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初心者大歓迎。読めばあなたもきっと鉄道旅をしたくなる『テツぼん』

【レビュアー/南川祐一郎】

コロナによる鉄道大苦境時代到来…

皆さん電車は好きですか?

僕は幼少期から学生時代の間ずっと、田舎で車主体の生活をしていてほとんど電車に乗ることがありませんでした。

社会人になって東京に出てきて通勤で電車を使うようになったんですが、東京の通勤電車は、皆さんご存知の通り地獄の様な場所でして、はっきり言うと全然好きじゃなったんですよね。

ただ、僕の子供が幼稚園ぐらいの頃からなぜか鉄道にハマり始めまして、いろんな鉄道雑誌やプラレールなんかのオモチャを買わされたり、どこか遊びに出かけようかという話をすると「あそこに行きたい」ではなく「あの電車に乗りたい」とほぼ100%言われるようになりました。

一緒に本を読んだり、出かけて実際見たり乗ったりするようになって、自然と僕も少しずつ知識が付くとともに、その魅力にハマってきてしまいました。

もちろん、鉄道を愛する諸先輩方の知識や熱量には到底及ばないレベルですが、それでも鉄道のことを知っていくと、確かに見に行きたい、乗ってみたいって気持ちになってしまいました。

それぐらい、鉄道ってすごく面白く、魅力的なんです。

ただ、現在はコロナのせいで各鉄道会社さんは大きな苦境に立たされています。

リモートワークなどの働き方の変化や、密になることを警戒して公共交通機関の利用が敬遠されたりすることで、利用者が激減しています。

終電時間の繰り上げとかならまだ良いですけど、路線そのものが存続の危機に陥るようなこともあちこちで起こってきているんです。

鉄道に興味がない人にも分かりやすい

GoToキャンペーンなどで旅行も推奨されていますが、鉄道については基本的に一部完全な観光列車を除いて、移動手段としての電車賃は対象外になっています。(交通費+宿泊費とかのツアーパッケージとかは対象ですが)

しかし、鉄道のことを色々知っていくと、鉄道を見に行ったり実際に乗ること自体が、十分に旅行の目的になってもおかしくないくらい鉄道は魅力的なんですよ。

とはいえ鉄道オタクという言葉は、まだまだマニアック。

鉄道の雑誌を読むとか鉄道の写真を撮りに行くのはマニアに限られる、というようなイメージがあると思います。

そんな時こそ!分かりやすく簡単に、そして楽しく情報や知識を与えてくれる、そう、漫画の力の出番です!

今回紹介する『テツぼん』は、ただマニアックな鉄道知識を語るだけの完全オタク向け漫画ではありません。

鉄道好きな主人公が、鉄道好きだという自分の強みを武器に一風変わった視点で色々な問題をクリアしていき、それによって自身も成長していくというヒューマンドラマです。

登場するキャラもストーリーも、鉄道のことを知らなくても十分楽しめるとても面白い漫画になっています。

知識をひけらかすだけの作者の自己満足漫画ではなく、「鉄道が好きだからこそいろんな人にその面白さや魅力を伝えたい」、「題材としての鉄道はただの乗り物以上に深く広いテーマがある」ということを教えてくれる、僕のようなシロウトにもとっても優しい漫画なんです。

すでにガッツリ鉄道の魅力にハマっている人が読んでも、色々な新しい発見があったり、知っているからこそ「なるほど、ここでそれを使ってくるか!」といった驚きや楽しみが各所に散りばめられています。

旅行を楽しむ機会が戻ってきたら、この『テツぼん』を読んで、鉄道という新しい旅の選択肢を見つけてみませんか?