2/3 映画だけじゃなくて本も見てほしい

スラムダンクの映画、公開初日に観て、最近のわたしの中では一番じゃないかと思うくらい気持ちが動いて、会う人会う人に「観た!? 観てない!? そもそもマンガは読んだ人? マンガ版は好きなのね、それなら映画も観に行って! 円盤待ちとかしてないで、絶対映画館で観た方がいい!」と布教活動をしている。公開から2か月経つのに、まだ全然余裕で話題にしている。とはいえ、わたしがわざわざ布教活動をしなくても、マンガやアニメ版が好きな人はもうたいてい観に行っていて、あらためて、「スラムダンク、すごい」となっている。同世代や上下世代に、スラムダンクの影響でバスケを始めた・やっていたという人がものすごくたくさんいる。みんなの人生に刺さっているマンガ。

で、そんなすごい映画の設定集というか資料集というか、そういう本が出ていて。映画を観てすぐに買ったはいいけれど、開くのがもったいなくて、ずっとそのまま置いていた。のを、やっと開いた。

これが、また、すごかった。これを読んでから映画を観に行くと、きっと画面の見え方が違うと思う。

バスケの試合の動きはCGを元にしているのだけれど、CGを下敷きに、井上雄彦先生がものすごく細部まで修正したり書き込みをしたりしている。本では、元の絵と修正後の絵を見比べることができるのだけれど、素人目には正直、よくよく見比べてやっと「たしかに、0.数ミリ単位でかわってる」というようなくらいの些細な変化に見える、のだけれど。そこまでこだわってできているのがあの映画なのだ。だし、井上先生が修正したその1枚の絵を見て、他のスタッフさんも、そのごくわずかな違いをきちんと理解し、自分たちが描く他のシーンの絵にも反映させていくわけで。スタッフさんたちの力量や能力もおかしい(褒めてる)。

「まあ(これくらいで)いいや」とかじゃない。妥協なんて許さない。完成度へのこだわり、執念。『THE FIRST SLAM DUNK』は、そういう強い思いの結晶だった。

いやぁ……この本もすごい。「映画よかった〜」って人にはもちろんだし、絵を描く人にも勧めたい。わたしは絵は描かないけれど、描かないわたしでも圧倒されるくらいだから、絵を描く人たちが見たら、1枚の絵から得る情報の精度や粒度が高くて、余計に感じるものがあるのではないだろうか。あと、仕事をする人たちやものづくりをする人たちにも。自分の仕事の完成度をどこまで高めるか、理想を求める姿勢。自分の日頃の努力が足りていないのではと突きつけられ、打ちのめされ、反省した……。「やれる最高点まで持っていけてる? 時間のなさを言い訳に、妥協してない? 合格ラインが低くない?」と、内なるわたしが問いかけてくる……。

というわけで、「スラムダンクの映画、よかった!」という方に、「本もいいぞ! 打ちのめされるぞ! 一緒に圧倒されよう!?」という、お誘い、でした。

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