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グローリー・デイズ【懐かしいな〜♪】

ブロードウェイミュージカル「GRORY DAYS」
博品館劇場 2021年9月17日〜10月3日

私が観劇したのは9月26日マチソワ(チームSOUTH)です。微々たるネタバレありの感想文です。

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物語は主人公のウィルが高校のフットボールのチームメイトを久しぶりに呼び出すことで始まるとある一夜。甦る青春のエモさに反して、互いにあの頃とは違う4人になってしまったことを自覚し、別れる話(めちゃくちゃざっくり)。ミュージカルなのでほぼほぼずっと歌いながら進みます。矢田さんは本当にずっと出ずっぱりで歌ってたな。私はまだ今回含め2作品しか劇場で矢田さんの演技を見てませんが、前回は2.5作品だったのでその時の役とウィルは全くテイストが違うし、演技自体も別人になってると感じました。凄すぎてため息。歌が素敵すぎてまたため息。
グローリー・デイズの主人公たちは80年代生まれの若者という設定なんだけど、日本人が演じててもクサくないというか(?)無理に外国風にしてないのに、トロイとチャド(私はHSM世代ど真ん中)を見ている気分になり、芝居なんだけど恥ずかしくなるくらい彼らの後ろに"俺たちの青春"が見えちゃったのよ。まだあの眩しい日々に戻れるはずだって思ってた。わかる…私も思ってた…でももう戻れないんだよね…と何度も自分の経験とリンクさせては一人で苦しくなってた。大学生の終わる頃、この大人だけど大人過ぎず、学生じゃなくなる淵に立たされてる時って何でこんなに足掻いてしまうんだろうね。知ってるよこの状況…身に覚えしかない。

あとは4人それぞれ違った個性を持つ登場人物たちも、いるいる・あるある・それウチや!の連続だった。
ウィルは4人のまとめ役で、今回の無茶な計画を言い出した張本人だけど明るくて周囲を元気にする人。でも悪い言い方をするとみんなにいい顔するから結果として4人がバラバラになる原因になってしまう。
スキップは無気力世代代表。学生のころは他人のつつける部分には容赦なくツッコんでいたようだけど(ウィル談)今はそんなこともなく大人になった…と見せかけて自分と他人は違うのは当たり前だしわざわざ労力を使うなんて馬鹿げていると諦めた男でした。皮肉屋さん。
ジャック、大学の思い出とともにカミングアウトして一波起こす人。4人の中で一番分け隔てなく優しい印象だったから、傷付いたときの怒りと苦しみが痛いくらい感じられたし泣いてしまうかと思った。終わった後にメンタルケアへ行ってください。
アンディは他の3人とはちょっと違う空気を出してて一言で表すとチャラ男。ウィルとは鏡のように正反対の印象を受ける。それ言っちゃ終わりだろ…ということを最後の方でジャックへ言ってしまうんだけど(マジで劇場の空気が凍りついた)、正直者のアンディからしたらそれまで自分の気持ちを押し殺してただろうから俺の話を聞いてくれ!って歌ってるのみて同情の余地はあるなと思ってしまった。

4人を観ていて、あのときこうすればよかったとか、言えばよかった言わなきゃよかったとか、喜びも怒りも悔しさも全部詰め込んだ青春のでっかい波がこの一晩にやってきてて、こんなに濃い時間を過ごせるなんてある意味羨ましいと思ってしまう自分がいた。
個人的な話、私も高校の部活仲間と定期的に集まってるんだけど、彼らと同じ、昔とはもう違うっていう気持ちにも、変わらないなって気持ちにもどちらにもなる。でも私たちはあそこまでぶつかって自分を主張しないし心の中でその事実を受け止めて別れるんですよね。(超日本人〜!)それがいいのか悪いのかは色々意見があると思うけど、作中のウィルのように昔の輝かしい青春時代に囚われてる自分もいるわけで。私自身はみんなと会ってる時前に進めないんですよね。懐かしくて大好きだから変わらないでほしくてずっとこのまま10代の私たちでいたい。

ウィルは最後、まっさらな背景の中過去と折り合い付けてたけど、私(たち)も前に進めるのかな…と考えてしまった。
グローリー・デイズは彼らの物語であり、同時に私(たち)の物語でもあるんだなぁと。

最後はハッピーエンドとは言い難いかもしれないけど、逆に綺麗な終わらせ方じゃないリアリティがグローリー・デイズのミソ。後ろ髪引かれるくらいが人間関係を表すのにちょうど良いのかもしれない。

私が見たチームではないけど、千秋楽は配信があります。ミュージカルソングとともに青春に戻って心かき乱されたい方はぜひ。

チームEASTも観る予定なので、また印象が変わるかも。楽しみ。


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