな感触が満載のバックトラックになっている。可愛らしく可笑しなシンセの音が散りばめられ、そこに、ネオアコ・インディーポップ由来の、文字通りナイスなコードとメロディーが載り、佐藤氏の文系的で柔らかなボーカルで英語詩と日本語詩がごく自然に唱えられるという、心臓を射抜かれる程衝撃的に自分好みの音楽で、ちょっと頭がクラクラとし、心はドキドキしてしまった。
A1: (Opening Theme)
タイニートゥーンのようなドタバタ調子の小曲。とても素敵な始まり
A2: Time of The Departure
オモチャのロケットで華麗に宇宙を飛行していくような疾走感溢れるナンバー。サビのメロディーの突入感など何度聴いても心が踊る。ちなみに先行して7インチが出ており、B面はアルバム未収録の、Beach Girl。これはあのテストパターンの名曲のカバーであり、逆張り的に、生演奏スタイルでカバーされている。このカバーを聴いて自分はオールディーズのメロディーが好きなのだなと気づき、今オールディーズのレコードを買い漁っている。
A3: Take Me To The Moon
50年代のシナトラ的バラードをテルミンでカバーしたような曲。巨大な三日月でうたた寝してるような曲。
A4: Crescent Moon
何とシングルに続き再びカバーされたテストパターンの名曲。こちらも生バンドテイストのアレンジで、ドラムは先日のMetafiveのライヴでも華麗なプレイを見せてくれた白根賢一氏。
A5: V.C.F. ( Space Dub)
宇宙遊泳ダブ!このアルバムの中では最古の曲で、90年代にはできていたらしい。
B1: Fine View (Future Wonderland)
80sアイドルポップス、アニメの主題歌が想起されるリフが楽しげ。音色的にも浮気なぼくららしさが溢れており、懐かしさど真ん中。
B2: Magic Star
丁度最近知ってハマっていた、トルネードスのテルスターのメロディーを拝借した曲。かと思っていたら、テルスターのボーカルバージョンとして、この曲があるらしい。そしてそのカバー。
B3: Guzen No Ongaku
アンビエント的な感触のバラード曲。素晴らしい。
B4: Way Home
本編を占めるに相応しいポップミュージックのお手本のようなアレンジ。時代を問わず通用するメロディーとアレンジ。
B5: (Ending Theme)
舞台の大団円、カーテンコールのような曲。
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名盤間違いなしの仕上がりで、まるで子供の頃に戻ったような、頭でっかちにならず音楽を聴く楽しみに満ちた傑作だと思いました。
先だってリリースされたシングル同様、江口寿史のジャケットもとってもいかしており、トータルで数年後も必ずや多くの人の心に残る作品だと思います。
ちなみにしばらく配信やダウンロード、CDでの販売はないらしくレコードと、レコードにつく期間限定のダウンロードのみでしか聴けないのでお早めに入手して是非聴いていただきたいところです。
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