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3.11

 大学2年で卒業後の進路を定めたとき、私は防災に携わるために国交省を目指そうと決めた。私は災害を経験していない。被災者になったことがない。それでも防災に興味を持ったのは、地理が好きだったこと、地理が好きなら防災に携わる人になってほしいと近所のおじさんにいわれたこと、が大きな理由である。私の地理学に対する好奇心を世の中の役に立てることができるんだと知った瞬間であった。(私の実家のある地域は戦後すぐに水害に見舞われた地域で、近所のおじさんは新聞記者の仕事をしながら水害を後世に伝える活動をしていた。)

 防災に携わる人間になるということは、一番大変な瞬間に人のために動かなければならないポジションにつくかもしれないということ。平時の備えに携わることはもちろん、災害が起きたときに人のために働くということが、自分にできるのだろうか。私は災害を経験していないから洪水で家が流されたり、家族や友達を亡くしたこともない。(行政官になったとして、私がそんな立場になるか分からないけれど)被害の最前線に立つ覚悟は持てる気がしない。

 東日本大震災が起きた時、京都にいた私は自分の生活に何らの変化がなかったから大変なことが起きたとすらも認識していなかった気がする。強いて言うなら、いつものテレビが全部ニュースに変わって不服だった記憶があるくらいだ。それでも、防災に携わって、自然災害によって身の回りのすべてを失うことが少しでも減ればいいと思うし、私がそこに携わるべき人間なんじゃないかと思う。(国として、誰かが対処しなければいけないことを誰が担当するのかと言ったときに、その分野に知的好奇心がある人が携わるのが良いのではと思っている)

 被災したくないけれど災害にあった人は助けたい、は自分のエゴな気もする。でも、ちょっとでも私の地理好きな気持ちが社会の役に立ったらwinwinだと思う。試験勉強頑張るかあ。





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