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2024ベルリン観劇記録(19)Muttersprache Mameloschn

 3月9日、ゴーリキーテアターの小劇場SudioでSasha Marianna Salzmannの『母語-マメローシュン-』。

作  Sasha Marianna Salzmann
演出 Hakan Savaş Mican
舞台美術 Alissa Kolbusch
衣装 Sylvia Rieger
音楽/演奏 Daniel Kahn
映像 Sebastian Lempe
ドラマトゥルギー Holger Kuhla, Clara Probst
出演 Anastasia Gubareva, Daniel Kahn, Alexandra Sinelnikova, Ursula Werner

 2017年に拙訳、宮田清香演出でリーディング上演された作品のため、感慨深い。2012年ドイツ初演、わたしが観た2015年(この時はDeutsches Theaterのプロダクション)、日本初演2017年、そして2024年と、世界情勢の変化によりユダヤ系母娘三世代の見え方は変化している。今回の上演の演出は、トルコ移民の両親を持ち、自身はトルコで祖母に育てられ、のちにベルリンの大学で学んだ背景を持つ、Hakan Savaş Mican。
 祖母リン役のウルスラ・ウェルナーは演劇と映画で活躍してきた大ベテラン。ちょっとした話し方や仕草が笑いを生む。
 長方形のブラックボックスを横長で使い、客席はコの字で三列。上手奥にピアノがあり、ユダヤ人の間では定番の歌を演奏する。
 今、大きな意味を持つのが、言及されるのみのラヘルの双子の兄弟デイビッドの存在だ。「世界を救うんだ」と家を出たきり音信不通なのである。わたし達が上演した2017年当時は例えばISISを想像したが、「砂漠へ行ってしまった」と聞けば、今はガザでの虐殺が容易に浮かぶ。

ドイツで観られるお芝居の本数が増えたり、資料を購入し易くなったり、作業をしに行くカフェでコーヒーをお代わりできたりします!