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誰もあまりやらないまたやり難い事業をものにするところに人生の面白みがある

トヨタ自動車創業者 豊田喜一郎

●トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎が、世人がいちばん難しいと考えていた大衆乗用車の製作に乗り出したときの言葉だが、日本の自動車工業の草分けになった画期的な出来事であった。

●「当然儲かるとわかっているような事業を当然な方法でやっていくのなら、それは新しい企業とはいえない。トヨタは、これまで人のやったことのない分野に挑むのだ。
 できなくて倒れるなら、自分の力が足りないのだから、潔く腹を切ったらよいではないか。できるところまでやってみるべきだ。
どうせなら人が難しいと尻込む大衆乗用車にとりくもうではないか」

●経営者、機械工学の専門家として、この潔い心がけは「古武士」的でもある。もちろん他人のやらない分野に力を尽くそうという着眼の鋭さは、父親である自動織機の発明家豊田佐吉ゆずりのものである。発明、発見に対する工学者としての自信があってこその言葉でもあった。

●大衆乗用車の製作にあたって、
「学術的研究が、この事業とともに進歩しなければ、本事業の確立は永久にできないことと思います」
 とも彼はいっている。

●学術的進歩がきっと小型乗用車の生産を助ける時代がくる、と先も読みきっていたわけだ。

●今日の時代のモータリゼーションの到来を予見しきっていた彼の着眼はすばらしい。町の発明家であった父、佐吉の天性の資質をゆずりうけていたことと、彼が東京大学に学んだことは彼の大きな支えになっている。

●理論的につきつめ、実験を重ねたうえで練り上げられた彼の技術に対する自信が、
「他人のやらない事業に踏み出したい」
と自動車生産をスタートさせたわけだ。

●先人たちの着眼力、予見力にはおどろかされる。

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