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きまぐれカード紹介⑭ 破壊神サガ
「……ったく!なんだよこれ!!」
梶野元春は呆然としていた。
と、いうか絶望していた。
今週の課題など知ったことか、ええい日曜の朝から散歩でもしてしまえと、ちょっと前まで見慣れた町内を歩いていたはずなのだが、なんの前触れも無くいつのまにか空は夜のように暗く──いや、赤く、黒く空は染まっていた。
まるで地獄だ。
元春はそう思った。小さい頃読み聞かされた絵本に描かれていた地獄の雰囲気にそっ
きまぐれカード紹介⑬ アクア・ティーチャー
「姫野くん、あれ、あれどうなってるの。ほらあの今度やるって言ってた実験」
「きょ、きょ、きょ、教授、そ、それは、その、あの、おいおい」
「キミダメだろそれじゃ。結局やらないでほったらかしにしちゃうんだから。やるって言ったなら責任もってやりなさいよ」
「あ、あ、うう」
「せんせーこのあとひまー?」
「波木さんあなたまた実験室から薬品持ってったでしょ。もみ消すの大変なんだからね、うん。もうい
きまぐれカード紹介⑤ アイズ・カノープス
むかしむかし、武蔵国──まあ、今の東京とか埼玉じゃな──の、蝶某字という所に、仙太郎という若者が住んでおったそうな。
蝶某宇というところは、当時はとにかく田舎でな、近くに街道も通ってはおらず、ただ田んぼやら畑やらが、だだっぴろく広がっているだけの、寂しい村じゃった。人もほんの少ししかおらんでの、もしかしたら犬猫鶏の方が多かったかもしれん。
仙太郎はそんな村の普通の百姓の家に生まれて、普通
きまぐれカード紹介② 秘護精マニトゥス
エピローグ「その2」
「……ここは……どこ……」
目覚めるとそこは白い世界だった。少女は白い床に寝そべり白い天井を見つめていた。
限りなく「無」に近いその部屋に、少女は1人きりだった。周囲から音は聞こえず、人のいる気配も無い。少女は少し不気味に、そして不思議に思った。私は何故ここに。どうして。
少女はそっと身体を起こす。が、
「……痛い?」
上体を起こそうと床につけた手がジン