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何もしてない日のビールが一番うまいんだけどなあ

数年ぶりに忘年会のお誘いが来た。

コロナ禍の2020年に入社した私は、職場の飲み会というものを経験しないまま退職した。当時はラッキーだと思っていたが、忘年会に対する恐怖が無駄に大きくなってしまった気もする。

それに加えて、現在私は無職だ。もうかれこれ1年半くらいほぼ働かずに過ごしている。積極的に無職をしていた頃はなんの後ろめたさもなかったのだが、就活を始めたとたんに人に会うのが怖くなった。

何が怖いって近況報告だ。「いま就活中なんだ」と言って終わる可能性もあるが、「どんなところ受けてるの?」「これから何したいの?」という質問が飛んでくる可能性もある。相手からしたらなんてことない返しなのだろうけど、急に面接をふっかけられたようで心臓が嫌な鳴り方をする。

そんな状態なので、忘年会の参加を迷っている。卒業以来会っていない大学院時代の友人たち。当時は校内でさんまを焼いたり昼間から飲んだりしていたが、今はみんな社会人だ。働いている。

働いている人は働いていない人に疑問を持つらしい、ということが無職期間に分かったことだ。もちろん人によって反応は違うが、全力でいいね!と受け入れてもらえることはなかった気がする。

日中は読書と散歩をして、体力を使い果たさずに夕方から飲むお酒がめちゃくちゃ美味しいと思った。

友達何人かと会ったときにそんな話をしてみたけれど、あまりぴんと来ていないみたいだった。「やっぱり働いた後のビールが一番うまい」と言ってた子もいて、ああこの子は楽しく仕事しているんだなあと思ったりもした。

忘年会で飲むのって「1年働いたからこそうまいビール」だったりしないだろうか。もしそうだとすれば、私は美味しく飲むことができるのだろうか。

せっかくの再会の機会にそんなことを考えてしまうのは、私が暇なせいなのかもしれない。

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