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老子×湯シャン

人類を悩ますあらゆる災禍は、人間が必要なことを為すのを怠るところから生ずるのではない。

かえって様々な不必要なことを為すところから生ずる

福永光司著「老子」

他の記事でも老子の言葉から入るかたちで書いたものがありますが、20代の頃に老子を読んで以来、物事に対する姿勢や考え方の基本に老子の思想が入ることが少なくないです。

心の奥底に老子が鎮座していることが、精神安定剤になっているよな感じです。

無為自然。

「宇宙のありかたにしたがって、自然のままであること」というのが老子の基本思想です。

話は変わり、年明けに美容関連の情報をネットで見てたところ、たまたま”湯シャン”の記事が目に留まりました。

湯シャンというのは、タモさんや福山雅治さんが実践していることで有名になったみたいですが、シャンプーを使わずにお湯だけで頭を洗うことです。

以前から湯シャンの存在は知ってましたが、当時は自分もやってみようとは特に思わずスルーしてました。

混合肌である僕には向いてないと判断したのかもしれません。

でも今回、ちょうど正月三が日に久しぶりに老子を読み返してた影響も手伝ってか、この無為自然なスタイルが改めて気になり、新年の新しい試みとして実践することに。

なんでも、シャンプーで毎日頭皮をゴシゴシ洗ってしまうと、頭皮に元々存在し、外的刺激を常日頃バリアしてくれている常在菌たちが除菌・殺菌されてしまうんだそうです。

例えば表皮ブドウ球菌という善玉菌は、アトピー症状を持つ人の皮膚に多く存在するといわれる黄色ブドウ球菌という悪玉菌の侵入を防ぐ機能を持ってるそうです。

そして、その表皮ブドウ球菌の餌になるのが、私たちの身体から分泌される皮脂なんだそう。

皮脂はまさに天然の保護美容成分ということです。

毎日シャンプーで頭をゴシゴシ洗うことは、その保護美容成分を全部取り除いてしまうことになります。

そうすると、皮脂の過剰分泌が起こったりして、本来の常在菌たちのバランスが崩れてしまい、皮膚トラブルや臭いの原因につながってしまうことに。

頭皮は顔よりもデリケートな部分ともいわれ、だからこそバランスが崩れてしまうと外部からの刺激を必死に防ごうとし、過剰に皮脂が分泌されてしまうそうです。

よく言われる通り、本来人間の身体はとても精巧にできていて、常在菌が保たれてれば、地肌も健康に保たれ、またそこから生えてくる髪の毛も健康的に保つことができるそうです。

肥沃な自然の大地ですくすくと野菜が育つのと同じで、髪の毛も自然の調和が保たれた本来の地肌からでないと、美しく育たないということです。

でもここで一つ疑問が湧きます。

なぜ毎日髪を洗うようになったんだろうかと。

気になり、花王のサイトでシャンプーの歴史を調べてると、以下の文章が目に留まりました。

1970年代、洗髪頻度が週2-3回になり始めた頃から、髪がパサつく・感触が悪いという意識が高くなります。

洗髪と整髪の頻度が増え、ブラシブローも普及し、濡れているときに髪がこすれたり引っ張られたりして傷む機会が増えたからです。

この頃から、シャンプー製品には、フケ・かゆみ防止だけでなく、髪をケアし感触を整える機能が加わります。

花王 ヘアケアサイト

これを読むと、シャンプーに洗浄だけでなく髪のパサつき防止などといった整髪機能が加わったことで、さらに使用頻度が加速していったことが推察されます。

また「良い香り」も相乗効果をもたらす要素だったと思います。

香水を毎日つけるように、世の中がオシャレや身だしなみに敏感になるにつれ、日々の臭いケアとして毎日シャンプーが使われるようになっていった面もあるのでしょう。

でも本来は上述の通り、汗や余分な皮脂などは常在菌が分解してくれます。

なので、お湯で洗い流すだけに留めることで余分な老廃物だけを落とし、頭皮を清潔に保つことができるようです。

コスパにもタイパにも環境にも貢献し、地肌も髪も健康に保てると考えると、やはり湯シャンへに惹かれてしまいます。

ただここで問題となるのは、スタイリング剤は湯シャンで落とせるのかどうかということ。

僕の場合、普段はヘアオイルとたまにワックスを使う程度ですが、ワックスを落とすのにはさすがにお湯だけでは心細さを感じます。

このあたりも調べてみましたが、ワックスやジェル、トリートメントといった化学物質は、本来身体には存在しないものであり、やはり常在菌では分解できないようです。

ということで、健康や美容に関してはすぐに影響されてしまう僕は、湯シャンデビューにあたり、ワックスを控えることにしました。

まぁ元々僕はバッチリとスタイリング剤でセットするタイプではなかったので、そこまで抵抗はありませんでしたが。

また、これは湯シャンをしてから気づいたことですが、脂が残る分、それが天然のスタイリング剤となって、ある程度セットができてしまいます。

それに気づいてからは、結局ヘアオイルもつける日がかなり減りました。

ヘアオイルをつけた日は、シャンプーを頭皮ではなく髪の部分だけにつけ、ササッと洗い流すようにしています。

湯シャンをやり出すと貴重な常在菌を洗い流してしまうのがもったいなく感じるようになり、その結果、このような髪の毛だけササッと洗う方法に落ち着きました。

現在、湯シャンデビューして2週間経過しましたが、以前と比べ皮膚が荒れたりかゆくなったり、臭いが気になったりなどといった問題は特にありません。

臭いについては、以前は被った後のニットキャップから嫌な臭いを感じていたのが今は消えた気がしてます。

湯シャンの頻度

ネットで湯シャンの始め方を調べると、まずは1日おきから始めて徐々に間隔をあけてくのがおすすめ、と書いてありました。

毎日のシャンプーを急にやめてしまうと、皮脂の分泌リズムが乱れ、極度の乾燥状態になったり、逆に皮脂分泌が過剰になるリスクがあるためです。

僕もまずは1日シャンプーをしないとこから始めようとしましたが、翌日になるとまだ洗わずにいけそうな気がしてきて、3日,4日と連続で湯シャンのみにしてみましたが、確かに過剰分泌なのか、ギトギト感やゴワゴワ感が結構残りました。

なお、ネット情報によると完全に湯シャンのみで過ごせるまでは半年程度かかるそうです。

この先どんなコンディションになってゆくか、しばらく続けて様子を見ようと思います。

人間が毎日髪を洗うようになった歴史は浅い

ちなみに洗髪頻度の歴史を調べると、髪をほぼ毎日洗うという習慣が当たり前になったのはだいたい平成時代以降と、まだ歴史が浅いことがわかります。

先に紹介した花王のサイト情報からまた抜粋です。

洗髪頻度の遷移 出展:花王 ヘアケアサイト

平安時代の年1回ほどというスパンはすごいですね。
ここまでくると洗う意味があんのかと思ってしまいます。

さて、現代はAIの進化が進む一方、僕自身含め「自然回帰」に関心をもつ人が増えているような気がします。

自然というのは、森や川といった目に見えるものだけではなく、「本来の在り方」や「自然調和・秩序」といった考え方や価値観も含めてです。

そのような背景の中、今後シャンプーの使用頻度は、毎日派がなお優勢を保つのか、それとも湯シャンがさらに勢力を増してくのか、気になるところです。

自然回帰や老子の思想に関する記事は以下でも書いてます。
よかったら見てください。


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