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死化粧

3年前の今日、母を荼毘に付しました。
父と、母の妹と弟、私だけの4人。

私は、永遠に眠る
もう2度と起きない母の顔に化粧をほどこしました。


母の手は冷たかった。

母は、亡くなっても美しかった。
肌が美しく、きめ細やかでシミもなく顔が整っていたので
化粧をする必要がほとんどなく
私は改めて、こんなにも綺麗な人だったのかと驚いたのを覚えています。
薄い唇に、ゲランの口紅を塗った程度だったような。


あまりに綺麗で、眠っているようにしか見えないから
どうにか冷凍保存できないかと漫画みたいなことも考えました。
その為に一生働いても良いとさえ思いました。

火葬して骨となった母を、父と東京に連れて帰りました。
父は家について「やっとお母さんが帰ってきた」と泣いていました。
私たち、父娘はいまだに納骨はできません。気持ちの問題です。

父にも私にも、母のいない人生は非日常で
生前母と約束をした通り
「生まれ変わっても家族になる」。


その為に、その日を迎えるために、私たちは生きています。