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#198読書から旅する(25)
こちらも再読…といっても初見はまともに読んだ記憶がない。
夢十夜 夏目漱石 著
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以前手にした時は面白くないと思っていたが、今読むと作者の”エモーショナル”なところが興味をそそる。
どこまでも理知的な漱石の小説、特に三部作と呼ばれるものは、泥くさい人間関係を描きながらも、冷めた感があるし、新聞小説と割り切った「あくまでも読者」向けの作品である。
実際に夢に見た事柄のストーリーというより、各編の背景にあるであろう、彼に起きた事象と感情を推察するのが楽しい。
きっと恋していたのだな、とか、裏切りへのやるせなさ、日常に起きた小事件の動揺など。
漱石の作品と人生などもう充分研究し尽くされているテーマだから、個人的に勝手にアレコレ思うのは、むしろ楽しいし許されることだろう。
漱石は高校生の頃に相当読んだが、当時から漱石=文豪とは思っていなかった。「文芸」の人でもない。
文章表現の一つひとつが、観察から生まれたもののようで、そこから分析し解(事情、ストーリー)に導かれる科学のようだ。
私個人の全くの妄言だが、漱石は理系や科学系の方が向いていたのではないかと思う。科学者にも散文の名手は多い。
次は漱石の作品で未読の「草枕」を読む。
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